【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)への適応条
体力の衰退、収入の減少など6項目に適応を
サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)の基本的な考え方は、紀元前からあることを11月号でお話しました。近年先進国では急速に高齢化がすすみ、サクセスフル・エイジングはアンチエイジング(老化の進行を人為的に制御)から発展した考え方です。基本にあるのは、1)高齢期でも発達可能である、2)高齢者の人生はすべてが衰退ではなく知能低下や病気などは努力によって回避可能である、などの高齢者の生き方への考えの変化です。高齢者がこの考え方を生活の中に取り込み、前向きな生き方を目指すのがサクセスフル・エイジングです。
1987年カーン博士が「サクセスフル・エイジング達成には、大きな疾患や障害がなく、高い身体・認知機能を維持し、社会貢献を行える」と提唱しました。この達成には、身体・精神的問題だけでなく、経済・社会的に健全であり、家族・友人・近隣との良好な相互関係によっても構築されると報告しています。具体的には、①肉体的な力と健康の衰退に適応する、②隠退と収入の減少に適応する、③配偶者の死に適応する、④自分の年ごろの人々と、明るく親密な関係を結ぶ、⑤社会的・市民的義務を引き受ける、⑥健全な生活を満足に送れる、の6項目に適応することが重要視されています。さらに、ハヴィガースト博士は3条件として、①パーソナリティが強靱である(人柄)、②社会環境が支援的である(環境)、③身体が強健である(身体)を推奨しています。
人柄・環境・身体と少し難しい課題かもしれませんが、皆様方も健康な今から準備が必要かもしれません。まずは、肉体的な強靱さを常に意識し「毎日40分は歩く!」を心掛けて下さい。男性は③配偶者との離別後には家事負担が倍増し非常に脆弱になりがちですので、積極的に上記6項目に適応するようになさって下さい(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)