【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ピックルスコーポレーションは13年10月高値突破、依然として指標面に割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 漬物やキムチ製品の最大手ピックルスコーポレーション<2925>(JQS)の株価は水準を切り上げ、12月22日に1050円まで上伸して13年10月高値995円を突破した。低PERなど依然として指標面の割安感が強く、今期(15年2月期)業績上ブレの可能性も評価して上値追いの展開だろう。

 漬物・浅漬・キムチなど漬物製品の最大手メーカーで、主力の「ご飯がススムキムチ」シリーズのブランド力が大幅に向上して収益力が高まっている。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニエンスストアが主要取引先であり、ブランド力向上と新製品積極投入、成長市場である惣菜製品の強化などを推進している。

 事業エリア拡大や供給能力増強に向けた動きも加速し、中・四国エリアでは広島新工場(ピックルスコーポレーション関西)、北海道エリアでは既存の食品工場を買い取った札幌新工場(ピックルスコーポレーション札幌)が稼動している。

 今期(15年2月期)の連結業績見通しは前回予想(4月15日公表)を据え置いて売上高が前期比6.4%増の273億円、営業利益が同32.5%増の11億30百万円、経常利益が同26.0%増の12億25百万円、純利益が同21.3%増の7億38百万円、配当予想が前期と同額の年間12円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(3月~8月)は前年同期比4.8%増収、同12.0%営業減益、同16.7%経常減益、同50.3%最終減益だった。天候不順による野菜価格高騰、子会社ピックルスコーポレーション札幌の旧工場の固定資産減損損失計上などで減益だったが、既存取引先への拡販や新規取引先の開拓などでキムチ製品や惣菜製品の販売が好調に推移した。営業利益は計画を上回る水準だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.7%、営業利益が59.9%、経常利益が58.7%、純利益が36.5%で、営業利益と経常利益の進捗率は高水準である。天候不順による原料野菜価格高騰という一過性要因が一巡すれば、通期営業利益上ブレの可能性が高まるだろう。

 キムチ製品や惣菜製品のブランド力向上、全国の製造・販売拠点を活用した営業活動、積極的な広告宣伝・販売促進活動、新製品開発・投入や他の食品メーカーとのコラボレーションなどの効果で、既存取引先への拡販や新規取引先の開拓が進展している。さらに事業エリア拡大と供給能力増強、契約栽培拡大などによる原料野菜の安定調達、原材料購買方法の見直しなど重点戦略も着実に推進している。中期的に収益拡大基調だろう。

 なお11月実施のTOB(株式公開買付)による自己株式取得によって、第1位株主の東海漬物の保有割合が27.20%に低下して親会社に該当しないこととなった。親会社の経営戦略の影響を受けずに、当社独自の経営判断で企業価値向上を図ることのできる体制を構築する方針だ。

 株価の動きを見ると、7月~10月の760円~800円近辺でのモミ合いから上放れて水準切り上げの展開となった。そして12月22日には1050円まで上伸して13年10月高値995円を突破した。中期成長力を評価する流れだろう。

 12月22日の終値1050円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS115円54銭で算出)は9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1146円90銭で算出)は0.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。低PERと低PBRで依然として指標面の割安感が強く、今期業績上ブレの可能性も評価して上値追いの展開だろう。

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