■1日平均1800人、経営は京王電鉄、ノウハウは極楽湯
東京八王子市にある高尾山の山麓に「京王高尾山温泉極楽湯」が開業してから1ヶ月が経過した。名前から分かるように、経営主体は京王電鉄グループであるが、運営のノウハウは日帰り温泉を各地で展開している極楽湯である。(写真=京王高尾山温泉/極楽湯HPから) 開業してからの1ヶ月の客数は1日平均およそ1700人から1800人、休日には3000人近くにもなり、すでに5万人の客が利用した。京王では年間30万人の客数を想定していたが、この数字を上回る勢いである。 高尾山はミシュランガイドにも紹介されたことで、日本人だけではなく外国人の登山者も多く、年間の登山者数はおよそ250万人と世界で最も登山人口の多い山である。都心から1時間程度で登山口に着き、薬王院と杉並木、日本でも有数の植物の豊富さ、都心の夜景を見ながらのビアマウントなどの施設が集中し、ケーブルやリフトがあるために高齢者や子供でも簡単に登れることが人気の理由である。今までここに温泉施設がなかったのが不思議なくらいである。 人気があり、人が集まる高尾山に温泉を作ったことが成功の理由であり、たんに温泉を作ればそれだけで人が集まるわけではない。 話が飛ぶようだが、各地のアウトレットやショッピングモールに人が集まるのは、たくさんのブランド店があり、客は特定の品を買いに行くというより、ウィンドウショッピングを含め、半日の行楽という感覚である。地域活性化のために各地で温泉施設やレジャー施設が作られているが、単品メニューで成功することは難しいだろう。(村山貢司=気象予報士・経済評論家)