【編集長の視点】総合商研は売買手控えも1Q赤字縮小に年賀状受付開始もオンして割安修正へ再発進を窺う

編集長の視点

 総合商研<7850>(JQS)は、きょう15日も前日に続いて値がつかず疎らな商いで推移している。きょうから米国で始まるFRB(米連邦準備制度理事期)のFOMC(公開市場委員会)の結果を見極めたいと全般市場でも積極的な売買が手控えられ、同社株にも模様眺めの売買状況が続いている。ただ同社株は、前日14日に発表した今7月期第1四半期(1Q)業績の赤字が小幅ながら縮小して着地したことに加え、きょう15日から年賀状受け付けが開始されたことから、年賀状印刷で国内トップの同社株に関連の割安株買いが再燃する展開も窺っている。同社の年賀状印刷の伊勢原第1工場(神奈川県伊勢原市)の本格稼働が接近していることや、年末年始商戦向けの折り込みチラシ広告の印刷が繁忙期入りとなっていることも先取りされそうだ。

日本郵政グループなど大手顧客からの受注増で印刷シェアを拡大

 同社株は、折り込みチラシ広告を企画・制作する商業印刷事業と年賀状印刷事業、「地域新聞ふりっぱー」を発行するふりっぱー事業を展開しているが、前7月期実績では、年賀状印刷事業の売り上げは、約58億円と全体の36%と、商業印刷事業の売上高構成比の59%を下回ったが、営業利益は、4億3300万円と商業印刷事業の営業利益1億1200万円を上回る収益部門となっている。日本一の年賀状印刷会社として、日本郵政<6178>(東1)グループなどの大手顧客からの受注拡大などでシェアを伸ばしており、この生産拠点として伊勢原第2工場を閉鎖し新設した伊勢原第1工場に集約し印刷能力を向上されることもなども寄与した。

 同事業は、名入れ年賀状とパック年賀状を印刷し、前期は、消費税増税の影響で年賀状の価格が50円から52円に値上げされ、パック年賀状印刷の経費増として同事業の営業利益の下押し要因となったが、今期は、値上げによりこれが一巡するとともに、伊勢原第2工場のオフセット印刷機の第1工場への移設も終了し本格稼働することも寄与する。今期1Q業績は、売り上げが45億5700万円(前年同期比1.3%増)と続伸するとともに、営業利益は3億6900万円の赤字(前年同期は3億8200万円の赤字)、経常利益は、3億6200万円の赤字(同3億7300万円の赤字)、純利益は2億5300万円の赤字(同2億5700万円の赤字)となった。なお同社の利益は、季節的に1Qは、年賀状印刷の先行投資で低下し、第2四半期は、この集中や年末年始商戦向けの折り込み広告の増加で増加し、第3四半期・第4四半期は、年賀状印刷の固定費のみ発生するため低下する特性がある。

 今7月期業績は、期初予想を据え置き売り上げ160億円(前期比2.0%増)、営業利益1億8000万円(同2.36倍)、経常利益2億円(同2.32倍)、純利益1億4000万円(同3.41倍)と大幅増益転換を見込んでいる。

高値調整幅3分の1戻し水準でPERは15倍台、配当利回りは2.8%となお割安

 株価は、今年3月に地方自治体の地域活性化事業を支援する子会社まち・ひと・しごと総研を設立したことで地方創生関連株人気を高めて年初来高値976円まで買い進まれ、その後の前期業績の下方修正で同安値584円に突っ込み、日本郵政グループ3社の新規株式公開(IPO)とともに関連株買いで下げ過ぎを訂正し、調整幅の3分の1戻し目前まで底上げした。PERは15倍台、PBRは1倍割れ、年間配当利回りは2.85%と割安であり、一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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