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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスホールディングスは16年6月期増収増益予想、4%近辺の高配当利回りなど指標面に割安感
- 2016/1/25 11:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
メディアスホールディングス<3154>(JQS)は医療機器販売事業を展開する持株会社で、M&Aを活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。16年6月期は増収増益予想だ。株価は地合い悪化の影響で昨年来安値を更新したが、7~8倍近辺の低PER、4%近い高配当利回り、0.8倍近辺の低PBRと指標面の割安感は強い。調整が一巡して出直り展開だろう。
■医療機器・医療材料の販売が主力、M&Aで営業エリアと規模の拡大を推進
医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。
10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化した。14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。
また14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。
海外展開は、インドにおける鴻池運輸<9025>との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。
■手術室運営支援ソフトウェアなど複合的サービスを強化
商品戦略では、医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。
手術室運営支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。
医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。
■年度末にあたる第3四半期の構成比が高い収益構造
15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、第3四半期(1月~3月)390億48百万円、第4四半期(4月~6月)347億69百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円、第3四半期5億52百万円、第4四半期1億42百万円の赤字だった。
医療機関の設備投資予算執行が集中する年度末(1月~3月)にあたる第3四半期の構成比が高い収益構造だが、15年1月~3月は前年同期の消費増税前駆け込み需要の反動影響を受けた。
全体の製品別売上構成比は備品が約4分の1、消耗品が約4分の3だった。売上総利益率は10.4%で14年6月期比0.1ポイント上昇、販管費比率は10.0%で同0.8ポイント上昇、ROEは5.5%で同8.6ポイント低下、自己資本比率は18.3%で同1.4ポイント上昇した。配当性向は58.0%だった。
■16年6月期第1四半期は赤字拡大だが増収基調
今期(16年6月期)第1四半期(7月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比8.0%増の366億41百万円、営業利益が1億30百万円の赤字(前年同期は1億03百万円の赤字)、経常利益が19百万円の赤字(同0百万円の赤字)、純利益が50百万円の赤字(同30百万円の赤字)だった。
全体として売上総利益率が低下し、新規物流センター開設に伴う業務委託費増加などで販管費が1億52百万円増加して各利益の赤字が拡大したが、医療機器販売事業が堅調に推移して増収基調だ。売上総利益も1億25百万円増加した。なお売上総利益率は10.0%で同0.4ポイント低下、販管費比率は10.4%で同0.3ポイント低下した。
医療機器販売事業の消耗品は、償還価格改定や医療機関からの値下げ要求で利益率が低下した。ただし新規獲得のSPD契約が寄与して増収となり、利益面では増収に伴って売上総利益が増加し、販売促進リベートも増加した。備品は新築・増改築に伴う契約が寄与して増収となり、利益率も上昇した。
セグメント別に見ると、医療機器販売事業は売上高が同8.2%増の358億50百万円、売上総利益が同3.5%増の33億06百万円、営業利益(連結調整前)が同2.5%減の7億80百万円だった。介護・福祉事業は売上高が同2.4%減の7億91百万円、売上総利益が同4.3%増の3億56百万円、営業利益が同9.1%減の61百万円だった。
■16年6月期通期は増収増益予想
今期(16年6月期)通期の連結業績予想(8月11日公表)は、売上高が前期比7.9%増の1577億円で、営業利益が同62.4%増の11億円、経常利益が同49.9%増の15億50百万円、純利益が同2.1倍の9億円としている。配当予想は前期と同額の年間80円(期末一括)で予想配当性向は28.8%となる。
備品については、医療機関の設備投資意欲の大幅な回復は見込めないが、提案中の案件を含めた一定の備品需要を着実に獲得するとしている。一方で利益率の高い消耗品の売上が増加基調であり、SPD(病院医療材料管理業務)契約増加も寄与する。
コスト面ではのれん償却の終了やシステム投資の一巡も寄与する。首都圏営業強化策に伴う人件費の増加などを吸収して大幅増益予想だ。収益は改善基調だろう。
社会保障費抑制という国の基本方針に伴って、急性期病院・病床数の減少が進むなど事業環境に厳しさもあるが、中期的には首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、さらに大量購買による仕入価格低減や業務効率の改善などが寄与して収益拡大が期待される。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、地合い悪化の影響で水準を切り下げて、1月21日に昨年来安値となる1980円まで下押した。ただし売られ過ぎ感を強めている。
1月22日の終値2020円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS277円59銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は4.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2627円85銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約65億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が拡大して売られ過ぎ感を強めている。7~8倍近辺の低PER、4%近い高配当利回り、0.8倍近辺の低PBRと指標面の割安感は強い。調整が一巡して出直り展開だろう。