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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】鉄人化計画の16年8月期第1四半期は赤字拡大だが、通期は収益改善基調
- 2016/1/22 10:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
鉄人化計画<2404>(東2)はカラオケルーム運営事業への経営資源集中を進めている。16年8月期第1四半期(9月~11月)は子会社売却などの影響で減収となり赤字が拡大したが、通期は不採算店舗閉鎖や不採算事業整理も寄与して収益改善基調である。そしてカラオケ店舗の新規出店の検討を再開し、新たな成長ステージに向けた準備を開始している。株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。今期予想PERが1桁台に低下して割安感も強めている。反発のタイミングだろう。
■カラオケルーム運営事業が主力
首都圏中心に展開する「カラオケの鉄人」ブランドのカラオケルーム運営事業を主力としている。さらに「カラオケの鉄人モバイル(カラ鉄モバイル)」サイト運営やコンテンツ配信ASPサービスのCP事業、ビリヤード・ダーツ遊技場運営、まんが喫茶(複合カフェ)運営、音響設備販売、海外事業(グアムのエンターテイメントレストラン運営)も展開している。
カラオケルーム運営事業は、すべてのルームで複数の通信カラオケメーカーの機種が利用できる独自開発のカラオケ集中管理システム「鉄人システム」をベースとして、50万曲を超える豊富な楽曲配信、独自分析によるオリジナル楽曲の配信、顧客情報のデータベース化などを特徴としている。
出店戦略は20ルーム前後の中小型店舗で設備投資負担が小さい居抜き物件への出店を基本としている。首都圏中心部の駅前立地などでは40ルーム以上の大型店も出店する。なお14年8月期からは、従来の拡大路線から収益性と効率性を重視した厳選出店戦略に変更し、不採算店舗の営業フロア縮小・業態転換・閉店も進めて収益改善に注力している。
■不採算事業整理などカラオケルーム運営事業に経営資源を集中
コア事業であるカラオケルーム運営事業の収益向上に注力するため、グループ内の経営資源を本業に集中させ、不採算事業・子会社の整理を進めている。
14年6月には業績不振だった韓国カラオケ店舗事業について当社持分の全部を譲渡した。15年1月には台湾でフルサービス型珈琲ショップを運営する連結子会社の解散を発表した。15年4月には広告代理店業務などを展開する子会社パレードの解散を発表した。15年7月には100%子会社のシステムプランベネックスを吸収合併した。
15年8月には、京都を中心に「からふね屋珈琲店」を展開するフルサービス型珈琲ショップ運営事業について、運営子会社(からふね屋珈琲)の全株式をジェイアール西日本フードサービスに譲渡した。
一方で15年12月には、モバイル・ミュージック配信サービス企画・運営などを展開するレコチョク(東京都)との共同出資で企画会社(T・Rプロジェクト)を設立した。新サービスに関する協議を適宜実施するとともに、映像と音楽を活用した新しい音楽体験サービスを提供する事業会社を設立して、17年8月期のサービス開始を目指すとしている。
不採算事業の整理が進展したことで、カラオケ店舗の新規出店の検討を再開し、新たな成長ステージに向けた準備を開始している。
■第2四半期(12~2月)と第3四半期(3~5月)が繁忙期の収益構造
なお当社の収益構造に関しては、カラオケルーム運営事業が季節要因の影響を受けやすく、忘年会・新年会シーズンの第2四半期(12月~2月)、および歓送迎会シーズンの第3四半期(3月~5月)が繁忙期となり、売上・利益構成比が高いという特徴がある。
14年8月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)22億92百万円、第2四半期(12月~2月)27億95百万円、第3四半期(3月~5月)26億53百万円、第4四半期(6月~8月)24億11百万円で、営業利益は第1四半期2億12百万円の赤字、第2四半期2億86百万円の黒字、第3四半期1億49百万円の黒字、第4四半期82百万円の黒字だった。
■15年8月期は営業損益が大幅改善
15年8月期連結業績は、売上高が14年8月期比3.1%減収だが、営業利益が同38.2%増益、経常利益が同52.1%増益、純利益が同2.2倍増益と大幅増益だった。
カラオケルーム運営事業の不採算店2店舗閉店などで減収だったが、厳選出店と不採算店閉店、店舗商圏・環境を意識したセグメント・マーケティングの推進、既存店舗オペレーションの見直し、閑散期における店舗原価削減施策の推進の効果などで営業損益が大幅に改善した。売上総利益率は19.5%で同2.2ポイント上昇、販管費比率は15.2%で同0.9ポイント上昇した。
特別利益に固定資産売却益、子会社からふね屋珈琲の株式譲渡に伴う関係会社株式売却益、特別損失にカラオケ運営事業の店舗建物設備について減損損失を計上した。ROEは15.3%で同7.7ポイント上昇、自己資本比率は21.4%で同3.8ポイント上昇した。また配当は同6円50銭増配の年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)で配当性向は23.5%だった。
15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)22億78百万円、第2四半期(12月~2月)27億25百万円、第3四半期(3月~5月)24億04百万円、第4四半期(6月~8月)24億34百万円、営業利益は第1四半期1億01百万円の赤字、第2四半期3億34百万円の黒字、第3四半期1億36百万円の黒字、第4四半期53百万円の黒字だった。
■16年8月期第1四半期は赤字拡大
1月14日に発表した今期(16年8月期)第1四半期(9月~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.5%減の18億79百万円で、営業利益が1億64百万円の赤字(前年同期は1億01百万円の赤字)、経常利益が1億36百万円の赤字(同80百万円の赤字)、純利益が1億16百万円の赤字(同71百万円の赤字)だった。
前期に実施した子会社売却など事業再編の影響で減収となり赤字が拡大した。売上総利益率は9.9%で同1.8ポイント低下、販管費比率は18.7%で同2.5ポイント上昇した。特別損失では減損損失12百万円を計上した。
セグメント別に見ると、カラオケルーム運営事業は売上高が同4.5%減の17億44百万円、営業利益が4百万円(前年同期は15百万円の赤字)だった。既存店売上は97.0%だった。減収だったが、不採算店閉鎖や店舗オペレーション効率化などの効果で営業損益が改善した。
CP事業はスマホへの乗り換えが進み売上高が同25.0%減の67百万円、営業利益が同25.2%減の42百万円だった。その他は売上高が同67.1%減の67百万円、営業利益が13百万円の赤字(同26百万円の黒字)だった。なお事業譲渡したフルサービス型珈琲ショップ運営事業の前年同期の売上高は2億04百万円、営業利益は12百万円だった。
■16年8月期通期は増益予想で収益改善基調
今期(16年8月期)通期の連結業績予想は前回予想(10月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比9.6%減の89億円、営業利益が同4.2%増の4億40百万円、経常利益が同13.1%増の5億円、純利益が同3.3%増の3億円としている。
子会社からふね屋珈琲の株式譲渡によってフルサービス型珈琲ショップ運営事業から撤退するため減収予想だが、店舗環境に応じた効率的な販促活動、原価削減、人員配置などの確実な計画・実行などで増益予想だ。なお財政状態が相当程度改善したため、カラオケルーム運営事業における新規出店を再開する方針だ。
カラオケルーム運営事業は大手チェーンとの競合が激しいが、収益性の高い地域に厳選した出店戦略、顧客満足度向上に向けた店舗教育の強化、オリジナル楽曲の開発・提供加速、大手レーベルとのコラボレーション企画などの営業強化策、店舗オペレーションの効率化などの施策を推進している。不採算店舗閉鎖や不採算事業の整理進展なども寄与して収益改善基調だろう。
配当予想は前期比1円減配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。予想配当性向は20.7%となる。配当についての基本方針は、中長期的な配当性向の目安として連結純利益の20%をメドに配当を行うとともに、当期および今後の業績や財政状況等を勘案して継続的に配当を行うとしている。
■株主優待制度で積極還元姿勢
子会社からふね屋珈琲の株式譲渡に伴って15年7月、株主優待制度の内容変更を発表した。
変更後は毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、①当社カラオケ店舗「会員カード」、②当社カラオケ店舗およびマンガ店舗で使用可能な「飲食ご優待券」の2商品を贈呈する。なお②は保有株数に応じて贈呈する。
■株価は売られ過ぎ感
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して軟調展開だ。1月21日には13年4月以来の安値水準となる404円まで調整した。ただし売られ過ぎ感を強めている。調整の最終局面だろう。
1月21日の終値405円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS48円30銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS327円07銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約27億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。今期予想PERが1桁台に低下して割安感も強めている。反発のタイミングだろう。