【編集長の視点】ぺプチドリームは東証第1部へ市場変更で需給好転の現実買いが先行し急反発
ぺプチドリーム<4587>(東1)は、きょう16日に東証マザーズから東証第1部に市場変更されて売買がスタートした。前日15日の東証マザーズの終値に対して180円高の3250円まで上げ通算して3営業日ぶりに反発している。6月25日につけた株式分割権利落ち後高値3730円を視界に捉えている。市場変更に伴う需給好転を素直に見直す現実買いが再燃し、バイオ関連の逆行高特性も買い手掛かりとなっている。また今6月期に入っても、内外の製薬会社と相次いで創薬共同開発契約を締結しており、前期と同様に業績上ぶれ期待を高めている。
今期業績も相次ぐ創薬共同研究開発契約締結で前期同様に上ぶれ期待
同社株は、今年12月9日に東証第1部市場への変更が承認され、株価は、3235円高値まで361円高と急伸した。市場変更に際して新株式発行などの希薄化材料を伴わず、東証株価指数(TOPIX)算入によるTOPIX連動型のファンドの組み入れ・買い増し需要が発生することが先取りされたもので、その後、全般相場波乱にツレ安して3000円台を試す展開となったが、今後のTOPIX算入開始に向け現実買いが高まってくることになる。
一方、同社の今6月期業績は、売り上げ30億9700万円(前期比25.2%増)、営業利益13億800万円(同5.9%減)、経常利益12億6700万円(同15.3%減)、純利益8億3500万円(同16.8%減)と増収減益が見込まれている。同社は、東京大学発のバイオベンチャーで、人工リボザイム(フレキシザイム)技術により無数の創薬のタネを無数に創り出すことができる特殊ペプチドを創製し、独自の創薬開発プラットフォーム「PDPS」を駆使して内外の製薬会社と創薬共同研究開発契約、受領した研究開発支援金やマイルストーンが、業績の根幹となっている。
前期業績は、スイスのノバルティス社、米国のブリストル・マイヤーズ スクイブ社、米国のメルク社など海外メガ製薬会社と創薬共同研究開発契約を相次いで締結したことから期初予想を上方修正、純利益は、この上方修正値をさらに上ぶれ10億400万円(前々期比6.78倍)と大きく続伸し一気に過去最高となった。今期も、複数の新規共同研究開発先の獲得や、共同研究開発プロジェクト進行に伴うマイルストーンフィーを見込んでいるが、利益は、研究開発の効率化投資や自社パイプライン開発推進のための研究開発投資などの影響で減益転換を予想している。ただ、今期に入って9月にフランスのサノフィ社、帝人ファーマ(東京都千代田区)、11月に杏林製薬(東京都千代田区)と共同研究開発契約を締結しており、前期と同様の業績上ぶれ期待も底流する。
分割落ち後高値からの調整幅の半値戻しを達成し相場格言の「全値戻し」にトライ
株価は、今年6月30日を基準日とした株式分割(1対4)を歓迎した権利取りで1万4920円高値まで4割高して1万4730円で権利を落とし、権利落ち後は、落ち後高値3675円から落ち後安値2616円まで調整、神奈川県川崎市に新研究施設を建設することで底上げ、東証1部への市場変更も続いて落ち後高値からの調整幅の半値戻し水準までリバウンドした。相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」にトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)