新年相場の小手調べは干支関連の「錦織効果」再現を期待してまず勝ち癖=浅妻昭治
- 2015/1/5 08:25
- 編集長の視点
<マーケットセンサー>
新年相場が、きょう5日から名実ともにスタートした。「1年の計は元旦にあり」でどんな1年になるか、株価予測や有望業種・銘柄のアンケート調査が、毎年恒例のことながらマスコミを賑わしている。また今年の干支は「未(ひつじ」で、相場格言は「未辛抱」とそれほど芳しくなく、ヒストリカル的にも干支別の過去60年間の上昇率は、7.6%と第9位の上昇率と下位に位置している。さらに内外の政治・経済情勢、原油価格の動向なども予断を許さず、強気対処か弱気対応か大いに迷うところである。とういうことは、相場の方向感が定まるまでの足元は、そろそろと探りを入れつつ慎重に取り計らうのが正解であるかもしれない。
それで年明け相場での小手調べとして、干支関連で新年早々に注目したいスポーツ・イベントがある。「羊」の飼育頭数では世界第3位、「羊毛」の生産量では世界トップのオーストラリアで開かれる2つの世界的な大会だ。一つは、テニスの全豪オープン大会で、もう一つは、サッカーのアジアカップである。全豪オープンは、昨年大躍進した錦織圭選手が、初めて世界の4大大会(グランドスラム)で優勝できるか、アジアカップは、昨年のワールドカップで予選リーグ敗退となった日本代表「サムライブルー」が、優勝、連覇して巻き返しの出発点とできるかそれぞれ関心を呼んでいるからだ。両イベントが上々の結果となれば、フアン、サポーターばかりか一般の国民のマインドまで好転し、経済や株価に大きく影響することになる。ここは勝敗の行方をウオッチしつつ、関連株を先取りして期待通りの結果となって勝ち癖をつけられれば、新年相場への対応は、強気だろうと弱気だろうといっそう自由度が増そうというものである。
全豪オープンテニス大会は、2015年シーズンの最初のグランドスラムとして1月19日から2月1日までメルボルンのロッド・レーバー・アリーナなどをセンターコートに開催される。この全豪オープンは、実はその前哨戦として開催されるブリスベン国際オープン大会から盛り上がるもので、同大会は、1月4日から11日までを試合日程に開催される。錦織選手は、昨年の同大会の成績で1回戦はシードされ2回戦から登場するが、同大会をバネに全豪オープンでの初制覇をするか注目されている。
同選手の昨年の大躍進は、世界ランキングが、日本の男子選手として初めて第5位にランクされ、昨年年末には最も活躍した選手に与えられるプロスポーツ大賞を受賞したことで明らかだが、最も脚光を浴びたのは昨年8月~9月に開催された全米オープンテニス大会である。ランク上位の選手を次々と撃破して日本選手として決勝戦に初進出、準優勝に終わったものの、この激戦、熱戦のテレビのライブ中継は人気を集めテニスフアンだけでなく一般視聴者にまで多くの睡眠不足を引き起こすほどのフィーバーとなった。
関連株も、昨年8月にこの錦織選手の快進撃とともに動意付き、「錦織効果相場」を展開した。例えば全米オープンを独占生中継したWOWOW<4839>(東1)の昨年9月の月間新規加入件数は、15万件超と過去最高になるとともに、月末の総加入件数も過去最高を更新しており、これを先取りして昨年来高値まで急伸した。錦織選手躍進の経済波及需要「錦織効果」は、300億円超と試算する調査レポートも出て、同選手のスポンサー株、テニス用具株まで幅広く買い進まれた。
一方、「サムライブルー」のワールドカップは、代表選手のなかに「優勝を目指す」などと強気の発言をした選手もいて盛り上がりを見せたが、予選リーグで1勝もできずに敗退したことから尻すぼみとなった。今回のアジアカップで、代表監督につきまとっている八百長疑惑などをハネ返して優勝できれば、各大陸の優勝国が出場する2017年にロシアで開催予定のコンフェデフェレーションカップへの出場権を獲得することになり、サッカー熱を再燃させ、これが消費マインドの好転を促す展開が想定される。2つのスポーツ・イベントが、「吉」と出るか「凶」と転ぶか難しいところだが、「吉」となればとくに錦織関連株には昨年8~9月のフィーバーが再燃する可能性があり、先取り価値が高まることになる。