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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エスプールは好業績見通しを評価してボックス上放れ
- 2014/12/24 07:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
人材サービスのエスプール<2471>(JQS)の株価は、大勢800円~1200円近辺でのボックス展開だが、10月中旬の800円近辺を直近ボトムとして下値を切り上げる形だ。前期(14年11月期)業績増額の可能性や、今期(15年11月期)増収増益見通しを評価してボックス上放れの展開だろう。なお1月14日に前期決算発表を予定している。
ビジネスソリューション事業(ロジスティクスアウトソーシング、障害者雇用支援サービス・農園運営、フィールド調査アウトソーシング、マーチャンダイジング)、人材ソリューション事業(コールセンター業務、携帯電話・スマートフォン販売支援業務など人材に係わるサービス)を展開している。
障害者雇用支援サービスは、障害者雇用促進法に基づいて大企業の障害者雇用をサポートするもので、企業向け賃貸農園「わーくはぴねす農園」の栽培設備販売収入と農園運営管理収入を収益柱としている。千葉県市原市「わーくはぴねす農園 市原ファーム」では23社の企業がサービスを利用し、14年6月には千葉県長南町「わーくはぴねす農園 茂原ファーム」を新設した。高付加価値サービスとして千葉県を中心に事業規模を拡大する方針だ。
ロジスティクスアウトソーシングサービスはネット通販市場拡大が追い風であり、ECサイト出店企業などの物流センター運営・発送代行で新規顧客獲得を推進している。フィールド調査アウトソーシングでは電力会社が推進するスマートメーター関連業務が拡大している。14年9月には子会社エスプールエコロジーが一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)の許可を取得し、移動通信キャリアの通信・ネットワーク機器の設置業務、電力計のスマートメーター化に関連したサポート業務の事業拡大を推進している。
人材ソリューション事業では、ファミリーマート<8028>のFC店舗向けに人材提供を一括で行う「人材サポートセンター」を設立し、コンビニエンスストア向けストアスタッフサービスを強化している。コールセンター業務、携帯電話・スマートフォン販売支援業務に続く収益柱に育成する方針だ。
14年11月には販売促進支援サービス提供に特化した子会社エスプールセールスサポートを設立した。マーチャンダイジング業務、クレジットカードなどの会員獲得業務、ウォーターサーバーなどの販売イベントブースの運営業務など、複数の事業部や子会社で提供していた販売促進支援業務を集約してサービスの付加価値向上、事業拡大、収益性向上を目指す戦略だ。
前期(14年11月期)の連結業績見通し(1月15日公表)は、売上高が前々期比11.8%増の60億円、営業利益が同2.3倍の1億50百万円、経常利益が同2.8倍の1億37百万円、純利益が同2.6倍の1億17百万円としている。配当予想(10月2日に6期ぶりの復配を発表)は年間10円(期末一括)としている。
ロジスティクスアウトソーシングサービスにおける新規顧客獲得、つくばECセンターの本格稼動と生産性改善、障害者雇用支援サービスにおける茂原ファーム開設、フィールドマーケティングの黒字化、スマートメーター関連業務の拡大などが寄与して大幅増収増益見通しだ。通期見通しに対する第3四半期累計(12月~8月)進捗率は売上高が80.8%、営業利益が103.3%、経常利益が107.3%、純利益が103.4%である。通期の会社見通しは増額が濃厚だろう。
さらに今期(15年11月期)も、ロジスティクスアウトソーシングサービス、障害者雇用支援サービス、スマートメーター関連業務などの好調が牽引して増収増益が予想される。中期経営計画では目標値として16年11月期売上高100億円、営業利益5億円を掲げている。成長分野での積極的な拡大戦略を推進する方針であり、高付加価値サービスの拡大が牽引して収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、1200円近辺では上値が重くなり、12月以降は概ね1000円近辺で推移している。ただし10月中旬の800円近辺を直近ボトムとして下値を切り上げる形だ。
12月22日の終値1000円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS41円76銭で算出)は23~24倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.0%近辺、実績PBR(前期第3四半期累計実績の連結BPS204円36銭で算出)は4.9倍近辺である。
週足チャートで見ると大勢として800円~1200円近辺でのボックス展開だが、13週移動平均線がサポートラインとなって徐々に下値を切り上げている。前期業績増額の可能性や今期の増収増益見通しを評価してボックス上放れの展開だろう。【アナリスト水田雅展の銘柄分析】鉄人化計画は下値固め完了感、収益改善基調を評価してモミ合い上放れ
カラオケルーム運営などを展開する鉄人化計画<2404>(東マ)の株価は、10月の戻り高値489円から反落後して450円~470円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし10月の年初来安値431円まで下押す動きは見られず、下値固め完了感を強めている。収益改善基調を評価してモミ合い上放れの展開だろう。
首都圏中心に展開する「カラオケの鉄人」ブランドのカラオケルーム運営事業を主力として、京都中心に「からふね屋珈琲店」を展開するフルサービス型珈琲ショップ運営事業、ビリヤード・ダーツ遊技場運営事業、まんが喫茶(複合カフェ)運営事業、および「カラオケの鉄人モバイル(カラ鉄モバイル)」サイト運営や「コンテンツ配信ASPサービス」のCP事業、音響設備販売事業を展開している。
カラオケルーム運営事業は、すべてのルームで複数の通信カラオケメーカーの機種が利用できる独自開発のカラオケ集中管理システム「鉄人システム」で、50万曲を超える豊富な楽曲配信、独自分析によるオリジナル楽曲の配信、顧客情報のデータベース化などを特徴としている。
出店戦略は20ルーム前後の中小型店舗で設備投資負担が小さい居抜き物件への出店を基本として、首都圏中心部の駅前立地などでは40ルーム以上の大型店も出店する。なお前期(14年8月期)からは、従来の拡大路線から収益性と効率性を重視した厳選出店戦略に変更し、不採算店舗の営業フロア縮小・業態転換・閉店も進めて収益改善に取り組んでいる。
海外は台湾でフルサービス型珈琲ショップ1店舗、グアムでエンターテイメントレストラン1店舗を運営している。なお業績不振だった韓国カラオケ店舗事業については14年6月に当社持分出資金の全部を譲渡した。
今期(15年8月期)の連結業績見通し(10月15日公表)は、売上高が前期比1.7%減の99億80百万円、営業利益が同80.9%増の5億52百万円、経常利益が同2.0倍の5億93百万円、純利益が同2.5倍の3億35百万円、そして配当予想が同6円50銭増配の年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。
厳選出店戦略や不採算店閉鎖で減収だが、店舗収益性の改善で大幅増益見込みとしている。主力のカラオケルーム運営事業では、顧客満足度向上に向けた店舗教育の強化、オリジナル楽曲の開発・提供加速、収益性の高い地域に厳選した新規出店に取り組む方針だ。
カラオケルーム運営事業は大手チェーンとの競合激化が続いているが、厳選出店戦略や不採算店閉鎖などの効果で収益は改善基調である。さらにオリジナル楽曲提供や大手レーベルとのコラボレーション企画などの営業強化策、店舗運営の効率化などで一段の収益改善が期待される。
株主優待制度については毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、①当社カラオケ店舗「会員カード」、②当社グループで使用可能な「飲食ご優待券」、③からふね屋珈琲「ご優待ギフト」の3点を贈呈する。なお②と③は保有株数に応じて贈呈する。
株価の動きを見ると、今期大幅増益見通しを好感した10月戻り高値489円から反落し、概ね450円~470円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし10月14日の年初来安値431円まで下押す動きは見られず、下値固め完了感を強めている。
12月22日の終値455円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円95銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS286円16銭で算出)は1.6倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値は限定的のようだ。収益改善基調を評価してモミ合い上放れの展開だろう。