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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは7月高値に接近、16年3月期増収増益基調でマイナンバー関連も拡大
- 2015/12/14 06:41
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ミロク情報サービス<9928>(東1)は財務・会計ソフトの開発・販売やコンサルティングサービスなどを展開し、M&Aやアライアンスを活用して新規事業も強化している。株価は7月の年初来高値に接近している。16年3月期増収増益基調でマイナンバー制度関連の需要拡大も注目される。指標面に割高感はなく上値を試す展開だろう。
■財務・会計ソフトの開発・販売およびサービス収入が収益柱
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなど業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。
収益柱は、システム導入契約売上高(システム導入契約時のハードウェア、ソフトウェア、およびシステム導入支援サービスなどのユースウェアの販売)と、サービス収入(会計事務所向け総合保守サービスTVS、ソフト使用料収入、企業向けソフトウェア運用支援サービス、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入など継続的な役務の対価)である。
会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも繫がるトータルソリューションが強みである。全国約8400の会計事務所ユーザーおよび約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、サービス収入などのストック型収益構造を特徴としている。13年10月には、連結会計システム開発のプライマルと資本・業務提携して、連結会計や連結納税までグループ経営支援ソリューションの提供を強化している。
■中期計画でROE17年3月期15%、21年3月期30%目指す
第3次中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では、経営目標数値として17年3月期の売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%を掲げた。さらに新たな成長ステージとなる21年3月期には売上高500億円、経常利益率30%、ROE30%を目指している。
重点戦略としては、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発(マルチデバイス対応クラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業承継・事業再生支援サービスへの参入など)を推進する。
■M&A・アライアンス戦略も活用して新規事業を強化
新規事業関連では、登録会員数約130万人の中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。
14年5月には全国商工会連合会の会員事業者向け「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発し、14年8月にはソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」を譲り受け、14年9月には中小企業の事業承継や事業再生を支援する子会社MJS M&Aパートナーズを設立した。
14年10月にはCtoC向けクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」の提供を開始した。また韓国の電子金融専門企業Webcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携した。韓国Webcash社と日本法人(14年11月MWI社に社名変更)の株式を取得し、新たなクラウドサービスを共同開発して日本国内で事業展開する。14年12月にはクラウド型POSシステムのオフィス24グループと業務提携した。
15年1月には次世代サービス共同開発を目的として、次世代Web標準言語HTML5を活用したWebソリューション開発に強みを持つニューフォリアに出資して資本提携した。
15年4月には一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)へ加盟した。税理士・公認会計士事務所と中堅・中小企業の経営革新を推進し、その繁栄に寄与するという経営方針のもと、日本経済の発展に貢献できるよう企業としての社会的責任を果たせるよう努めるとしている。
11月19日には、MWI社の株式取得および第三者割当増資引き受けによって連結子会社化すると発表した。現在の出資比率40%が55.0%に高まる。連結子会社化によって、銀行口座やクレジットカードの利用明細等を会計処理の元データとして取り込むことができるスクレイピング機能を当社製品に組み込むことで製品競争力強化を図る。
また11月25日には、子会社のMJS M&Aパートナーズ(mmap)が、中小企業の事業承継・事業再生の支援体制を強化するために、16年3月までに会計事務所500所とのパートナー契約の実現を目指すとのリリースを公表した。15年11月現在で287事務所とのパートナーシップ契約を締結している。
■サービス収入が拡大するストック型の収益構造
15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億22百万円、第2四半期(7月~9月)56億41百万円、第3四半期(10月~12月)54億77百万円、第4四半期(1月~3月)56億43百万円、営業利益は第1四半期5億96百万円、第2四半期7億06百万円、第3四半期4億56百万円、第4四半期7億66百万円だった。
ソフト保守サービス契約率の上昇などでストック型のサービス収入が積み上がる収益構造だ。また15年3月期のROEは14年3月期比1.0ポイント上昇して13.7%、自己資本比率は同4.2ポイント上昇して67.8%、配当性向は26.9%だった。
■16年3月期第2四半期累計は計画超の増収増益
今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.1%増の118億33百万円、営業利益が同10.0%増の14億33百万円、経常利益が同8.5%増の14億52百万円、純利益が同2.9%増の8億37百万円だった。期初計画(5月12日公表)を上回る増収増益だった。
顧客基盤拡大に向けた多彩なセミナー・研修会の開催、クラウドコンピューティングに関する総合イベントへの主力製品の出展など、積極的な販促活動を展開した。また主力システムの機能強化や、マイナンバー制度施行に向けた新製品「MJSマイナンバー」の開発を進めた。さらに新規事業の一つとして中小企業における事業承継・事業再生の支援事業にも積極的に取り組んだ。
こうした施策が奏功してシステム導入契約売上高、サービス収入とも好調に推移した。ストック型収益であるサービス収入の売上構成比上昇も寄与して2桁営業増益だった。売上総利益率は同0.6ポイント上昇して64.6%、販管費比率は同0.3ポイント上昇して52.4%となった。
品目別売上高は、システム導入契約売上高が同2.3%増の74億57百万円(内訳はハードウェアが同3.2%減の14億61百万円、ソフトウェアが同3.5%増の46億17百万円、ユースウェアが同4.7%増の13億79百万円)で、サービス収入が同8.1%増の40億54百万円(内訳は会計事務所向け総合保守サービスTVSが同1.9%増の9億22百万円、ソフト使用料収入が同13.6%増の4億68百万円、企業向けソフトウェア運用支援サービスが同9.2%増の17億46百万円、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入が同6.3%増の5億89百万円、サプライ・オフィス用品が同16.7%増の3億27百万円)だった。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)58億88百万円、第2四半期(7月~9月)59億45百万円で、営業利益は第1四半期6億86百万円、第2四半期7億47百万円だった。
■16年3月期通期も増収増益基調
今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比5.4%増の236億円、営業利益が同18.8%増の30億円、経常利益が同16.0%増の30億円、純利益が同3.0%増の18億10百万円としている。配当予想は前期と同額の年間15円(期末一括)で予想配当性向は26.1%となる。
純利益は投資有価証券売却益の一巡で伸び率が鈍化するが、売上面ではシステム導入契約の受注残高が高水準であり、中堅・中小企業向けERPシステムの拡販、新規顧客の開拓、ソフト保守サービス契約率の上昇などで、システム導入契約売上高およびサービス収入とも順調に拡大する。売上総利益率の計画は同1.9ポイント上昇の65.9%としている。人件費増加などを吸収して増収増益基調だ。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.1%、営業利益が47.8%、経常利益が48.4%、純利益が46.3%である。期後半に向けて収益が積み上がるストック型の収益構造を考慮すれば概ね順調な水準であり、第2四半期累計が期初計画を上回ったことも考慮すれば通期業績の会社予想に増額余地がありそうだ。
■マイナンバー制度への対応も強化、中期的に収益拡大基調
16年1月施行マイナンバー制度関連需要の拡大も期待されるため、マイナンバー対応サービスを強化している。15年9月にはマイナンバー管理システム「MJSマイナンバー」(オンプレミス版・クラウド版)を開始、15年10月には中堅・中小企業向けにマイナンバー収集・保管など一連の業務を代行する「MJSマイナンバーBPO」サービスを開始した。
既存のソフトウェア関連事業の拡大に向けて新規顧客の拡大と収益基盤の強化に注力するとともに、クラウドサービスやマルチデバイス対応など新たな製品・サービス、中小企業の事業承継・事業再生を支援するサービスも強化している。ストック型の収益構造であり、サービス収入の好調で売上総利益率の上昇も期待される。中期的にも収益拡大基調だろう。
■株価は7月の年初来高値に接近
株価の動きを見ると、9月の直近安値圏700円近辺から切り返して戻り歩調の展開だ。そして12月以降は900円台を回復する場面があり、7月の年初来高値950円に接近している。
12月11日の終値896円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS57円42銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS411円46銭で算出)は2.2倍近辺である。時価総額は約312億円である。
週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなった。強基調を確認した形だ。16年3月期増収増益基調であり、マイナンバー制度関連の需要拡大も注目される。指標面に割高感はなく上値を試す展開だろう。