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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ネットワークバリューコンポネンツは地合い悪化で売られ過ぎ感、収益改善基調でサイバーセキュリティ関連も注目
- 2016/1/19 08:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)は、ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開し、中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進している。収益改善基調でサイバーセキュリティ関連としても注目される。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが売られ過ぎ感を強めている。反発のタイミングだろう。
■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開
情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。
クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。
企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。
15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。
15年7月にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。
■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進
中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。
13年8月には米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。
14年9月には、ネットワークセキュリティの米ThreatSTOP社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結した。そして15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始した。
なお15年9月、米ThreatSTOP社が475万ドルの資金調達を実施し、スタンフォード大学計算機教授のデビッド・チェリントン博士および当社の渡部進代表取締役などが投資した。
15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。そして15年5月には、米ThreatSTOP社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始した。
15年4月にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。15年10月には、米トムソーヤ・ソフトウェア社と国内販売代理店契約の締結を発表した。同社が開発したデータ可視化ソフトウェア開発キット「トムソーヤ・パースペクティブ」の国内販売を開始する。
■15年12月期第3四半期累計は大幅営業増益
前期(15年12月期)第3四半期累計(1月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比14.7%増の26億23百万円、営業利益が同44.0%増の1億04百万円、経常利益が同57.5%増の87百万円、純利益が同1.0%減の57百万円だった。
売上面では、ネットワークソリューション事業でセキュリティ関連や無線LAN関連、ネットワークサービス事業で保守やマネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移した。利益面では、円安などの影響で売上総利益率が低下したが、のれん償却減少などで販管費比率が低下した。
なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)9億39百万円、第2四半期(4月~6月)10億01百万円、第3四半期(7月~9月)6億83百万円、営業利益は第1四半期48百万円、第2四半期33百万円、第3四半期23百万円だった。
■15年12月期大幅増益予想で収益改善基調に変化なし
前期(15年12月期)通期の連結業績予想(11月12日に売上高と純利益を増額、営業利益と経常利益を減額修正)は、売上高が前期比20.2%増の34億64百万円、営業利益が同5.8倍の1億65百万円、経常利益が同18倍の1億42百万円、純利益が同46.5%増の96百万円としている。
期初計画(2月13日公表)に対して営業利益と経常利益を減額修正したが、前期との比較では大幅増益予想であり、収益改善基調に変化はない。なお配当予想は無配継続としている。
売上面ではセキュリティや無線LAN関連の大型案件に加えて、保守やマネージドVPNなどの自社サービスも堅調に推移する。利益面では子会社イノコスの利益が計画未達のため営業利益と経常利益を減額した。純利益については繰延税金資産の計上見込額の増加が寄与する。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.7%、営業利益が63.0%、経常利益が61.3%、純利益が59.4%とである。通期ベースでも収益改善基調だろう。
先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、モバイル、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。来期(16年12月期)も収益改善基調が期待される。
■株価は安値圏だが売られ過ぎ感
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げている。1月18日には昨年来安値となる2151円まで下押す場面があった。ただし売られ過ぎ感を強めている。
1月18日の終値2308円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS101円56銭で算出)は22~23倍近辺、そして前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS218円52銭で算出)は11倍近辺である。時価総額は約22億円である。
週足チャートで見ると3000円近辺でのモミ合いから下放れた形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。収益改善基調でサイバーセキュリティ関連としても注目される。反発のタイミングだろう。