【編集長の視点】エランは反落も上場来安値水準から直近IPO株人気を再燃させて下げ過ぎ訂正余地

編集長の視点

エラン<6099>(東マ)は、147円安の2250円と3営業日ぶりに反落して始まっている。12月19日につけた上場来安値2175円から底上げ、きょう25日は利益確定売りが先行している。ただこの安値水準は、11月7日の新規株式公開(IPO)以来、2日連続のストップ高を交えて上場来高値4350円まで急騰し、値幅で50%、日柄で1カ月半の調整と目先底入れを示唆している。今月12月は、月間で28社がIPOされるラッシュとなっており、来年1~3月は例年、IPOの空白期となるだけに、同社の独自ビジネスモデルを見直して直近IPO株人気画が再燃する可能性も大きい。

■契約病院・介護施設数は年率35%、月間利用者数は年率38%と各高成長

同社は、病院の入院患者や介護施設の入所者に対して身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院」できて、「手ぶらで退院」できるケア・サポートセット(CSセット)サービス事業を展開している。CSセットは、衣類、タオル、ケア用品などの必要な日用品をセットし、1日単位でレンタルするシステムで、このサービスの契約施設数は、2009年12月期の120カ所が前2013年12月期に405カ所と年率35.6%増と伸び、月間利用者数も、同じく1万3878人から5万3810人と年率38.1%増と高成長した。今12月期第2四半期(2Q)時点では、さらに契約施設数は460施設、月間利用者数は6万1000人と拡大を続けている。

この高成長にもかかわらず、同社がターゲットにしている全国の50床以上の病院7594施設に対する契約率、顧客開拓率は5%、介護施設3444施設に対する契約率、顧客開拓率は2%にとどまっている。少子高齢化や単身者の増加で、身の回りを世話する家族が減少し、同社のCSセットサービスに対する顧客ニーズは高まっており、今年4月開設の札幌支店など全国に展開している9支店を拠点に積極的に顧客開拓を進める。

業績も、2009年12月期以来、売り上げは年率28.3%、営業利益も同42.0%の高成長を続け、今12月期業績は、売り上げ74億100万円(前期比22.9%増)、営業利益4億2700万円(同6.0%増)、経常利益4億700万円(同1.7%増)、純利益2億4900万円(同0.6%増)と連続の過去最高更新を見込み、配当も、新興市場のIPO株として異例の5円(前期実績は株式分割換算で4円)と増配を予定している。

■値幅・日柄調整は目先一巡し期末の配当権利取りをテコにリバウンド期待

株価は、公開価格1750円に対して2980円で初値をつけて即ストップ高、上場2日目もストップ高して上場来高値4350円まで買い進められ、2720円まで調整したあと3295円とリバウンドし上場来安値まで再調整した。値幅・日柄調整との調整一巡感を強め25日移動平均線からも18%超の下方かい離と下げ過ぎを示唆しており、期末の配当権利取りもテコに一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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