【編集長の視点】アークンは上場来安値から続急伸、不正アクセス問題織り込み下げ過ぎ直近IPO株買いが増勢

編集長の視点

 アークン<3927>(東マ)は、230円高の3540円と続急伸して始まり、前日18日の取引時間中につけた上場来安値3010円からの底上げを鮮明化している。同社株は、昨年12月18日に新規株式公開(IPO)され上場来高値1万440円まで買い進まれる高人気となったが、同社サーバーへの不正アクセスにより顧客情報が窃取されたことが判明して上場来安値まで反動安となったが、同問題により顧客への被害が発生していないと発表したことから、織り込み済みとして下げ過ぎ直近IPO株買いが増勢となっている。テクニカル的にも底打ちを示唆するシグナルが示現しており、IPO以来の急騰場面の再現期待も高めている。

■顧客企業に被害は発生せず再発防止対策を推進し信用回復に万全

 不正アクセス問題は、今年1月4日に受け取った匿名の封書によって明らかになったもので、社外のデータセンターに設置しているバックアップサーバーで同社顧客3859社の企業リストが窃取され、要求額の金銭の支払いがなければ同情報を公開すると恐喝された。同社では、不正アクセスの痕跡を確認するとともに、警察や外部の専門機関の協力により事実関係の調査や再発防止の対応を進めており、1月14日にはこの恐喝未遂事件により顧客企業に被害が発生していないことを発表するとともに、信用回復に努め、引き続き業績への影響を精査中とした。

 同社は、企業の情報セキュリティシステムを開発・販売しており、2007年2月には利用者に被害を与える悪意のあるソフトウェアであるマルウェア攻撃や情報漏えいなどを防止するソフトウェアとハードウェアとが一体型の「Ahkun Antimalware-V5」の販売も開始した。顧客企業は、中小企業が中心で最近のサイバー攻撃の増加や、マイナンバー制度のスタートなどからセキュリティ需要が高まっており、同社の業績も伸びている。今3月期業績は、IPO時に売り上げ12億3000万円(前期比24.2%増)、経常利益2億3100万円(同35.4%増)、純利益1億4700万円(同35.8%増)と大幅続伸が予想されている。

■最高値の「半値八掛け二割引き」水準を下回り「リターン・リバーサル」買いで底上げ加速

 株価は、公開価格1360円でIPOされ、初日は買い気配値を切り上げたまま推移し、2日目に4929円で初値をつけ即ストップ高、その後も連続ストップ高を交えて上場来高値1万440円まで買い進まれ、公開価格比7.67倍と大化けした。最高値後は、不正アクセス問題が響いて今度は連続ストップ安を交えて上場来安値3010円へ突っ込んだ。同最安値は、テクニカル的に底打ちを示唆する最高値の「半値八掛け2割引き」水準を下回っており、底値買いを再燃させている。「下げた株ほど良く上がる」とする投資セオリーの「リターン・リバーサル」買いでIPO時の急騰場面再現期待を高めて、一段の底上げにチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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