JトラストG:存在感を急速に強化、ASEAN域内で

■金融業界の注目集める商銀~「Jトラストインドネシア銀行」

 総合金融グループのJトラスト<8508>(東2部)が、ASEAN域内諸国で銀行再生や、Group Lease PCLへの出資などの積極的な事業展開を開始したことが契機となり急速に存在感を強めている。

 Jトラスト グループは、2013年7月に終了したライツオファリング以降、韓国をはじめとする海外での買収・事業展開を中心とする海外戦略を進め、韓国では、第3位となる貯蓄銀行をコアに消費者ローンを展開、事業基盤を整備し収益拡大に取り組んでいる。インドネシアでは、国有化されていた銀行を買収しJトラストインドネシア銀行として商業銀行業務を展開している。

 直近では新たな株主となったタイ証券取引所一部上場の販売金融業Group Lease PCL(「GL」)が、インドネシアに設立するファイナンス事業の新会社に出資することを発表(1月14日)するなど、中期経営計画の発表後ビジネスモデルが急速に拡大し始めている。

■JトラストG「ビジネスモデルの中核に海外戦略」~同社広報IR担当に聞いた。

――「国内から海外へ、ノンバンクから銀行へ」を掲げ、2014年にインドネシアで取得したJトラストインドネシア銀行の現況と戦略について

 【広報R担当】:商業銀行である「Jトラストインドネシア銀行(PT Bank JTrust Indonesia Tbk.・旧ムティアラ銀行)」は、長らくインドネシア預金保険機構下にあり、貸出・預金とも積極的なアクションが起こせず業績が低迷していたが、同行の再生への第1弾として、昨年10月にNPL債権(Non-Performing Loan:不良債権)を債権回収子会社に譲渡した。その結果、不良債権比率が5%以上減少して2%程度に低下するなど財務健全性が向上し、銀行本来の業務が利益を生む収益体制へ移行できるなど、再生に向けて順調に推移している。

 なお、同債権は債権回収子会社が担保不動産の売却・事業再生など、様々な手法を活用して早期回収を進めている。

■優良貸出し先確保・残高伸長など銀行収益への寄与も

――GL社が設立する新会社への出資について

 【広報R担当】:シンガポールにある「Jトラストアジア」が昨年5月に引受けていたGroup Lease PCL(タイ:タイ証券取引所一部上場、GL)の転換社債を株式転換(同12月)し、発行済普通株式の6.43%を取得した。

 GLは1986 年の設立で、バイクや農機などの販売金融事業を手掛ける会社である。事業展開はタイのほか、CLMV (カンボジア、ラオス、ミャンマ一、ベトナム)諸国や、インドネシアでの事業拡大を計画している。

 今後、持続的成長が見込まれるインドネシア国内での販売金融事業として、共同展開をすることを含め、当社グループが東南アジア地域で事業展開する際の業務提携など、インドネシア、その他の東南アジア地域で、GLを戦略的パートナーとしてリース業やコンシューマーファイナンス事業を伸ばしていくことを計画している。

■割賦販売金融の新会社へシェア20%を出資、

 【広報R担当】:このたび、GLがインドネシアに設立する新会社(PT Group Lease Finance Indonesia)への出資を決めたのは、新会社が、成長余力の大きいインドネシアの消費者をターゲットにして、バイクや農機、白物家電など様々な割賦販売金融事業を展開する予定であり、「Jトラストインドネシア銀行は、新会社へのファイナンス提供などを通じて、優良な貸出先を確保し、残高を伸ばすなど、同行収益に寄与するものと考えている。」

 なお、新会社はジャカルタに本店を置き、資本金は1,000億ルピア(約8億5,400万円)。GLホールディング(GL100%子会社)とJトラストアジアがそれぞれ65%、20%を出資する。

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