日米共通の「辛抱・忍耐」のダブル効果をテコに円安メリット株が新年相場のお年玉銘柄に浮上=浅妻昭治

編集長の視点

<マーケットセンサー>

5日間の正月休みを挟んで名実ともに始まる2015年相場がどう動くのか、まず干支格言に則って読み解くのが、新年の兜町の恒例行事となっている。新年の干支は、「未(ひつじ)」で、相場格言は、「未辛抱」と中程度の株価上昇にとどまると教えている。

証券各社の調査資料では、第2次世界大戦戦後の5回の「未」年の日経平均株価の平均上昇率は、7.6%と干支別で第9位にとどまり、後ろに控えるのは1.8%上昇の「寅」年、0.1%下落の「丑」年、6.1%下落の「午」年のみである。もっとも「未」年の前年の「午」年が、「午尻下がり」の格言通りに最悪の平均下落率となっていることから、よく持ち直したともいえる面もある。証券各社のこの側面をポジティブに強調し、この年の安値が、その後の「申酉騒ぐ」格言通りに翌年の「申」年、翌々年の「酉」年の高値に向かう長期上昇トレンドの起点となっていることを揃って指摘している。

しかも、今年2014年の「午」年が、4月、5月こそ調整となったものの、年末には「午尻下がり」の相場格言とは真逆に年初来高値追いとなり、前週26日終値現在の日経平均株価は、昨年大納会終値に対して9.3%も上昇しているのである。この高値で「未辛抱」として何に「辛抱」するのか、例えば第3次安倍内閣が12月27日に閣議決定した3兆5000億円の経済対策や、ようやく実効性を期待できる「第3の矢」の成長戦略の断行などによって経済の好循環が始まることを「辛抱」するということになるとすれば、2015年相場のスケールアップが期待できることになる。

このほか、2015年相場の方向性を考える上で重要なヒントになりそうなのは、相場格言の「未辛抱」と奇しくも一致したFRB(米連邦準備制度理事会)が、12月17日のFOMC(公開市場委員会)後に発表した声明文の追加文言「忍耐強く待つ」である。世界の金融市場は、FRBが、今年10月に量的緩和策を終了したあといつ金利引き上げに動くか固唾を呑んで見守っている。2004年も、1月のFOMC後の声明文を今回と同様の文言に変更して5カ月後の6月に政策金利の引き上げに動いた。前回と同様に金融政策が変更され、来年年央までに金利引き上げがあるとすれば、マーケットはこれを先取り、出口戦略を強化する米国と、原油価格の下落で追加、追加の金融緩和策(バズーカ3)の発動さえしかねない日銀の出口戦略の違いを材料に一段の円安・ドル高が進むことが想定される。

「未」年相場のキーワードが、まず日米で共通の「辛抱」、「忍耐」とすれば、年初のお年玉銘柄にはこのダブル効果で当然、円安メリット株が浮上することになり、この5日間の正月休みを最大限に活用して銘柄厳選に努めることが初仕事となりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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