【アナリスト水田雅展の銘柄分析】うかいは徐々に下値を切り上げ、株主優待権利落ち後の調整が一巡して9月の戻り高値を目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 高級料理店うかい<7621>(JQS)の株価は、10月中旬の直近安値圏2100円近辺から徐々に下値を切り上げて、12月以降は概ね2200円近辺で推移している。9月末の株主優待権利落ち後の調整が一巡し、9月の戻り高値2389円を目指す展開だろう。

 飲食事業(高級和食・洋食店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。新たな成長ステージに向けた戦略として、商圏1万キロに向けたブランド構築、新業態の定着と新規出店、海外へのブランド発信と海外企業との業務提携、サービス向上のための人材育成、製菓工房「アトリエうかい」の本格稼働、和食店のお土産品強化、物販における販路開拓などを推進している。

 14年4月には、国内で4年ぶりの新店となる新業態の割烹料理店「銀座kappou ukai(呼称:割烹うかい)」をオープンした。海外は13年5月に、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定し、16年オープンに向けて準備を進めている。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しは11月7日に減額修正し、売上高が前期比1.3%増の121億81百万円、営業利益が同49.5%減の1億94百万円、経常利益が同66.1%減の1億11百万円、純利益が同86.2%減の36百万円としている。なお配当予想については前回予想(5月19日公表)を据え置いて、前期(第2四半期末2円、期末13円)と同額だが期末一括で年間15円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比0.3%増収だったが、営業利益、経常利益、純利益とも赤字だった。消費増税や天候不順の影響で来客数および売上高が計画を下回り、利益面では創業50周年事業に係る販売促進費の増加、新店「銀座kappou ukai」の開業費計上、保険中途解約に伴う損失計上なども影響した。

 月次売上高(前年比、アトリエうかいの店頭販売含む)を見ると14年11月は全店107.0%、既存店105.0%だった。全店、既存店とも2ヶ月連続の前年比プラスで、いずれも今期最も高い増収率だった。また11月の客単価は全店104.2%、既存店103.3%となり、いずれも13年3月から21ヶ月連続の前年比プラスだった。高額消費の流れが継続し、消費増税や天候不順の影響も概ね一巡したようだ。第2四半期累計は計画を下回ったが、下期の挽回が期待される。

 中長期計画では17年3月期売上高127億53百万円、営業利益6億40百万円を目標値として掲げている。ブランド認知度の向上、圏央道相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に伴う商圏拡大、高額消費の活発化、訪日外国人観光客の増加に加えて、13年12月に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことも追い風だ。中期的には収益拡大基調だろう。

 株主優待制度については5月19日に実施時期の変更を発表し、従来の毎年3月期末から毎年9月中間期末に変更して14年9月末から実施した。そして8月8日に優待内容の変更を発表した。箱根ガラスの森入場招待券1500円×10枚(1万5000円相当)を廃止し、代わりに100株以上所有株主に対して箱根ガラスの森株主限定食事付入場招待券5枚(1万5000円相当)を贈呈する。その他の優待内容に関しては所有株式数に応じた食事優待券または特選うかい牛肉で変更はない。

 株価の動きを見ると、10月中旬の直近安値圏2100円近辺で下値固めが完了したようだ。今期業績見通し減額修正に対するネガティブ反応は限定的だった。徐々に下値を切り上げて、12月以降は概ね2200円近辺で推移している。

 12月22日の終値2197円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS7円00銭で算出)は314倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS925円47銭で算出)は2.4倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートして下値を切り上げている。株主優待権利落ち後の調整が一巡して9月の戻り高値2389円を目指す展開だろう。

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