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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは安値圏モミ合いから上放れ、16年9月期大幅増益予想で収益改善
- 2015/11/24 09:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
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インタースペース<2122>(東マ)はアフィリエイト型のインターネット広告事業を主力としてメディア運営事業も展開している。15年9月期は人件費増加などで大幅減益だったが、16年9月期はソーシャルゲーム縮小も寄与して大幅増益予想だ。株価は安値圏モミ合いから上放れて強基調へ転換の動きを強めている。16年9月期の収益改善基調を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
■アフィリエイト型インターネット広告事業とメディア運営事業を展開
アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、メディア広告などのメディア運営事業も展開している。
インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。
15年8月にはネイティブ広告に対応したコンテンツディスカバリーネットワーク「X-lift(クロスリフト)」のサービス開始を発表した。掲載面のデータを独自アルゴリズムにより解析し、メディア内の関連記事やX-liftによる関連広告を表示させることが可能になる。
メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」運営、女性向け恋愛ゲームなどのソーシャルアプリ、コンテンツなどを展開している。
ママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」は、月間利用者数が15年5月に300万人を突破した。さらに15年10月には400万人を突破して420万人となった。また15年10月には環境省が賛同し、JEC(一般社団法人日本エンパワーメントコンソーシアム)が事務局を務める熱中症予防声かけプロジェクト「ひと涼みアワード2015」の「声かけ賞 子ども・家庭部門」の最優秀賞を受賞した。
■アライアンス戦略を積極展開
アライアンス戦略を積極推進し、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、13年11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、13年12月中国の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。
14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファ社に出資、14年7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、14年8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、14年12月子会社more gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。
15年5月にはアイモバイルが運営する、ふるさと納税専門サイト「ふるなび」と連携し、アドウェイズ<2489>と共同で、日本発のふるさと納税アフィリエイトサービス「ふるなび」を開始した。
海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、14年12月ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。
15年5月には、MWORK社とベトナムに合弁会社インタースペース・ベトナム(当社出資比率49%)を設立した。インターネット市場の成長が加速するベトナムでインターネット広告サービスを展開する。
15年7月にはインドネシアの子会社が、インドネシアで最も人気のあるニュースポータルサイト「viva.co.id」を運営するPT Viva Media Baruと独占業務提携し、「viva.co.id」内のブログネットワーク「Vlog」に対して、海外版アフィリエイトサービス「ACCESSTRADE」を提供すると発表した。
■中期目標で営業利益15億円目指す
中期経営目標数値としては売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業ではメディア広告の強化と収益性向上、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。
15年9月にはメディア運営事業の子会社more gamesの株式を売却した。ソーシャルメディア事業を取り巻く事業環境が厳しいため、同社の一部事業を当社へ譲り受けた後、同社と協業事業を行っているアルファストリームに当社が保有する全株式を譲渡した。メディア運営事業は利益貢献が高いメディア広告に体制変更を進め、投資バランスを見直してアフィリエイト事業を中心に収益改善を図る方針だ。
■15年9月期は大幅増収だが、人件費増加などで大幅減益
11月10日に発表した前期(15年9月期)の連結業績(8月11日、子会社more gamesの株式売却によって法人税軽減が見込まれるため純利益を増額修正)は、売上高が前々期比19.5%増の200億65百万円だが、営業利益が同55.4%減の3億48百万円、経常利益が同56.2%減の3億46百万円、純利益が同21.6%減の3億02百万円だった。
ROEは同4.4ポイント低下して10.5%、自己資本比率は同1.5ポイント低下して47.6%となった。配当予想は前々期と同額の年間8円(期末一括)で予想配当性向は17.9%となる。
アフィリエイト広告の好調が牽引して過去最高の売上高を更新したが、中期的な人員確保に向けた人件費の増加、パートナー支援に向けた広告宣伝費の増加、ゲーム事業の不調などで大幅減益だった。売上総利益率は17.0%で同2.7ポイント低下、販管費比率は15.2%で同0.1ポイント上昇した。特別利益で投資有価証券売却益35百万円を計上したが、特別損失では減損損失と投資有価証券評価損が増加し、関係会社株式売却損9百万円を計上した。なお子会社売却に伴う税効果会計の適用で税負担が減少した。
セグメント別に見ると、インターネット広告事業は金融・eコマース・サービスカテゴリーが好調に推移して売上高が同25.2%増の193億71百万円だったが、人件費増加、新潟オフィス本格稼働、広告宣伝費増加などで営業利益は同45.9%減の4億41百万円だった。メディア運営事業はソーシャルゲームの不振で売上高が同47.2%減の6億93百万円、営業利益が92百万円の赤字(前年同期は34百万円の赤字)だった。
なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)42億53百万円、第2四半期(1月~3月)48億53百万円、第3四半期(4月~6月)51億71百万円、第4四半期(7月~9月)57億88百万円、営業利益は第1四半期20百万円、第2四半期91百万円、第3四半期82百万円、第4四半期1億55百万円だった。
■16年9月期は大幅増益予想で収益改善基調
今期(16年9月期)の連結業績予想(11月10日公表)は、売上高が前期比8.8%増の218億26百万円、営業利益が同72.2%増の6億円、経常利益が同73.1%増の6億円、純利益が同8.3%増の3億28百万円としている。配当予想は前期と同額の年間8円(期末一括)で予想配当性向は16.6%となる。
なお事業別営業利益の計画は、インターネット広告が8億30百万円(前期は5億93百万円)、メディア運営が10百万円(同1億円の赤字)、海外事業が2億40百万円の赤字(同2億50百万円の赤字)としている。
税負担正常化で純利益の伸び率は小幅にとどまるが、インターネット広告事業においてアフィリエイト広告が引き続き好調に推移する。さらにネイティブアドに対応したコンテンツディスカバリーネットワーク「X-lift(クロスリフト)」など新規サービス拡販による利益率改善、人件費増加の抑制、メディア運営事業におけるソーシャルゲーム縮小および子会社more games株式売却によるコスト改善、低コストで広告収益効果が期待できるキュレーションメディアのリリースなどで収益が大幅に改善する見込みだ。
■株価は安値圏モミ合いから上放れの動き
株価の動きを見ると、安値圏700円~750円近辺でモミ合う展開だったが、11月以降は水準を切り上げてモミ合い上放れの動きを強めている。11月20日は853円まで上伸した。16年9月期の収益改善を評価する動きのようだ。
11月20日の終値837円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円36銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS445円51銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約58億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線も一気に突破した。安値圏モミ合いから上放れて強基調へ転換の動きを強めている。16年9月期の収益改善基調を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。