【チャート診断】武田薬は短期有望も上値を多くは期待難しい、配当狙いの中期対応で
武田薬品工業<4502>(東1・売買単位100株)は、トヨタ自動車と並ぶ優良銘柄で共に3月に年初来高値をつけた。ただ、足元では両者の動きに強弱の違いがみられる。
<株価の歩みと位置>
中期・週足では2014年10月の4337円から2015年3月の6657円まで53.4%上昇した。同じ、今年3月に高値をつけたトヨタ自動車の2014年10月からの上昇率53.8%とほとんど同じだった。そして、12月8日現在の位置はトヨタが高値に対し8.6合目であるのに対し武田は8.9合目とやや高値に近い水準にある。
しかし、足元の日足チャートではトヨタが25日線を上回って推移しているのに対し武田はほぼ1週間にわたって25日線を下回って推移している。
<マーケットの視点>
同社は有力な優良銘柄ではあるが、今年の最大のマーケットテーマとなっている、「ROE」が前3月期ではマイナス、今3月期も予想3%台ていどと低いことから積極的に買い難いということがあるようだ。巨額の糖尿病薬訴訟、降圧剤の誇大広告で厚生労働省から改善命令を受けるなど印象的には芳しくない。
今3月期の営業利益は1050億円と前期の赤字1292億5400万円から黒字転換の見通しで、特に、第2四半期実績において営業利益1104億4900万円を上げ、通期見通しを上回っていることで通期上触れの濃厚な点がマーケットの注目となっている。1株利益は86.5円、配当は年180円(期末90円)の見通し。
<株価の方向と短期・中期判断>
日足では25日線を下回っているが、週足では13週線と26週線の間でモミ合っており悪い足取りではない。ただ、3月の6657円と6月の6600円でダブルトップを形成しており上値も重そうである。
足元の5800円前後は年間配当に対する利回りが3.1%、期末配当でも1.55%と高く、4ヶ月先を見据えての配当取り狙いの買いが入っているようだ。ただし、PERは67倍ていどと非常に高い。
このため、値幅狙いということでは次期(2017年3月期)の1株利益がどこまで伸びてくるかにかかっているといえるだろう。短期的には輸出関連銘柄が動き難くなれば内需関連としての人気を持つことから注目され25日線(6090円前後)までは戻す場面は予想されるが、それ以上は難しそうである。やはり、配当狙いでの中期での買いがよいだろう。