【忠田公夫の経済&マーケット展望】ドル円が11月18日につけた123円75銭前後をブレイクできるかがポイント
注目された11月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比21万1000人の増加、失業率5.0%と順調なうえ、労働参加率(生産年齢人口に占める労働力人口の比率)も62.5%と今年5月以来6カ月ぶりに上昇したことで、来たる12月15~16日のFOMCにおいて利上げに進む可能性が一段と強まってきた。
11月9日付けの当欄で、「米10年物国債金利は現在2.32%だが、これが2.5%を越えていくことになると、NYダウの上値を圧迫するとともに、やがて下値を模索する動きに転じるリスクが高まる。日本株にとっては、当面、ドル高円安はプラスにはたらくと見られるが、米国株が反落に転じた場合には注意したい」と述べた。
先週末、11月の雇用統計を受けて、米10年物国債金利は一時、2.36%まで上昇したが、その後、落ち着きを取り戻し2.275%で終えた。ドル円も一時、123円37銭まで上昇したものの、123円10銭前後で終了。NYダウは1万7847ドル、シカゴの日経平均先物は1万9710円で終わったことから、週明けの日本株は反発が期待される。
ポイントは9年6か月振りの米利上げに呼応して、ドル円が11月18日につけた123円75銭前後をブレイクできるかどうかが見どころとなろう。
ドル・インデックス(ドルの実効レート)で見ると、NYダウが1万5370ドルの安値をマークした8月24日のセリング・クライマックス時に92.51ptでボトムを打ち、12月3日の100.59ptでひと足早く頭を打った可能性がある。今後、ドル円が123円75
銭前後をなかなか突破できないようだと、株式市場の先行きに陰りが生じるシグナルになるかもしれない。
年明けの1月下旬にかけてNYダウや日経平均が、それぞれ最高値(NYダウ1万8352ドル、日経平均2万952円)をブレイクできなければ、ともに2番天井を形成後、明年前半に下げに見舞われるリスクを考慮しておく必要もあろう。(アナリスト・忠田公夫)