【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イワキは後発医薬品普及率引き上げ政策が追い風、有機EL関連も注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・化成品を主力とする専門商社である。15年11月期は減益予想だが16年11月期は収益改善が期待される。後発医薬品(ジェネリック)の数量ベース普及率を80%以上に引き上げるという政府方針やインバウンド需要が追い風であり、有機EL関連も注目点となる。2%台後半の配当利回りや0.4倍近辺の低PBRも見直し材料だ。株価は8月の年初来安値に接近して調整の最終局面と考えられる。反発のタイミングだろう。

■医薬品・医薬品原料・化成品などを主力とする専門商社

 1914年創業の医薬品商社で、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局経営)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品OEM製造)、化成品事業(電子工業用薬品・表面処理用薬品・化成品の製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントOEM製造)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売)を展開している。

■中期成長に向けて卸売・商社・メーカー機能の連携を強化

 全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、そしてグループ内の岩城製薬(後発医薬品・医薬品原料、医療機関向け化粧品など)とメルテックス(表面処理薬品など)のメーカー機能を併せ持つことが強みで、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業での市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。

 15年8月には、当社の化成品事業における表面処理薬品原料等の販売事業を、当社の完全子会社であるメルテックスに承継する(効力発生日15年12月1日予定)と発表した。グループ内の重複業務の解消、迅速な事業戦略の実行、グループ経営資源の効率的活用を実現させて事業基盤強化を図る方針だ。

 また15年10月にはベトナム駐在員事務所の開設を発表した。海外展開強化の一環として、ベトナムおよび周辺国における市場調査や営業支援等を推進する。

■子会社元役員による不正発覚、再発防止に取り組む

 なお11月20日に、子会社ホクヤクの元役員による不正行為(総額約1億26百万円の着服)発覚を発表した。当該不正行為は過去10年以上の長期にわたって行われたものであり、回収不能見込み額は過年度に遡って各期の営業外費用として計上する予定だ。そして第三者調査委員会による調査結果、訂正決算短信および訂正有価証券報告書は16年1月中旬を目途に公表する。

 当該不正行為は当社および当社グループの財務基盤に重大な影響を及ぼすものではないが、第三者調査委員会による検証および調査を受けたうえで、グループ全社をあげて再発防止および内部管理体制のさらなる強化に取り組むとしている。

■第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益構造

 なお14年11月期の四半期別推移を見ると売上高は第1四半期(12月~2月)125億44百万円、第2四半期(3月~5月)141億92百万円、第3四半期(6月~8月)131億90百万円、第4四半期(9月~11月)142億19百万円で、営業利益は第1四半期1億90百万円、第2四半期4億24百万円、第3四半期23百万円の赤字、第4四半期2億99百万円だった。第2四半期および第4四半期の構成比が高い収益構造だ。

 また14年11月期の配当性向は50.1%だった。ROEは13年11月期比1.7ポイント低下して2.9%、自己資本比率は同1.0ポイント低下して43.8%だった。

■15年11月期第3四半期累計は化成品事業低調だが医薬品関連は好調

 前期(15年11月期)第3四半期累計(12月~8月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.9%増の414億74百万円、営業利益が同7.9%減の5億44百万円、経常利益が同1.2%減の6億64百万円、純利益が71百万円の赤字(前年同期は2億77百万円の利益)だった。

 化成品事業の販売低迷の影響で減益だった。純利益については、繰延税金資産のうち3億46百万円を取り崩して第3四半期(6月~8月)の法人税等調整額に計上したことも影響した。ただし医薬品事業および医薬品原料・香粧品原料事業はジェネリック医薬品関連が好調に推移した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、医薬品事業は売上高が同5.7%増の135億44百万円、営業利益が同15.5%増の1億67百万円だった。ジェネリック医薬品では14年12月上市した合成抗菌剤が価格競争の影響を受けたが、外皮用剤の抗真菌剤やアトピー性皮膚炎治療薬の新規採用が拡大した。一般用医薬品および関連商品では、ドラッグストア向け新規取扱商品増加や免税店向け販売伸長が牽引した。

 医薬品原料・香粧品原料事業は、売上高が同2.1%増の127億57百万円、営業利益が同4.1%増の7億53百万円だった。ジェネリック医薬品の需要拡大に伴って、抗アレルギー用剤原料などが好調に推移した。受託品の血圧降下剤原料は輸出が好調だった。

 化成品事業は、売上高が同7.3%減の54億79百万円、営業利益が3億42百万円の赤字(前年同期は41百万円の赤字)だった。国内における自動車生産台数の減少や、アジアにおけるスマートフォン・タブレット端末の生産鈍化などが影響して、営業損益が大幅に悪化した。

 食品原料・機能性食品事業は売上高が同14.1%増の66億88百万円、営業利益が同11.8%増の2億56百万円だった。食品原料では糖化製品やフリーズドライ製品などの新規取扱原料が伸長し、サプリメント原料では美容・エイジングケア・ダイエット関連の原料が堅調だった。

 化粧品通信販売事業は、売上高が同2.9%減の13億83百万円、営業利益が1億36百万円(前年同期は59百万円の赤字)だった。スキンケア商品の充実や販売促進施策の見直しなどで主力の化粧下地品が伸長した。その他事業は売上高が同13.9%増の16億19百万円、営業利益が6百万円(前年同期は4百万円の赤字)だった。

 なお15年11月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(12月~2月)130億01百万円、第2四半期(3月~5月)145億15百万円、第3四半期(6月~8月)139億58百万円、営業利益は第1四半期90百万円、第2四半期3億08百万円、第3四半期1億46百万円だった。

■15年11月期減益予想だが医薬品関連は拡大基調

 前期(15年11月期)通期の連結業績予想(10月9日に売上高を増額、利益を減額修正)は、売上高が前々期比1.6%増の550億円、営業利益が同28.1%減の6億40百万円、経常利益が同20.8%減の7億70百万円、そして純利益が0億円(前期は5億05百万円の利益)としている。前回予想(1月14日公表)に対して売上高は20億円増額、営業利益は2億60百万円減額、経常利益は1億80百万円減額、純利益は6億円減額した。

 化成品事業の販売低迷を主因に利益を減額修正した。表面処理薬品における提携先ローム・アンド・ハース電子材料との契約期間満了に加えて、国内における自動車生産台数の減少やアジアにおけるスマートフォン・タブレット端末の生産鈍化などが影響する。純利益については化成品事業子会社の業績低迷に伴い、繰延税金資産のうち3億46百万円を取り崩して第3四半期の法人税等調整額に計上したことも影響する。

 ただし医薬品事業、医薬品原料・香粧品原料事業が好調に推移して売上高は期初計画を上回る。医薬品事業では、ジェネリック医薬品の需要拡大に伴って外皮用剤が好調に推移し、一般用医薬品および関連商品も訪日外国人旅行客のインバウンド需要拡大で免税店向けが好調に推移している。医薬品原料・香粧品原料事業では、ジェネリック医薬品原料の抗アレルギー用剤原料などが好調に推移している。化粧品通販事業はモンドセレクション金賞を2年連続で受賞した主力製品の「シルキーカバーオイルブロック」の好調が牽引する。

 配当予想については前回予想(1月14日公表)を据え置いて、前期から記念配当1円50銭を落とした年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 なお通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が85.0%、経常利益が86.2%である。第4四半期の構成比が高い収益構造であることも考慮すれば、一段の利益下振れの可能性は低いだろう。

■医薬品関連が牽引、化成品も改善して中期的に収益拡大期待

 中期成長に向けては、医薬品事業、医薬品原料・香粧品原料事業では岩城製薬の生産能力増強、外部への製造委託推進による採算改善、新製品の投入、化成品事業ではメルテックスの海外拠点の現地化、中国販売拠点の再構築、新製品の拡販などを推進する方針だ。

 化成品事業は、ライセンス生産が終了して利益率が高い自社製品生産へシフトし、新製品の投入・拡販などで収益改善を進め、今期(16年11月期)後半の黒字化を目指している。また韓国の大手メーカー向けに有機EL関連の大型案件を受注したことも注目される。

 医薬品事業および医薬品原料・香粧品原料事業は拡大基調だろう。後発医薬品の数量ベース普及率を80%以上に引き上げるという政府の骨太方針や、インバウンド需要も追い風となる。

 医薬品関連が牽引し、化成品事業の改善も寄与して中期的に収益拡大が期待される。

■株価は調整の最終局面

 株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して水準を切り下げた。12月21日には203円まで調整した。ただし15年11月期減益予想は織り込み済みであり、8月の年初来安値198円に接近して調整の最終局面と考えられる。

 12月22日の終値206円を指標面で見ると、前期推定配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.9%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS514円70銭で算出)は0.4倍近辺である。なお時価総額は約70億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、8月の年初来安値198円に接近して調整の最終局面と考えられる。16年11月期の収益改善期待、2%台後半の配当利回り、0.4倍近辺の低PBRも見直し材料だ。有機EL関連も注目点となる。反発のタイミングだろう。

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