【株式評論家の視点】ラクト・ジャパンは8月の上場、乳製品当の食品専門商社、アジアを強化
ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、本年8月28日に東京証券取引所市場第2部に新規上場。海外から乳原料・チーズなどの乳製品の輸入、主に日本国内の乳製品メーカーや食品メーカーへ販売している食品専門商社で、国内最大規模を誇っている。コア製品に特化することで独自のポジションを築き、日本が輸入する乳製品原料取扱量のシェアのおよそ30%を占めている。
仕入先の選定にあたっては、品質、技術力、開発力、顧客適応力はもちろん、各生産プロセスにおいて十分な安全管理体制が構築されている仕入先であることを条件として、これらを検証するため、同社では生産現場に赴き、製造工程のチェックを行うとともに、物流段階においても食品微生物の検査を行うなど、品質管理を徹底している。
また、長年におよぶ乳製品業界におけるビジネスを通じて培った仕入・販売網、海外子会社・駐在員等からの的確なマーケット情報により高い競争力を保持している。顧客の生産・製造現場に確実に納入することはもとより、食品の専門商社として蓄積してきた専門性の高いノウハウを活かし、新製品開発の技術支援のほか、日々刻々と変化する為替相場や金利動向などの金融情報を収集・分析しタイムリーな情報提供を行う等、顧客のビジネスをバックアップしている。
前2015年11月期・第3四半期業績実績は、売上高が731億3300万円、営業利益が2億1100万円、経常利益が10億6500万円、純利益が6億4700万円に着地。
通期業績予想は、売上高が932億5700万円(前年同期比3.4%減)、経常利益が11億7400万円(同28.9%減)、純利益が6億8200万円(同30.9%減)を見込む。年間配当は期末一括30円を予定している。
株価は、8月28日に公開価格と同じの1400円で初値をつけた後、9月7日の上場来安値1235円まで売られましたが、10月6日に上場来高値1713円と上昇。その後、1500円どころを下値にモミ合っている。同社は、アジアにおいて乳原料の供給事業やチーズの製造・販売事業を拡大を推進していることが注目される。シンガポールにある子会社Lacto Asia Pte Ltd.を中核企業として、マレーシア、タイ、インドネシア、中国に関係会社を設立し、、アジアに進出している日系企業、並びに現地企業との取引を拡大しており、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の加盟によって収益機会が拡がる見通し。決算期越えによる処分売りの影響も少なく、今16年11月期は業績が上向くと観測されており、ここからの押し目は中長期で注目したい。(株式評論家&アナリスト・信濃川)