【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キーコーヒーは調整一巡感、値上げ効果や消費再増税先送りを支援材料として出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

レギュラーコーヒー大手キーコーヒー<2594>(東1)の株価は、10月中下旬の直近安値1555円から切り返しの展開となり、徐々に水準を切り上げている。12月19日には1662円まで上値を伸ばす場面があった。今期(15年3月期)業績に上ブレの可能性があり、値上げ効果や消費再増税先送りも支援材料として9月高値1700円を試す展開だろう。

コーヒー関連事業(業務用・家庭用レギュラーコーヒーの製造・販売)を主力として、飲食事業(イタリアントマト、アマンド)も展開している。ブランド力強化、収益力強化、グループ連携強化を柱として、新商品の開発・投入、新たな事業領域の開拓を強化している。積極的な業容拡大戦略で中期成長が期待される。

イタリアントマトの14年9月末時点の店舗数は直営84店舗、FC224店舗の合計308店舗で、海外はASEAN地域へ積極展開している。13年1月には銀座ルノアール<9853>を持分法適用会社化、14年2月にはネット通販事業拡大に向けてコーヒー豆焙煎加工販売のhonu加藤珈琲店を子会社化した。また14年9月にはイタリアの世界有数のコーヒーメーカーであるillycaffe S.p.Aと、illyブランドのレギュラーコーヒー製品全般について日本国内での独占販売契約を締結した。

今期(15年3月期)の連結業績見通しについては10月27日に売上高を増額、利益を減額し、売上高が前期比2.6%増の550億円、営業利益が同40.5%減の9億20百万円、経常利益が同31.0%減の13億40百万円、純利益が同28.9%減の7億30百万円としている。配当予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて同1円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比0.8%増収、同21.2%営業減益、同15.0%経常減益、同31.3%最終減益だった。その他事業はhonu加藤珈琲店の連結が寄与したが、コーヒー関連事業および飲食関連事業は売上面で市場環境の変化、消費増税、夏場の天候不順などが影響し、利益面ではコーヒー生豆など原材料価格の上昇が影響した。

コーヒー生豆相場の動向で収益が変動しやすいが、通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.1%、営業利益が81.5%、経常利益が73.7%、純利益が67.5%と高水準である。業務用市場でのプレミアムコーヒーの拡販、14年11月から実施した家庭用レギュラーコーヒー製品(ブルーマウンテン製品除く)の値上げ効果も寄与して、通期業績上ブレの可能性があるだろう。

株主優待については、毎年3月末日および9月末日現在の100株以上所有株主に対して自社製品の詰め合わせを贈呈している。100株以上~300株未満所有株主に対しては1000円相当、300株以上~1000株未満所有株主に対しては3000円相当、1000株以上所有株主に対しては5000円相当を贈呈する。

株価の動きを見ると、10月中下旬の直近安値1555円から切り返しの展開となり、徐々に水準を切り上げている。12月19日には1662円まで上値を伸ばす場面があり、9月高値1700円に接近してきた。

12月22日の終値1647円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円18銭で算出)は51倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1541円85銭で算出)は1.1倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績に上ブレの可能性があり、値上げ効果や消費再増税先送りも支援材料として9月高値1700円を試す展開だろう。

 

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