- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】物語コーポレーションは既存店好調で16年6月期業績は増額の可能性、12月末の株主優待も注目
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】物語コーポレーションは既存店好調で16年6月期業績は増額の可能性、12月末の株主優待も注目
- 2015/11/25 08:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 株主優待, 既存店, 物語コーポレーション, 増額, 16年6月期業績, 12月末, 可能性, 銘柄分析, 注目
物語コーポレーション<3097>(東1)は焼肉店やラーメン店などの飲食チェーンを全国展開している。既存店が計画以上に好調であり、16年6月期業績の会社予想には増額の可能性があるだろう。株価は好業績を評価して上場来高値更新の展開だ。12月末の株主優待も注目点となる。上値追いの展開だろう。
■中部圏と関東圏を中心に焼肉店やラーメン店などをチェーン展開
中部圏と関東圏を中心に飲食チェーンを直営とFCで全国展開している。郊外型立地を基本として、業態別には「焼肉きんぐ」などの焼肉部門、「丸源ラーメン」などのラーメン部門、「お好み焼き本舗」のお好み焼部門、寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」などの専門店部門を展開している。「焼肉きんぐ」は焼肉テーブルバイキング市場のトップブランドが特徴である。
12年10月には中国・上海に「鍋源(GUO YUAN)」をオープンして海外初出店した。また15年4月には国内で当社初の繁華街型店舗となるプロトタイプ焼肉店「熟成焼肉 肉源」1号店を東京・赤坂にオープンした。
15年6月末時点の店舗数は、全業態合計333店舗(直営168店舗、FC160店舗、海外5店舗)である。業態別には、焼肉部門が152店舗(直営96店舗、FC56店舗)、ラーメン部門が112店舗(直営33店舗、FC79店舗)、お好み焼部門が45店舗(直営21店舗、FC24店舗)、専門店部門が19店舗(直営18店舗、FC1店舗)、その他部門が5店舗(中国直営5店舗)である。
■中期経営計画で17年6月期442店舗目標
中期経営計画では、物語的大家族主義などピープルビジネスとしての「レインボー企業」を目指し、成長基盤確立に向けて優秀な人財の育成・確保、新業態開発、FC支援体制充実などに取り組んでいる。
経営目標値には、17年6月期の売上高470億31百万円、経常利益38億01百万円、店舗数442店舗(直営244店舗、FC198店舗)を掲げている。
重点戦略としては、焼肉部門では「焼肉きんぐ」ブランドの浸透、美味しさとプレミアム感による顧客満足度向上、ラーメン部門ではサイドメニューの強化、「丸源ラーメン」ブランド化に向けた新たなフォーマットの構築、お好み焼部門では熟成リブロースステーキ「塊」による集客力向上、「お好み焼き屋」コンセプトの確立、専門店部門では寿司・しゃぶしゃぶ「ゆず庵」多店舗フォーマット化の推進、中国で展開する「鍋源」の新フォーマットでの出店などに取り組んでいる。
■既存店売上は各業態とも好調推移
15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)80億10百万円、第2四半期(10月~12月)78億68百万円、第3四半期(1月~3月)87億25百万円、第4四半期(4月~6月)88億29百万円、営業利益は第1四半期5億36百万円、第2四半期2億19百万円、第3四半期5億55百万円、第4四半期6億49百万円だった。
15年6月期の既存店売上高(国内直営)は103.3%で、業態別には焼肉が102.5%、ラーメンが105.7%、お好み焼が104.6%、専門店が103.7%といずれも好調に推移した。配当性向は25.2%、ROEは11.9%、自己資本比率は54.2%だった。
■16年6月期第1四半期2桁増収・営業増益、既存店好調
11月9日に発表した今期(16年6月期)第1四半期(7月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比18.6%増の95億01百万円、営業利益が同29.1%増の6億92百万円、経常利益が同20.8%増の7億82百万円、純利益が同19.8%減の2億99百万円だった。
既存店の好調に積極的な新規出店も寄与して2桁増収・営業増益だった。売上総利益率は65.9%で同1.4ポイント低下、販管費比率は58.6%で同2.0ポイント低下した。なお営業外で為替差損益が悪化(前期は差益31百万円計上、今期は差損26百万円計上)し、減損損失や店舗閉鎖損失などで特別損失を合計2億38百万円計上(前期は17百万円計上)したため純利益は減益だった。
既存店売上(国内直営店)は全業態合計が103.2%で、業態別には焼肉が102.2%、ラーメンが105.6%、お好み焼が104.4%、専門店が106.7%といずれも好調に推移した。新規出店は合計11店舗(直営6店舗、FC5店舗)、閉店は合計3店舗(FC3店舗)だった。15年9月末時点のチェーン全業態店舗数は、国内336店舗(直営174店舗、FC162店舗)および海外5店舗の合計341店舗となった。
部門別の売上高は、焼肉が同20.1%増の56億76百万円、ラーメンが同4.0%増の11億98百万円、お好み焼きが同8.8%増の6億35百万円、専門店が同33.6%増の10億18百万円、FC(ロイヤルティ収入など)が同16.0%増の7億33百万円、その他(連結子会社が運営する飲食店舗含む)が同52.9%増の2億39百万円だった。
■16年6月期増収増益・増配予想、既存店好調で増額の可能性
通期の連結業績予想は前回予想(8月10日公表)を据え置いて、売上高が前期比16.0%増の387億86百万円、営業利益が同32.1%増の25億90百万円、経常利益が同22.5%増の29億50百万円、そして純利益が同14.2%増の14億36百万円としている。配当予想は同2円増配の年間55円(第2四半期末25円、期末30円)で予想配当性向は22.9%となる。
食肉価格上昇による国内既存店の売上原価率上昇、パート・アルバイト採用難に伴う人件費上昇、既存店リニューアル費用の増加、店舗メンテナンス費用の増加などを、新規出店効果、既存店増収効果、中国の連結子会社の収益改善効果などで吸収して大幅増収増益予想だ。なお特別損失に固定資産除却損3億04百万円の計上を予定している。
前提としては、新規出店42店舗(国内直営23店舗、FC19店舗)、退店2店舗(国内直営1店舗、FC1店舗)で、国内直営店の既存店売上は全業態合計101.3%(焼肉が100.3%、ラーメンが102.2%、お好み焼が105.0%、専門店が104.6%)としている。想定の売上総利益率は同横ばいの65.9%、販管費比率は同0.8ポイント低下の59.2%としている。
業態別の売上高は、焼肉が同14.5%増の223億21百万円、ラーメンが同4.3%増の46億84百万円、お好み焼が同3.2%増の25億62百万円、専門店が同48.8%増の53億39百万円、FCが同11.6%増の29億56百万円、その他が同24.4%増の9億22百万円の計画としている。
月次売上動向(国内直営店、前年比速報値)を見ると、15年10月は全業態全店が119.8%、既存店が106.6%(焼肉が105.4%、ラーメンが105.5%、お好み焼が115.2%、専門店が112.5%)だった。7月~10月累計は全業態全店が118.5%、既存店が104.0%(焼肉が102.9%、ラーメンが105.6%、お好み焼が106.8%、専門店が108.2%)だった。計画を上回る水準で推移している。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.5%、営業利益が26.7%、経常利益が26.5%、純利益が20.8%である。既存店売上が計画を上回る水準で好調に推移し、積極的な新規出店やリニューアル・業態転換の効果も寄与する。16年6月期業績の会社予想には増額の可能性があるだろう。
■株主優待制度は年2回実施
なお株主優待制度については年2回、毎年6月末および12月末時点で1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。
優待内容は100株以上所有株主に対してお食事ご優待券2500円相当またはお米2.5kg、300株以上所有株主に対してお食事ご優待券5000円相当またはお米5.0kg、600株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万円相当またはお米10.0kg、900株以上所有株主に対してお食事ご優待券1万5000円相当またはお米15.0kgを贈呈する。
■株価は上場来高値更新の展開
株価の動きを見ると、4000円台での自律調整が一巡し、8月の5130円を突破して10月22日の上場来高値5260円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが好業績を評価する流れに変化はないだろう。
11月24日の終値4995円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS239円60銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間55円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1751円18銭で算出)は2.9倍近辺である。時価総額は約300億円である。
週足チャートで見ると強基調に回帰して13週移動平均線がサポートラインの形だ。既存店が計画以上に好調であり、16年6月期業績の会社予想には増額の可能性があるだろう。12月末の株主優待も注目点となる。上値追いの展開だろう。