【編集長の視点】ラクスは上場来安値から4連騰、EC向け業務提携を見直し直近IPO株買いが増勢
ラクス<3923>(東マ)は、67円高の1780円と4営業日続伸して始まり、今年12月24日につけた上場来安値1549円からの底上げを鮮明化している。同社株は、今年12月9日に新規株式公開(IPO)されたばかりだが、IPO直後の12月16日にはクラウドサービスを展開する同業のNHNテコラス(東京都新宿区)との業務提携を発表、EC(電子商取引)向けでの展開力が強化されるとして成長可能性を見直し、直近IPO株買いが増勢となっている。
■国内トップシェアの「メールディーラー」がEC事業者向けにさらに展開力
同社は、クラウド技術を使ったメールや経費精算などの管理ソフトを開発・販売しており、EC事業者向けメール共有・一元管理サービス「メールディーラー」は、100以上の機能を搭載して7年連続でクラウド市場のシェアNO.1を誇り、精算業務の大幅な効率化を実現する「楽楽精算」も、導入社数NO.1のポジションを占めている。今回業務提携したNHNテコラスは、複数のネットショップの受注・在庫・商品を一元管理するクラウドサービス「TEMPOSTAR(テンポスター)」を展開、オールインワン型でECショップの業務効率化をサポートしているが、今回の業務提携では、「メールディーラー」と「TEMPOSTAR」との間でシステム連携が実現することで商品の追加や配送先変更、購買者からの要望や問い合わせに正確、迅速に対応でき、いっそうの業務の効率化と顧客満足度の向上につながるととともに、両社間での相互の送客も見込める。
国内クラウド市場は、2013年度の3329億円から10年後の2023年度には8895億円と2.67倍に高成長すると予測されており、同サービスを垂直統合モデルで提供して業界トップシェアを誇っている同社の業績は、新規契約の獲得と継続契約の継続率の高さとによるストック(契約)積み上げモデルをベースに前2015年3月期まで15期連続の増収、14期連続の黒字と高成長している。今3月期業績は、売り上げ40億1400万円(前期比17.6%増)、営業利益5億6900万円(同27.6%増)、経常利益5億6100万円(同25.2%増)、純利益3億5300万円(同6.8%減)と予想している。配当も、ネット系の新興市場株として異例の3.55円(前期実績は株式分割権利落ち前で70円)の継続を予定している。なお純利益の減益転換予想は、前期に子会社売却で法人税等が減少したことによる一時的な反動減であり、実質では増益となる。
■新年相場早々のIPO空白期に成長可能性を再評価しリバウンド幅拡大へ
株価は、今年12月9日に公開価格1080円でIPOされ、初日は買い気配値を切り上げたまま推移し2日目に3550円で初値をつけ上場来高値3620まで買い進まれる高人気となり、大引けではストップ安と売られる荒い値動きとなったが、その後の2027円安値からはNHNテコラスとの業務提携で2386円とリバウンドした。足元は、年末のIPOラッシュの影響で再度、上場来安値1549円まで突っ込んだが、下げ過ぎとして底上げに転じた。新年相場のIPO市場は例年、2~3月までIPOが休止、空白期になることもあり、同社株の成長可能性を再評価する直近IPO株買いの増勢で一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)