【編集長の視点】土木管理総合試験所は続落も期末接近で配当権利取りと割安株買いとの同時再燃が有力
土木管理総合試験所<6171>(東2)は、15円安の1435円と6営業日続落して始まっている。同社株は、今年10月20日に上場来高値2330円まで急騰し、この急騰幅がほぼ往って来いとなる調整場面が、ほぼ最終局面となり下値確認が続いている。ただ下値には、12月期決算期期末接近で期末配当の権利を取るインカムゲイン狙いの買い物が続いており、同時にPERも割安として値幅期待のキャピタルゲイン狙い買い物も交錯している。茨城県・鬼怒川の堤防決壊、神奈川県横浜市のマンション傾斜問題に続き、12月に入って国土交通省が、全国の556橋の橋梁で落橋防止装置の溶接不良があることを発表し社会問題化していることも、インフラ関連株人気を高めよう。
■非破壊調査試験部門でインフラストックの維持・修復案件が繁忙期入り
同社の今12月期業績は、今年8月26日のIPO時に売り上げ43億5600万円(前期比7.5%増)、経常利益4億100万円(同35.6%増)、純利益2億5600万円(同69.9%増)と予想された。同社は、試験総合サービス事業、地盤補強サービス事業で高実績を誇る建設コンサルタント会社で、全国的な防災・減災工事、社会インフラの老朽化更新工事のほか、関東地方の東京オリンピック関連案件や圏央道建設案件、北陸地方では北陸新幹線延伸案件、東北地方では震災復興関連案件などの大型工事が同時進行し、大型工事対応の積極的な人員増員による売り上げ増や、ワンストップサービス推進による効率的な業務遂行などが寄与することが要因となる。配当も、年間18円を予定している。
IPO後の初決算で発表した今期第3四半期(3Q)業績も、土質・地質調査部門に悪天候が影響したが、土壌汚染調査などの受注が安定して推移し、非破壊調査試験部門で、インフラストックの維持・修復案件が年末にかけ繁忙期入りとなることなどから、前年同期比5.5%増収、12.8%経常増益、13.5%純益増益で着地した。12月期通期業績は、年末に向け高利益率の室内試験、現場試験の繁忙期入りとなり、さらに落橋防止装置の溶接不良では、同社の超音波探傷試験の非破壊検査に関連特需も期待できることからIPO時予想の達成を確実にする。
■最高値への上昇幅の3分の2押し水準からPER14倍台の割安修正に再発進
株価は、公開価格1350円に対して1220円で初値をつけ、上場来安値1140円まで売られIPO株人気は空振りとなったが、同安値から下げ過ぎとして即ストップ高、1799円高値まで底上げした。その後の再度の調整安値1166円から、鬼怒川の堤防決壊やマンションの杭工事データ偽装問題が続いて地質・地盤調査関連株人気を高めて上場来高値2330円まで再底上げした。最高値後は、最安値から最高値までの上昇幅の3分の2押し水準での下値固めを続けているが、期末の配当権利取りのインカムゲインに加え、PERの14倍台の割安修正に再発進、値幅取りのキャピタルゲインも期待できそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)