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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】シンプロメンテは16年2月期増額余地で収益改善基調、自律調整一巡して11月高値目指す
- 2015/12/29 10:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
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シンプロメンテ<6086>(東マ)は店舗設備・機器メンテナンスサービスを展開している。16年2月期大幅増益予想で増額余地があり、収益改善基調だ。株価は自律調整が一巡して11月の年初来高値を目指す展開だろう。
■店舗設備・機器メンテナンスサービス
大手飲食・小売チェーンを主要顧客として、店舗における内外装および各種設備・機器(厨房機器、給排水・衛生設備、空調・給排気・ダクト設備、電機設備、照明機器、ガス設備、看板、自動ドア・ガラス・鍵・シャッターなど)の不具合を解決するメンテナンスサービスを提供している。
全国の店舗から24時間365日、修理・メンテナンスの依頼を受け付け、依頼の種類・地域・内容などに応じて全国のメンテナンス協力業者(メンテキーパー)から適切な業者を選定・手配し、店舗の設備・機器等の不具合を解決することが特徴だ。
事業区分はワンストップメンテナンスサービスとメンテナンスアウトソーシングサービスとしている。
ワンストップメンテナンスサービスでは、各種設備・機器の突発的なトラブル発生時に対応する緊急メンテナンスサービスを主力として、各種設備・機器の点検・整備・洗浄・清掃を定期的に行う予防メンテナンスサービスも提供している。
メンテナンスアウトソーシングサービスでは、当社のメンテナンス体制を厨房機器メーカーにOEM的に提供することで、メーカーのメンテナンス業務のサポートを行っている。
■メンテナンス実績が評価されて売上は順調
なお15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)9億80百万円、第2四半期(6月~8月)12億66百万円、第3四半期(9月~11月)10億77百万円、第4四半期(12月~2月)9億84百万円、営業利益は第1四半期12百万円、第2四半期59百万円、第3四半期14百万円、第4四半期19百万円だった。外注費等の原価が急騰したため減益だったが、メンテナンス実績が評価されて売上面は順調のようだ。
15年2月期末時点の顧客店舗数は外食業界、物販・小売業界、美容・介護業界など合計2万4997店舗(14年2月期末は2万8507店舗)、メンテキーパー数は厨房機器関連、給排水関連、空調・ダスト関連、電気関連、ガス設備関連など合計4742社(同4831社)だった。
また15年2月期の配当性向は36.7%だった。ROEは14年2月期比8.1ポイント低下して8.7%、自己資本比率は同2.0ポイント上昇して52.2%だった。
■16年2月期第2四半期累計は大幅増収増益
今期(16年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の非連結業績は売上高が前年同期比16.0%増の26億06百万円、営業利益が同99.0%増の1億41百万円、経常利益が同99.3%増の1億42百万円、そして純利益が同2.1倍の88百万円だった。
売上面では既存顧客の取引アイテムおよび取引エリアの拡大、新規顧客獲得などで受注が順調に増加した。セグメント別売上高は、緊急メンテナンスが同14.4%増の22億92百万円、予防メンテナンスが同45.1%増の2億64百万円、メンテナンスアウトソーシングが同18.6%減の48百万円だった。対応依頼件数は月平均6945件で、前年同期の月平均6570件に比べて375件増加した。
利益面では増収効果に加えて、メンテナンス協力業者や部品仕入先の再編などの効果で売上総利益率が改善した。業務効率向上効果なども寄与した。売上総利益率は22.1%で同1.1ポイント上昇、販管費比率は16.7%で同1.2ポイント低下した。
15年8月末時点の顧客店舗数は全国合計2万5525店舗(外食業界1万8944店舗、物販・小売業界5849店舗、美容・介護業界671店舗、その他61店舗)で、メンテキーパー数(延べ企業数)は全国合計4868社(厨房機器関連678社、給排水関連820社、空調・ダクト関連622社、電気関連526社、ガス設備・開口部・外構・内外装・その他2222社)となった。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)11億12百万円、第2四半期(6月~8月)14億94百万円、営業利益は第1四半期46百万円、第2四半期95百万円だった。
■16年2月期大幅増益予想で増額余地、収益改善基調
今期(16年2月期)の非連結業績予想(4月14日公表)は、売上高が前期比5.7%増の45億53百万円、営業利益が同51.8%増の1億58百万円、経常利益が同51.0%増の1億59百万円、純利益が同32.1%増の93百万円としている。配当予想は前期と同額の年間15円(期末一括)で予想配当性向は27.7%となる。株主還元方針は、長期的かつ総合的に株主利益の向上を図り、持続的に配当を行うことを基本方針としている。
売上面では新規顧客獲得に向けた継続的な営業活動、取り組みが限定的な既存顧客への修理・修繕業務のアウトソーシング化推進、メンテナンスサービス提供の対象業界の拡大などで増収を見込む。売上総利益率は同1.2ポイント上昇の22.1%、販管費比率は同0.1ポイント上昇の18.6%を想定している。
利益率改善に向けてメンテキーパーのさらなる整備と再編、人材教育プログラム導入による継続的な社員のスキル向上と業務効率向上、既存システムのパフォーマンスアップに向けた継続的な改善を推進する。
また顧客満足度向上に向けてサービス提供スピードを上げる業務プロセスの再構築、メンテナンス道場を軸とした顧客サポートメニューの強化にも取り組む方針だ。
前期(15年2月期)は一部アイテムでの原価上昇、新規顧客での早期シェア確保のための営業的な価格政策などで売上総利益率が低下し、将来の受注拡大を見据えた人員確保による販管費の増加などで大幅減益だったが、メンテキーパー網の再整備などで収益改善を進めている。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が57.2%、営業利益が89.2%、経常利益が89.3%、純利益が84.6%と高水準である。通期業績の会社予想には増額余地があるだろう。メンテナンス業務のアウトソーシング化の流れも背景として、飲食店向けを中心に依頼件数は増加基調であり、業務効率改善も寄与して収益改善基調だろう。
■アウトソーシング化の流れで中期成長期待
中期成長に向けた重点戦略としては、既存サービスの提供手法の多様化、他社との協業による新サービスの開発、メンテナンス研修を軸としたサポートメニューの強化も推進する。
ワンストップメンテナンスサービスでは、外食業界以外の物販・小売、理美容、教育、医療・介護、宿泊・娯楽などの業界にも新規顧客開拓を推進する。メンテナンスアウトソーシングサービスでは、サービスをOEM的に提供する企業の増加を目指すとともに、個人経営店舗向けの提供も視野に入れてシェア拡大を図る方針だ。
外食業界や小売業界などでは、店舗の老朽化や人手不足の深刻化、店舗の衛生環境改善や従業員の労働環境改善に対する意識の高まりも背景として、メンテナンス業務のアウトソーシング化が一段と進展することが予想される。新規サービス開発なども寄与して中期的に収益拡大が期待される。
■株価は自律調整一巡
株価の動きを見ると、11月の年初来高値1285円から反落し、利益確定売りや全般地合い悪化の影響で水準を切り下げたが、収益改善基調を評価する流れに変化はなく自律調整の範囲だろう。
12月28日の終値1099円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS54円06銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS481円22銭で算出)は2.3倍近辺である。時価総額は約19億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%近くまで拡大して目先的な売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。自律調整が一巡したようだ。16年2月期大幅増益予想で増額余地があり、収益改善基調だ。自律調整が一巡して11月の年初来高値を目指す展開だろう。