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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ワイヤレスゲートは調整の最終局面、中期成長力を評価して切り返し
- 2014/12/26 07:33
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート<9419>(東マ)の株価は、第3四半期累計(1月~9月)業績の低進捗率もあり軟調展開が続いたが、調整のほぼ最終局面であり、中期成長力を評価して切り返し展開だろう。
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供している。販売チャネルはヨドバシカメラでの販売、住友商事<8053>との業務提携による最大手携帯販売会社ティーガイア<3738>での販売を主力としている。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型収益構造だ。
中期成長に向けた重点戦略として、サービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げている。
新規事業では14年1月に法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始した。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなどソリューションサービスの提供を拡大する。
8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始と、訪問看護サービスのNフィールド<6077>との業務提携を発表した。9月にはLTE通信対応SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始した。また日本たばこ産業(JT)<2914>へのWi-Fiシステム提供を発表した。JTの飲料自動販売機をWi-Fiスポットにするもので、当社のクラウド型マネージドWi-Fiシステムが採用された。
11月にはビジュアルコミュニケーションサービスのブイキューブ<3681>と業務提携した。両社のサービスを組み合わせて新たなサービスを開発・提供する。また世界200カ国以上に1200万箇所以上のWi-Fiスポットを有するFon(スペイン)およびフォン・ジャパンと業務協力した。Fon社のWi-Fiルーターを活用して国内の観光地や商業施設などのWi-Fiネットワーク構築を目指す。
また12月18日には「ワイヤレスゲート Wi-Fi」併用可能な訪日外国人向けプリペイド型SIMカードの販売開始を発表している。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比20.6%増の85億09百万円、営業利益が同14.6%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億98百万円、純利益が同12.5%増の5億43百万円、配当予想が14年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期と同額の年間25円(期末一括)としている。
第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比27.5%増収、同1.3%営業増益、同1.0%経常増益、同3.8%最終増益だった。期初に予定していなかったLTE通信対応SIMカード販売開始に伴う保守・運用費が発生し、回線調達コストや販売促進費が増加したため、営業利益は小幅な伸びにとどまった。しかし売上面では、収益基盤である「ワイヤレスゲート Wi-Fi」および「ワイヤレスゲート Wi-Fi+WiMAX」が順調に推移して大幅増収だった。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が64.8%、経常利益が64.6%、純利益が67.6%で利益進捗率がやや低水準だった。しかし会員数積み上げのストック型収益構造であり、Wi-Fi環境イネーブラー事業など新規事業を通期見通しに織り込んでいないことを考慮すれば、特にネガティブ要因とはならないだろう。
来期(15年12月期)も会員数の増加に伴って、ワイヤレス・ブロードバンド事業やWi-Fi環境イネーブラーなどが順調に拡大するだろう。中期的にも収益拡大基調が期待される。
株価の動きを見ると、水準を切り下げて軟調展開が続いている。第3四半期累計の低進捗率の影響のようだ。12月17日には2785円まで調整した。ただし19日には3175円まで戻す場面があり、反発の動きを強めている。調整のほぼ最終局面だろう。
12月25日の終値2965円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円28銭で算出)は55倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS206円18銭で算出)は14倍近辺である。
日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んで調整局面だが、3000円近辺で下ヒゲを付けて下げ渋り感を強めている。調整の最終局面であり、中期成長力を評価して切り返し展開だろう。