【チャート診断】キヤノンは12月期末配当取りに魅力も中期は欧州経済不透明で上値限界も
キヤノン<7751>(東1・売買単位100株)は、年初来高値(4月=4539円)と同安値3402円(8月)の中間値3970円を若干、下回ったところでモミ合っている。12月期末配当の魅力はあるが、中期的には中国及び欧州経済の動向がカギを握っているといえる。
<株価の歩みと位置>
2014年2月の2880円台から2015年4月の4539円まで約1730円(約60%)上昇後、中国ショック安で9月29日に3402円まで調整、14年からの上げ幅のほぼ3分の2押しとなって底打ちした。その後は3700円を挟んだモミ合いが続いており、21日は3718円(前日比38円高)とモミ合い水準に戻している。
とくに、優良株の多くが2007年の水準を奪回しているのに対しキヤノンは07年水準(6760円)に対し5.5合目にとどまっている。
<マーケットの視点>
海外比率が約8割と高く、特に、欧州依存率が高いだけに欧州経済の今後が注目されている。同時に、欧州経済に影響度の大きい中国経済の動向にも関心は高い。未定となっている今12月期の期末配当(中間期は75円実施)に対する期待もある。
さらに、2015年12月期の2.5%増収、0.4%増益の業績横ばい見通しに対し、次期の業績がどう推移するかも注視されている。ちなみに、四季報・新春号では次期の営業利益も横ばいの見通しとなっている。
<相場の方向と短期・中期見通し>
仮に、12月期末の配当を中間期末と同じ75円とすれば所有期間利回り2.0%にはたいへん魅力がある。もしも、期末配当が75円以上ということになれば魅力はいっそう増すことになる。従って、短期的には下値不安のないことから配当取りの買いで堅調が予想され、中国ショック安後の戻り高値3862円(10月26日)に突っかける場面が予想されそうだ。
中期的には中国及び欧州経済の先行きが不透明だけに上値は限定とみられる。とくに、次期見通しが四季報の見通しの範囲内ということならなおさら上値を期待するのは難しそうである。ただ、優良株の中で2007年高値に対する出遅れ感があるので欧州経済等に明るさが伝わったりすれば一時的に見直される場面はありそうだ。短期的には12月の配当取りは一法だろう。