【編集長の視点】ベル24HDはもみ合いも減益業績織り込み好需給思惑底流で直近IPO株買いが再燃も有力

編集長の視点

 ベルシステム24ホールディングス<6183>(東1)は、4円高の1286円と4営業日ぶりに小反発して始まったあと18円安と下押すなど、今年11月25日につけた上場来安値1206円を前にもみ合いを続けている。

 同社株は、今年11月20日に公開価格1555円で東証第1部に再上場され、直接上場株、再上場株ともIPO(新規株式公開)株として人気薄で、しかも今2月期業績が減益転換と予想されたことが響き、公開価格を下回る1478円で初値をつけ上場来安値まで売られた。12月の月間IPO株が、19社とラッシュとなることも資金分散懸念につながった。しかし、今期業績の減益転換は、特殊要因によるもので織り込み済みとの合意が形成されつつあり、既上場の類似コールセンター株に比較しても割り負けているとして下値に下げ過ぎ訂正買いが続いており、東証株価指数(TOPIX)算入に伴う好需給思惑もサポート材料視されている。

■大株主と連携し東南アジアで取引先を拡大し国内でも外資家系企業を新規開拓

 同社は、より機動的な経営判断に基づくグループ戦略の展開を図るために2005年1月に東証第1部から上場廃止されて以来、約10年ぶりに再上場された。公開価格が、仮条件の下限近辺で決まり、公開株式数が株式売出しを中心に3737万株超に達し、資金吸収額も581億円超と大規模で、今期業績の減益転換が予想されていることから、公開価格を下回る初値形成となった。

 ただ、この減益転換予想は、2004年8月にソフトバンクグループ<9984>(東1)との包括的業務提携の一環で全株式を取得したBBコール(現ベルシステム24)が、通常より割高で受託していたコールセンター業務を他社並みの通常価格並みに引き下げたことが要因となっている。このため今期業績は、売り上げ1033億6900万円(前期比7.8%増)、税引前利益81億7000万円(同50.1%減)、純利益50億2400万円(同49.1%減)と見込まれている。

 ただ業績実態は、新規業務が、昨年10月に資本参加した大株主の伊藤忠商事<8001>(東1)グループのネットワークを活用した東南アジアなどでの取引先の拡大や、世界基準でのコンタクトセンター運営を求める外資系企業の日本国内でのサービスをターゲットとする事業拡大、インバウンド(外国人観光客)関連業務などで順調で、さらに来年は、スポット業務として参議院選挙の選挙対応業務も業績を押し上げ、業績は通常ペースに戻ると想定される。

■既上場の類似銘柄より割り負け「小さく産んで大きく育てる」IPO株投資妙味

 株価は、公開価格を下回ってつけた初値から上場来安値まで278円安してこの下げ幅の半値戻しまでリバウンドし、3分の1戻し水準を固めている。再上場の直接上場株は、過去にIPO時の不人気からその後、半年後~1年後に上場来高値をつけ公開価格比3割~倍化する銘柄も出ている。とくにインバウンド関連株として同社と類似性のある昨年4月に再上場の西武ホールディングス<9024>(東1)は、年初来高値まで2.3倍化しており、連想を強めそうだ。また今期業績は減益予想ながら、PERは18倍台と既上場の類似コールセンター株に比較しても相対的に割り負けており、TOPIX算入によるTOPIX連動型ファンドの買い需要発生なども加わり、IPO株の投資鉄則通りに「小さく産んで大きく育てる」下値買い妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

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