【水田雅展の2015年株式・為替相場展望】円安・日本株高の流れ継続、ポイントはアベノミクス成長戦略と米FRBの利上げ開始時期」

大発会 2015
 2015年の株式・為替相場は、トレンドとして円安・日本株高の流れが継続するだろう。ポイントはアベノミクス成長戦略と岩盤規制突破の具体策、そして米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期だ。

もちろん、新興資源国の経済不安などで一時的にリスクオフの動きを強める場面もあり、米国株が高値警戒感で乱高下する可能性もあるだろう。レンジとしては、為替相場は1ドル=110円~140円、株式相場は日経平均株価1万6000円~2万2000円を想定する。

為替相場については、新興資源国の経済不安などで一時的にリスクオフの動きを強める場面があるとしても、日米の金融政策の方向性の違いを背景に、大勢としてドル高・円安方向の流れに変化はないだろう。

2015年は米FRBによる利上げ開始が予想されるのに対して、日銀は異次元金融緩和の「黒田バズーカ2」を継続する。さらにインフレ目標2%達成に向けて「黒田バズーカ3」に踏み切るとの見方もある。日米の金融政策の方向性の違いを背景として、日米金利差が拡大してドル高・円安が進行するというシナリオが有力だ。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用構成見直しに伴う外国債券・株式の運用拡大、さらに日本の巨額の貿易赤字に伴う輸入企業によるドル買い・円売りという実需もドル高・円安進行要因となる。

ただし、現状の米10年債利回りは利上げ開始を睨んで上昇するどころか、量的緩和策第3弾(QE3)実施中より低い2%台前半の水準で推移している。このため2015年前半は1ドル=120円近辺で膠着感を強める可能性があるだろう。また米FRBの利上げ開始時期は15年半ばで利上げペースは緩やかとの見方が有力だが、利上げ開始時期が15年後半や16年に先送りとの見方が有力になれば、ポジション調整などで一時的にドル売り・円買いの動きが強まる可能性もあるだろう。
 株式相場については為替と米国株の動向睨みが基本だ。米国では大統領選挙の前年にあたるため米国株が上昇しやすいという経験則があるが、ドル高・円安進行が一服する可能性や、米国株が高値警戒感で乱高下する可能性もあり、その場合は日本株も影響を受けそうだ。

原油価格の下落も、原油輸入国の経済にプラス要因と解釈するか、世界経済の波乱要因と解釈するかは、ヘッジファンドの仕掛け的な動きしだいだろう。原油価格が一段と下落すれば、新興資源国の経済不安や中東産油国での地政学リスクに注意が必要になりそうだ。

ただしアベノミクス成長戦略と岩盤規制突破の具体策しだいでは、アベノミクス相場第2幕が本格的にスタートする可能性があるだろう。米国株が調整色を強めた場合でも、アベノミクス成長戦略と岩盤規制突破への期待感で日本株が米国株離れできるかが焦点となる。

またドル高・円安に伴う輸出採算の改善、輸入価格上昇に伴う国内製品価格是正の浸透、原油価格の下落、消費再増税先送りや大企業を中心とする賃金引き上げに伴う消費マインドの改善、株高による資産効果、訪日外国人旅行客増加による国内消費下支えなどで、16年2月期や16年3月期の企業業績拡大に対する期待感も高まる。

需給面では、日銀によるETF買い(年間3兆円)およびREIT買い(年間900億円)が下値を支える。さらにGPIFの運用構成見直しに伴う国内株式の運用拡大や、NISA(少額投資非課税制度)の2015年枠への資金流入も期待される。

物色面で見れば、ドル高・円安進行局面では自動車や電機・精密などの輸出関連セクターが中心となるが、ドル高・円安進行が一服した局面ではアベノミクス成長戦略関連を中心としたテーマ株・材料株が物色されそうだ。

訪日外国人旅行客が増加基調の観光立国関連、2015年10月施行のマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)関連、アベノミクス重点戦略の地方創生関連、女性活用支援関連、岩盤規制突破の農業関連、労働関連、TPP(環太平洋経済連携協定)関連、カジノ関連、国土強靭化関連、2020年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連、そして新技術の装着型ロボット関連、自動車自動運転関連、再生医療関連、新素材関連、水素エネルギー関連、メタンハイドレード関連、次世代バイオ燃料関連、市場が拡大基調のEC(電子商取引)関連、金融緩和メリット関連などに注目したい。(アナリスト)


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