【編集長の視点】T&DHDは反落も連続テレビ小説の高人気が波及して割安修正に再発進余地
写真=NHKオンライン NHK連続テレビ小説「あさが来た」
T&Dホールディングス<8795>(東1)は、34円安の1629.5円と3日ぶりに反落して始まっている。前日17日の米国市場で、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均が、253ドル安と急反落し、きょう18日の東京市場も、日経平均株価が、35.5円安と3日ぶりに小反落していることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社株の下値には、NHKの朝の連続テレビ小説『あさが来た』の高視聴率が続いており、同朝ドラに登場するヒロインが、同社傘下の大同生命保険の創業者の一人の広岡浅子をモデルとし、同じく両替商の加野屋も大同生命の源流の加島屋をモデルとしていることから、テレビ小説の高人気の波及を期待して割安修正買いが続いている。連続テレビ小説人気では、2014年9月から2015年3月まで放送されたニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝をモデルとした『マッサン』で、ウイスキー需要が回復したことなども連想されている。
特設WEBサイトを立ち上げテレビCMも放映し企業イメージを向上
広岡浅子は、近代日本の女性実業家の先駆けで、炭鉱、銀行、生命保険などの事業を手掛け大同生命の創業者の一人となっている。この大同生命は、2004年4月に太陽生命保険、T&Dフィナンシャル生命などをともに子会社とする形で経営統合されT&Dホールディングスとして設立された。同社は、『あさが来た』が、今年9月28日から来年4月2日まで放送されるのに先立って、9月16日に大同生命特設WEBサイト「大同生命の源流“加島屋と広岡浅子”」を立ち上げるとともに、今年10月2日から広岡浅子を登場させる新CMをテレビ放映した。また、12月7日からきょう18日まで、大阪商工会議所で『あさが来た』のパネル展が開催されており、同社の企業イメージの向上につながるとみられている。
一方、同社の業績は、前期業績が、資産運用益の増加などで上方修正され、純利益は過去最高となったが、今3月期業績は、保険料収入の減少などで経常収益1兆8700億円(前期比22.5%減)、経常利益1670億円(同11.6%減)、純利益780億円(同17.2%減)と減収減益転換が予想されている。ただ、今年5月に2000万株の自己株式を取得するために300億円の新株予約権付社債(CB)、いわゆるリキャップCBを発行してROE(株主資本利益率)経営を積極化し、想定を上回る資産運用益の増加も期待されており、上ぶれ観測も強まっている。
高値調整幅の半値戻し水準からPER13倍台、PBR0.8倍の修正に再発進
株価は、前期業績の上方修正で1800円台に乗せ、リキャップCB発行・自己株式所得で年初来高値1978.5円まで上値を伸ばし、世界同時株安に巻き込まれて1364円まで調整、下げ過ぎとして1812円と戻したあと、高値からの調整幅の半値戻し水準でもみ合っている。PERは13倍台、PBRは0.8倍と割安であり一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)