【編集長の視点】鎌倉新書は反落も3Q高利益進捗業績を見直し下げ過ぎ直近IPO株買いが再燃余地
鎌倉新書<6184>(東マ)は、53円安の2245円と前日28日の変わらずを含めて3営業日ぶりに小反落して始まっている。きょう29日の日経平均株価が、89円安と反落してスタートし、正月休みを控えていることから、今年12月25日につけた上場来安値2052円から底上げ途上にある同社株も、目先の利益を確定する売り物に押されている。ただ下値には、今年12月4日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、初決算として12月10日に発表した今1月期第3四半期(3Q)業績が、1月通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことを見直し、下げ過ぎ訂正期待の直近IPO株買いが続いている。2015年のIPO市場が、12月25日上場の一蔵<6186>(東2)で最終となり、新年相場は例年、2~3月までIPOの空白期となる季節的な要因も、直近IPO株への集中人気につながると先取りされている。
■3Q利益はIPO時予想の1月通期業績に対して94%と高進捗
3Q業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期との比較はなく売り上げ8億3900万円、営業利益1億6500万円、経常利益1億5800万円、純利益9400万円で着地し、1月通期予想業績に対して売り上げが78%、利益が94~90%と目安の75%を大きく上回った。同社は、死別後に備えた事前準備から葬儀、仏壇、お墓、その後の遺族による生活の再構築までを総合的にサポートするライフエンティングサービス事業の各種のポータルサイトを運営しており、ライフエンディングが、少子高齢化が進むなか社会的に「終活」への関心が高まって浸透しており、ポータルサイトを通じてユーザーに有益な情報提供を行い、取引先へ紹介するため取引先に対する十分な調査と、専門家による相談窓口としてコールセンターの充実とに努めたことなどが寄与した。
そのポータルサイトは、全国の葬儀社、斎場、火葬場選びをサポートする「いい葬儀」、同じく霊園・墓地、お墓選びの「いいお墓」、お仏壇・仏具、仏壇店選びの「いい仏壇」、さらに相続税、遺言状などの情報を掲載する終活をサポートする「Yohoo!エンディング」を展開、年間閲覧者数は、「いい葬儀」では2014年度に330万人、年間総ページビュー(PV)数は、950万PVとなり、「いいお墓」の年間総PV数は、1200万PVに達した。
今1月期通期業績は、IPO時予想を変更せず売り上げ10億7600万円(前期比17.4%増)、営業利益1億7500万円(同14.2倍)、経常利益1億6800万円(同6.0倍)、純利益1億400万円(同9.8倍)と見込んでいる。誰に頼めばいいか、選ぶ基準が分からないと悩む一般ユーザーと、集客やセールスにコストがかかり過ぎる事業者との間をマッチングし、自社のコールセンターを通して高齢者のさまざまなニーズや課題に対応して適切な情報を提供していることが大幅増益要因となっている。
■2015年のIPO終了とともに新年相場に向け初値割れから再発進
株価は、公開価格1000円に対して上場2日目に2806円で初値をつけ即ストップ高、翌8日もストップ高して上場来高値4010円まで買い進まれる高人気となった。最高値後は、2831円安値から今期3Qの好決算に反応して3035円の戻り高値をつけたが、年末のIPOラッシュの影響で上場来安値2052円へ突っ込み、2015年のIPO終了とともに底上げに転じた。IPO空白期の新年相場に向け、なお初値割れは下げ過ぎとして、一段の戻りにチャレンジしよう。