【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは昨年来高値圏で堅調、受注回復基調で4%近辺の高配当利回りにも注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アールシーコア<7837>(JQS)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を展開している。株価は昨年来高値圏で堅調に推移している。受注が回復基調で16年3月期利益予想に再増額余地があり、17年3月期も収益改善基調が期待される。そして4%近辺の高配当利回りも注目点だ。上値追いの展開で13年5月1470円も視野に入りそうだ。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。

 国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。

■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標

 中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。

 重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。

 15年3月期は営業拠点として香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町の4拠点を新設して、15年3月期末の契約販社数は27社、営業拠点数は全国43拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社39拠点)となった。さらに埼玉県、京都府、長野県にも新拠点開設を予定している。中期経営計画目標の50拠点に向けて着実にネットワーク拡大が進展している。

 商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手した。

 なおカントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社の株式をカナダAAA社に譲渡する件(14年11月発表、15年1月譲渡価格と譲渡日程の変更を発表、15年2月譲渡日程の変更を発表)については、カナダAAA社において本件に係る資金調達に支障をきたしているため、15年3月に譲渡を一旦中止すると発表した。

 ただしファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針に変更はなく、今後は他の譲渡候補先も視野に入れてカナダAAA社との交渉も継続するとしている。

■契約(受注)高は回復傾向

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期(4月~6月)15億25百万円(前年同期比31.9%減)、第2四半期(7月~9月)30億47百万円(同26.2%減)、第3四半期(10月~12月)24億42百万円(同38.6%増)、第4四半期(1月~3月)34億75百万円(同2.0%減)だった。

 売上高は第1四半期28億11百万円、第2四半期32億75百万円、第3四半期29億16百万円、第4四半期29億39百万円、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。

 契約(受注)高は回復傾向を強めている。また15年3月期のROEは14年3月期比5.2ポイント低下して10.2%、自己資本比率は同2.8ポイント上昇して42.7%、配当性向は43.6%だった。

■16年3月期第2四半期累計は大幅増益

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.4%増の63億52百万円、営業利益が同28.0%増の4億31百万円、経常利益が同21.8%増の4億13百万円、純利益が同37.1%増の2億84百万円だった。10月13日の修正値(売上高を減額、利益を増額)を上回る増収増益だった。契約(受注)高は同25.3%増の57億27百万円と大幅に改善した。

 高水準だった期首契約(受注)残高からの売上、販社部門の順調な期中契約(受注)により、ブランドロイヤリティ収入増加も寄与して増収だった。利益面ではコミットメントライン契約更新手数料などの費用増加を、増収効果、売上総利益率改善効果、販管費抑制効果などで吸収して増益だった。売上総利益率は32.8%で同0.4ポイント上昇、販管費比率は26.1%で同0.7ポイント低下した。営業外費用では支払手数料が増加した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、直販部門は契約(受注)高が同10.7%増の16億66百万円、売上高が同10.1%増の19億34百万円、営業利益が同20.2%増の1億64百万円、販社部門は契約(受注)高が同31.8%増の32億07百万円、売上高が同4.9%増の39億95百万円、営業利益が同11.3%増の7億78百万円だった。

 BP社は、契約(受注)高が同41.9%増の8億30百万円だったが、売上高が同17.1%減の6億92百万円、営業利益が0百万円の黒字(前年同期は19百万円の黒字)だった。前期の受注不振の影響で減収減益だったが受注は回復傾向だ。北米部門は売上高が同2.1%増の3億60百万円、営業利益が同30.4%増の11百万円だった。北米市場での小売販売を終了したが日本市場向け販売が好調だった。

 集客面の動向を見ると、全国BESS展示場への新規来場者数は前年同期並みだったが、強化ポイントとしている再来場者数は同9.2%増加した。展示場拠点は契約販社27社、営業拠点43(直営2、BP社2、販社39)となった。16年春オープン予定の3拠点(京都、埼玉、長野)を含めると46拠点となる。

 最重要課題として取り組んでいる営業員の質・量の拡充については、BESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実施済み)が145名となり、15年3月期末比5名増加した。さらに教育・研修体制整備を先行して実施し、専門部署も立ち上げた。

 四半期別の推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期(4月~6月)22億17百万円(前年同期比45.4%増)、第2四半期(7月~9月)35億10百万円(同15.2%増)で、売上高は第1四半期28億59百万円、第2四半期34億93百万円、営業利益は第1四半期1億29百万円、第2四半期3億02百万円だった。

■16年3月期通期利益予想に再増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(10月13日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前期比8.9%増の130億円、営業利益が同4.0%減の6億50百万円、経常利益が同7.6%減の6億30百万円、純利益が同10.0%減の3億80百万円としている。

 契約(受注)棟数は同32.3%増の1200棟、売上総利益率は同0.6ポイント上昇の33.9%、販管費比率は同1.3ポイント上昇の28.9%の計画としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が48.9%、営業利益が66.3%、経常利益が65.6%、純利益が74.7%で、利益進捗率が高水準である。中期成長に向けた諸施策への費用投下を積極的に行うため減益予想だが、営業強化策も奏功して受注が回復傾向を強め、下期も売上総利益率改善が期待される。通期利益の会社予想に再増額余地があるだろう。さらに受注が回復基調で来期(17年3月期)も収益改善基調が期待される。

■株主還元はDOEを重視

 今期(16年3月期)の配当予想(5月14日公表)は前期比3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で予想配当性向は52.5%となる。なお利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%で、16年3月期のDOEは4.7%となる見込みだ。

 株主優待については15年3月に優待内容の改訂を発表した。毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈する。15年3月末から適用した。

■株価は昨年来高値圏で堅調

 株価の動きを見ると、15年7月の1114円を突破し、12月25日には昨年来高値となる1167円まで上伸した。その後も昨年来高値圏で堅調に推移している。

 1月4日の終値1134円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円70銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は4.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS964円78銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約50億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。また13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスを形成して先高感を強めている。受注が回復基調で16年3月期利益予想に再増額余地があり、17年3月期も収益改善基調が期待される。そして4%近辺の高配当利回りも注目点だ。上値追いの展開で13年5月1470円も視野に入りそうだ。

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