【アナリスト水田雅展の銘柄分析】バルクホールディングスの16年3月期は営業増益予想で増額余地、情報セキュリティ関連も注目テーマ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 バルクホールディングス<2467>(名セ)はコンサルティング事業、マーケティング事業、IT事業、住宅関連事業を展開する持株会社である。株価は9月急伸前水準に接近して調整の最終局面と考えられる。16年3月期営業増益予想で増額余地がありそうだ。マイナンバーを含めた情報セキュリティ関連も注目テーマとなる。反発のタイミングだろう。

■コンサルティング事業などを展開する持株会社

 コンサルティング事業、マーケティング事業、IT事業、住宅関連事業を展開する持株会社である。94年9月バルク(旧)設立、05年12月名証セントレックス市場に新規上場、07年3月分社型新設分割によりバルク(旧)が純粋持株会社に移行して現社名に変更した。

 連結子会社のバルク(新)(コンサルティング事業、マーケティング事業)、マーケティング・システム・サービス(13年3月子会社化、マーケティング事業)、ヴィオ(10年5月子会社化、IT事業)、ハウスバンクインターナショナル(14年1月子会社化、住宅関連事業)を置き、アトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

■プライバシーマーク・ISO27001認定取得支援に強み

 主力のコンサルティング事業は連結子会社バルク(新)が、個人情報保護などの情報セキュリティマネジメント分野において、プライバシーマーク認定取得支援・ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援を主力としている。

 プライバシーマーク認定取得では大企業から中小企業まで国内トップクラスの1600件超、ISO27001認証取得では500件超の取得支援実績を誇っている。情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーである。

 自社社員によるコンサルタント、ISMS審査員資格保有者の在籍、自社開発の支援ITツールによる作業負担軽減、教育支援メニューや取得後の継続維持・運用サポートメニューの充実などを強みとして、あらゆる業種・業態への対応実績を持つ。このため企業にとっては短期間での取得が可能になる。

 15年6月には業界初の情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」をリリースした。進捗状況が一目瞭然などで運用スケジュールが簡単に管理できるなどの特徴があり、プライバシーマーク更新やマイナンバー制度対応のセキュリティコンサルティングサービスも含めて、顧客囲い込み戦略を推進する方針だ。

 なお「V-Cloud」リリース後は、更新比率が大幅に上昇して、クラウド利用社数が大幅に増加しているようだ。月額課金型のため顧客囲い込みによってストック収益拡大にも繋がる。

■マーケティング事業は新製品モニター調査などが主力

 マーケティング事業は、連結子会社バルク(新)がマーケティングリサーチ事業、連結子会社マーケティング・システム・サービスがSP(セールスプロモーション)事業や広告代理業を展開している。

 連結子会社バルク(新)のマーケティングリサーチは、大手メーカーの新製品開発時のモニター調査などを主力としている。ネットリサーチ・インタビューなどの調査手法をベースとして、調査の企画・設計・分析・実査から商品企画などのマーケティング戦略支援まで、企業のマーケティング活動における課題を総合的にワンストップで解決・支援する。

 15年7月には店頭調査「Shoppers Direct」をリリースした。実際のお店に来店するお客様の「行動の観察」や「インタビュー」を行うことで、従来の調査では知ることのできない「気付き」を得ることができるなどの特徴を持つ。

 連結子会社マーケティング・システム・サービスのマーケティング事業は、食品関連流通事業者(スーパー、食品卸など)のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティ制作などで、クライアントの課題解決を総合的に支援している。関東の大手スーパー向けを主力としている。

■IT事業は開発リソースをグループ内システム開発にも活用

 IT事業は連結子会社ヴィオが、大手SIベンダーからのビジネスアプリケーションなどの受託開発を主力として、オリジナルのパッケージソフトを活用したITソリューションサービスも展開している。

 企業間ネットワーク業務提携事業では、顧客とヴィオが業務提携し、共同事業でシステム導入に伴う収益を、双方の負担に応じてレベニューシェアする方式を目指している。

 またグループ内にシステム開発会社を持つことで、開発リソースをコンサルティング事業の運用支援ツールなど、グループ内のシステム開発に活用できるメリットがある。

■住宅関連事業は京都で地域密着の事業展開

 住宅関連事業は連結子会社ハウスバンクインターナショナルが、戸建住宅建築請負工事およびリフォーム工事全般を展開している。

 天井やフローリングなどに天然木を使用した「天然木の家」を主力として、地域密着(京都府長岡京市)の事業展開を推進している。25年の歴史を持ちリフォーム実績件数は5000件以上である。

■アライアンス戦略も推進

 15年8月には連結子会社バルク(新)が、IT全般のコンサルティング事業を行うITbook<3742>と、コンサルティング事業分野で業務提携した。相互の顧客紹介、相互の製品・サービスの販売、共同提案やセミナー共催など販売活動における協調、両社の強みを生かした共同事業の創出を推進する。

 12月14日には連結子会社バルク(新)とブーメランイット・ジャパン(BIJ社)の情報セキュリティ分野における業務提携を発表した。BIJ社の紛失物回収サービス「マイブーメラン」をバルク社で販売するとともに、情報セキュリティ市場における共同提案やセミナー共催など販売活動における協調、情報セキュリティ市場における共同事業の創出を推進する。

 BIJ社は米国ブーメランイット社との独占ライセンス契約に基づいて、国内初の国際的紛失物回収サービス「マイブーメラン」を提供している。スマートフォン、パソコン、入退室カードなどに貼付・装着するためのシリアルナンバー(番号)を記載したラベル等を提供し、紛失物の回収を代行するサービスである。MDM(モバイルデバイス管理)システムを補完して情報セキュリティ対策の完成度を高めるサービスのため、バルク(新)の情報セキュリティコンサルティングサービスとの高い親和性も有している。

 また12月15日にはパイプドHD<3919>グループのパイプドビッツと、マイナンバー対応が求められる企業の役員および担当者を対象に、マイナンバー対応セミナーを共催した。

■営業損益改善基調

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)4億23百万円、第2四半期(7月~9月)5億29百万円、第3四半期(10月~12月)5億56百万円、第4四半期(1月~3月)5億52百万円で、営業利益は第1四半期26百万円の赤字、第2四半期25百万円、第3四半期32百万円、第4四半期11百万円だった。

 また15年3月期の売上総利益率は14年3月期比0.4ポイント上昇して26.8%、販管費比率は同横ばいの24.8%だった。マーケティング・システム・サービスの株式取得時に発生したのれん減損損失42百万円を特別損失に計上したため純利益は15百万円の赤字だったが、営業損益は改善基調のようだ。なお15年3月期の自己資本比率は14年3月期比4.6ポイント低下して44.0%だった。

■16年3月期第2四半期累計は計画超の増収増益で営業黒字化

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比28.6%増の12億25百万円、営業利益が42百万円(前年同期は1百万円の赤字)、経常利益が44百万円(同0百万円)、純利益が31百万円(同3百万円の赤字)だった。計画超の増収増益で営業黒字化した。

 既存顧客および新規顧客への積極的な営業活動、新サービスの提供などが奏功して全事業が期初計画を上回った。主力のコンサルティング事業はマイナンバー対応や情報セキュリティ対策に関するニーズの高まりも背景として好調に推移した。利益面では増収効果に加えて、販管費削減の前倒しや生産性向上施策の進捗も寄与した。なお売上総利益率は23.9%で同2.9ポイント低下したが、販管費比率は20.4%で同6.6ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、コンサルティング事業は売上高が同24.4%増の1億04百万円で、営業利益が同72.7%増の38百万円、マーケティング事業は売上高が同23.5%増の4億05百万円で、営業利益が同35.3%増の28百万円、IT事業は売上高が同3.8%増の94百万円で、営業利益が同50.7%増の10百万円、そして住宅関連事業は売上高が同36.4%増の6億26百万円で、営業利益が17百万円(前年同期は2百万円の赤字)だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)6億39百万円、第2四半期(7月~9月)5億86百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期33百万円だった。

■16年3月期増収営業増益予想で増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比1.9%増の21億円、営業利益が同6.6%増の45百万円、経常利益が同6.3%減の46百万円、純利益が30百万円(前期は15百万円の赤字)としている。配当予想は無配継続としている。

 通期会社予想に対する第2四半期の進捗率は売上高が58.3%、営業利益が93.3%、経常利益が95.7%、純利益が103.3%と高水準だ。競合激化、仕入・外注コスト上昇、さらに住宅関連事業における引き渡しの期ズレなど、不確定要素が多いとして通期会社予想を据え置いたが、増額余地があるだろう。

■株価は調整の最終局面

 繰越欠損金を解消するため15年3月に資本金を6億55百万円から1億円に減資した。ただし「純資産の部」における項目間の振替であり、純資産額に変更はない。

 12月7日に主要株主の異動(異動日15年11月30日)を発表した。SHcapitalの所有株式数が79万7400株(総株主の議決権の数に対する割合10.64%、大株主順位5位)から42万7000株に減少した。なお42万7000株のうち37万4600株を株式消費貸借契約に基づきDAWNCAPITALに貸与している。

 株価の動きを見ると、急伸した9月の年初来高値560円から反落して調整局面だ。12月25日には225円まで調整した。ただし急伸前の水準に接近して調整の最終局面だろう。

 12月28日の終値235円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円00銭で算出)は59倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS82円79銭で算出)は2.8倍近辺である。時価総額は約18億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、9月急伸前水準に接近して調整の最終局面と考えられる。16年3月期営業増益予想で増額余地があり、マイナンバーを含めた情報セキュリティ関連も注目テーマとなる。反発のタイミングだろう。

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