【編集長の視点】タカキタは反落も東証1部上場の需給好転にTPP関連思惑がオンして切り返し有力
タカキタ<6325>(東1・名1)は、きょう4日に東証第2部・名証第2部からそれぞれ第1部に市場変更されて売買がスタートしたが、東証では、前日の2部終値に対して8円安の500円と反落している。
きょう4日の日経平均株価が、欧州中央銀行の小規模な追加金融策に大きく失望安した欧米株価の流れを受けて381円安と急続落してスタートしたことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、同社株には市場変更に伴う需給好転思惑に加えて、TPP(環太平洋経済連携協定)合意を背景とした同社の農業機械の特需発生期待も底流しており、低位値ごろ株買いが再燃して切り返し7月29日につけた年初来高値549円抜けから一段の上値追いが有力視されている。
■畜産農家向けの緊急支援策の後押しで飼料収穫機などが堅調に推移
東証1部への市場変更に伴う需給好転思惑は、市場変更に際して新株式発行などの希薄化材料がなく、さらに東証株価指数(TOPIX)に算入されることによってTOPIX連動型のファンドなどの買い需要が新たに発生することが要因となっている。同社の株価も、これを先取りし市場変更が承認された11月27日の翌営業日には窓を開けてストップ高した。今後、TOPIX算入が開始されることから、同思惑が理想買いから現実買いに変わってくる。
一方、TPP関連思惑は、同社の中心製品の飼料機械に国内畜産農家向けへの対策政策の恩恵を受けることが背景となっている。実際に同社の今3月期業績は、政府の「畜産収益力向上緊急支援策」の後押しで細断型ホールクロップ収穫機、汎用型収穫機、有機肥料散布機などが堅調に推移して増収増益転換が予想されている。具体的には売り上げ62億9300万円(前期比6.5%増)、経常利益5億6300万円(同7.8%増)、純利益3億6600万円(同6.6%増)と見込まれているものだが、今年10月に発表した今期第2四半期累計業績が、期初予想をやや上ぶれて着地しており、政府が決定したTPP政策大綱に沿った今後の補正予算や来年度予算のフォローを受け上ぶれ推移も想定される。
■東証・名証1部への市場変更承認でストップ高もPERはなお15倍台と割安顕著
株価は、TPP交渉の進展とともに今年7月に年初来高値549円まで買い進まれ、その後は、世界同時株安に巻き込まれて320円安値まで突っ込み、下げ過ぎとして底上げ、1株純資産405円を固める動きを続け、東証・名証1部への市場変更承認とともにストップ高して再騰を開始した。PERはなお15倍台と割安であり、高値抜けから上値チャレンジを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)