師走の「超一本足相場」では高値更新続出の自動運転関連株が「掉尾の一振」銘柄の有力候補=浅妻昭治
写真=昨年(2014年)の大納会
<マーケットセンサー>
米国市場は2時間、わが東京市場はわずか10分弱に過ぎない。日米の両中央銀行が、12月16日と18日にそれぞれ金融政策を決定し公表した直後の株高の継続時間である。米国市場では、その日は、ニューヨーク(NY)・ダウ工業株30種平均が、前日比1.28%高とプラス圏で引けたが、東京市場では、直後に日経平均株価が、500円超高と急伸したものの、そのザラ場高値からは約890円安と急落し、そのまま3日ぶりに1万9000円台を割り安値圏で引けた。
この両市場の違いなど、些細なことかもしれない。その後、米国市場では、NYダウが、前週末まで2日間も大幅続落、合計620ドルも下げているのだから当然である。しかし、もし株高継続時間の差が、日米の金融政策の方向性の違いを示唆しているとすれば、話は別になる可能性がある。残り7営業日となった師走相場や年明け以降の新春相場の動向に大きく影響するはずだからだ。
東京市場では、日銀の金融政策決定会合の結果は、まず「現状維持」と伝わり、次に「上場投資信託(ETF)買い入れ枠3000億円の新設」が加わり、最後に「補完措置」とのダメ押しが出た。日経平均株価は、ETF買い入れ枠新設を追加緩和策と評価して急伸し、補完措置とは、日銀が保有している株式の売却のための受け皿作りに過ぎないと失望して売られたのである。要するに日本の金融政策は、量的緩和策の「入り口」付近に停滞しているのか、それとも「出口」を目指しているのか分かり難く、しかも、市場との対話も不十分だから政策の手詰まりなどと酷評されて株価が乱高下したフシが強いのである。
これに対して米国では、9年半ぶりに政策金利を引き上げたが、市場との対話効果もあって「金融政策の正常化」と出口戦略を評価してわずか2時間ではあったが、株高で反応した。その後、週末まで2日続落となったが、相場の方向性は、米国の企業業績がドル高に耐えられるのか、原油価格安を乗り切れるのか、新興国からの資金流出が起こるのかなどにポイントが絞られ非常に分かりやすい。しかも何かあったら、FRB(米連邦準備制度理事会)は、今回の政策金利引き上げで政策ツールを手中にしているのである。
この見方が当たっているとすれば、残りわずかな師走相場、新春相場は、米国市場頼みの「一本足相場」の可能性が高くなる。「米国がくしゃみをすれば日本は風邪を引き」、「米国は笑えば日本は大笑い」する相場パターンの鮮明化である。この相場パターンから浮上するセクター株は、米国売り上げ比率の高い自動車株のはずである。実は、前週末18日は、この自動車関連株のなかでも「超一本足相場」を示唆するテーマ株が急浮上した。自動運転関連株である。
三菱総合研究所<3636>(東1)、パーク24<4666>(東1)、萩原電気<7467>(東1)、パスコ<9232>(東1)、ゼンリン<9474>(東1)の自動運転関連株が年初来高値を更新し、ほぼ高値で引けたからだ。後追いとなるきらいもないではないが、この自動運転関連株をマークしつつ、主力株の日産自動車<7201>(東1)、トヨタ自動車<7203>(東1)、ホンダ<7267>(東1)、富士重工業<7270>(東1)などにも網を張っておけば、師走相場の「掉尾の一振」銘柄や新春相場の「お年玉」銘柄の有力候補として期待は高まろうというものである。(本紙編集長・浅妻昭治)