【編集長の視点】サムティは小反落も配当権利付き最終日で好配当利回り買い再燃を好需給思惑がサポート
サムティ<3244>(東1)は、9円安の1215円と4営業日ぶりに小反落して始まっている。きょう25日の日経平均株価が、トルコ軍機のロシア軍機撃墜による地政学的リスクの高まりなどを懸念して121円安と6営業日ぶりに反落してスタートしていることから、10月26日につけた年初来高値1290円を射程圏に捉えている同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただきょう25日は、11月決算会社の配当権利付き最終日になっており、下値では同社の東証第1部への市場変更記念配当を含めた年間33円配当の権利取りの買い物が続いている。今11月期純利益が、8期ぶりに過去最高を更新する好業績を背景にした低PER修正期待や、東証1部市場変更に伴う好需給思惑も、なおきょう残り1日、権利取り再燃をサポートしそうだ。
■今期純利益は2回上方修正して過去最高を大きく更新し配当も2回増配
同社の今期配当は、期初に26円(前期実績22円)と予想されたが、今年6月に今期業績の第1回目の上方修正とともに30円に増配され、10月19日には、ジャスダック市場(スタンダード)から東証第1部への市場変更承認とともに、記念配当3円を上乗せされ年間33円に再増配された。期末配当一本であり、配当利回りは、きょうの安値現在で2.71%と東証第1部全銘柄平均の1.55%を上回っている。
一方、今11月期業績は、この6月の上方修正のあと10月9日に再上方修正され、純利益は、6月の上方修正値37億円を44億円(前期比91.0%増)に引き上げて連続大幅続伸し、2007年11月期の過去最高(32億600万円)を大きく更新する。6月の上方修正は、賃貸借契約解約に伴う違約金約17億円が主要因となっており、10月の再上方修正も、愛知県名古屋市に保有する固定資産の売却益や金融コストの圧縮などが寄与している。このため、来2016年11月期の純利益は、この特別利益一巡で減益転換が避けられないが、営業利益、経常利益は続伸が観測され、実質で連続過去最高更新の見込みであり、配当権利取りを支援している。
■PERは5.9倍と割り負けておりキャピタル・ゲインの期待も高まる
株価は、子会社の不動産投信の認可取得や上場承認に今11月期業績の上方修正・増配が加わって下値を切り上げ、不動産株全般が、今年10月に表面化した神奈川県横浜市で発覚した大型マンション傾斜問題が響いて下値を探るなか伸び悩んだが、東証第1部への市場変更と再増配で年初来高値1290円まで買い進まれた。好配当利回り買いのインカム・ゲインとともに、PER評価も5.9倍と大きく割り負けており、高値抜けから上値を追うキャピタル・ゲインの期待も高まってくる。(本紙編集長・浅妻昭治)