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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビューティガレージは美容商材ネット通販大手、16年4月期末から株主優待制度を導入
- 2016/1/26 08:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ビューティガレージ<3180>(東マ)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手で、開業・経営ソリューション事業も展開している。16年4月期増収増益予想で、16年にはEC上でのマーケットプライス型販売や中国市場向け越境ECサービスも開始する。そして16年4月期末から株主優待制度を導入する。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが、調整が一巡して出直り展開だろう。
■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手
美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。美容業界に新しい価値を創造し、サロンビジネスの繁栄に貢献することをミッションとして、IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルを展開している。
理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど、全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。
さらにサロンの店舗設計デザイン事業、美容サロン開業・経営に関するソリューション事業も展開している。グループ子会社は、店舗設計・施工事業のタフデザインプロダクト、美容師など求人マッチングサイト運営のサロンキャリア、アイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業のアイラッシュガレージの3社である。
中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して業界をリードする利便性の高い配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。
■オンラインショップのアクティブユーザー数は増加基調
販売チャネルは、15年4月末時点の登録会員数約24万口座、取扱商材約65万点で日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」を主力として、カタログ通販、全国9拠点のショールーム(15年5月に千葉支店を東京本社総合ショールームに統合して全国9拠点)での販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。
15年4月期の物販事業の販路別売上構成比を見ると、オンラインショップ経由が58.2%、電話・FAXが21.1%、ショールームへの来店が18.3%だった。オンラインショップ経由が増加基調である。商品別の売上構成比を見ると、PB機器50.0%、PB化粧品10.1%、NB機器17.2%、NB化粧品18.8%だった。SPA(製造直販)方式で自主開発したオリジナルブランド(PB)が全体の6割超を占めている。
また15年4月期末時点のオンラインショップ登録会員数は、14年4月期比3万3412口座増加の23万9470口座だった。このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同1万1495口座増加の7万7626口座、アクティブユーザー比率は同0.3ポイント上昇の32.4%だった。
ソリューション事業では合計11の周辺ソリューションWEBサイトを運営している。15年3月にはサロンの開業・経営・教育に関する各分野のエキスパートによるセミナー情報サイト「BGアカデミー」を開設した。
■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す
中期経営計画では、高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。そして目標数値に17年4月期の売上高100億円、経常利益7億円を掲げるとともに、一段の認知度・信用力向上に向けて早期の東証1部上場を実現する方針だ。
成長に向けた重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を掲げている。
物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて中国・広州に「HUB倉庫」を新設(15年12月運用開始)する。中国から日本に輸送する商品を保管料の安い中国の「HUB倉庫」に一旦集めて検品などを行う。そして保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。
■サイト利便性向上や品揃え拡充を強化
15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として国内初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。商品に記載されたバーコードやQRコードをスマホで読み取るだけで、商品をカートに入れて発注できるバーコードリーダ機能などを搭載した。美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。
またクレジット決済サポートサービス「サロン決済ナビ」をオープンした。美容業界最安値クラスの決済手数料で、国内主要クレジットカード会社に対応している。エステサロン専用クレジット決済なども用意して、各サロンに適した決済端末の導入をサポートするサービスだ。
15年7月には、ソニー<6758>が15年2月発表した肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱いを開始した。エステ・美容サロン、化粧品メーカー、美容関連製品販売店向けに開発された業務用の肌解析システムである。手のひらサイズ肌測定機とクラウドのシステムをリーズナブルな料金設定で当社顧客サロンに提供する。当社の品揃え強化や信用力向上に寄与する。
また15年7月には、インターネットBGM配信サービス「モンスター・チャンネル」の提供を開始した。専用機器、設置工事、著作権手続が不要で、BGMアプリをパソコン、タブレット、スマートフォンにダウンロードして、アンプ、スピーカーを接続するだけで利用できるサービスだ。月額課金収入のビジネスモデルとなる。
15年9月には、美容家電最大手のヤーマン<6630>がサロン専売第一弾としてOEM製造する業務用トリートメント機器を、ビューティガレージブランドのエステサロン向け商品「Quattro Burst Cavi(クワトロバーストキャビ)」として販売(15年11月)すると発表した。1台でフェイスとボディのトリートメントが完結する小型かつ高性能の画期的な日本製業務用トリートメント機器である。
15年11月には総合印刷会社の帆風(東京都)と共同で、サロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始した。名刺、ショップカード、DM、チラシ、看板などサロン運営・集客に必要なツールを豊富なデザインテンプレートから選んで、サロン運営者・担当者でも簡単に制作できる操作性を装備している。
■マーケットプレイス型販売や越境ECサービスなど周辺領域への展開を加速
15年12月には、他の美容商材卸業者が顧客サロンに対してマーケットプレイス方式で販売できるシステムを、当社の日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」内に装備して、16年1月から中古美容機器販売事業においてスタートすると発表した。
顧客サロンは複数の中古販売業者が持つ商品を当社の通販サイト上において比較検討・購入することが可能となり、ネット通販ならではの利便性が向上する。委託先の販売業者は、当社が提供する専用管理画面から販売したい商品を掲載し、受注後に納品先顧客データを当社から取得して発送手配する。最小限の労力で効率的に販売促進することが可能になる。
また16年初旬には、海外展開における選択肢の一つとして、中国市場向け「越境ECサービス」も開始する予定だ。
■美容サロン新規開業が多い第4四半期(2月~4月)の構成比高い収益構造
15年4月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(5月~7月)16億70百万円、第2四半期(8月~10月)18億44百万円、第3四半期(11月~1月)16億99百万円、第4四半期(2月~4月)20億62百万円、営業利益は第1四半期51百万円、第2四半期1億25百万円、第3四半期79百万円、第4四半期1億21百万円だった。
美容サロンの新規開業が春先に集中して美容機器の需要が高まるため、当社の収益は第4四半期(2月~4月)の構成比が高いという季節要因があるようだ。また15年4月期のROEは14年4月期比3.5ポイント上昇して18.0%、自己資本比率は同3.3ポイント低下して51.9%だった。
■16年4月期第2四半期累計は最終減益だが大幅増収基調
今期(16年4月期)第2四半期累計(5月~10月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.4%増の41億26百万円、営業利益が同0.1%増の1億76百万円、経常利益が同5.9%減の1億72百万円、純利益が同4.5%減の1億08百万円だった。
売上総利益率の低下で営業利益が横ばいにとどまった。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は差益4百万円計上、今期は差損6百万円)して経常利益と純利益は減益だった。ただし大幅増収基調で、第2四半期(8月~10月)は四半期ベースで過去最高の売上高となった。
15年10月末時点の登録会員数は25万9273口座で同3万8373口座(同17.4%)増加、アクティブユーザー(過去1年間に購入履歴のあるユーザー)数は8万2355口座で同9925口座(同13.7%増加)増加、アクティブユーザー比率は31.8%で同1.0ポイント低下、EC売上比率は62.6%で同5.6ポイント上昇、PB売上構成比は57.0%で同4.1ポイント低下、化粧品売上構成比は32.1%で同3.9ポイント上昇した。
オンライン経由販売が好調に推移して2桁増収だが、売上総利益率は32.0%で同2.2ポイント低下した。円安に伴う仕入コスト上昇、PB機器の売上構成比低下などが影響した。販管費比率は27.8%で同1.4ポイント低下した。人件費の増加、増収に伴う荷造運賃・倉庫保管料の増加、電気用品安全法に関わる追加検査費用の計上、アイラッシュガレージの先行投資費用などで販管費合計金額は同11.6%増加したが、増収効果で販管費比率は低下した。
セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同14.0%増の31億66百万円、営業利益(連結調整前)が同10.6%減の2億04百万円だった。商品別売上構成比は、PB機器46.7%、PB化粧品10.3%、NB化粧品21.8%、NB機器17.5%、中古3.8%だった。化粧品の売上が想定以上に伸長してストック型収益構造への転換が進んでいる。
店舗設計事業は新規顧客開拓などで売上高が同35.4%増の8億11百万円、営業利益が同75.0%増の43百万円、その他周辺ソリューション事業は居抜き不動産仲介サービス、保険サービスが好調で売上高が同8.0%増の1億48百万円、営業利益が同81.6%増の29百万円だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(5月~7月)19億94百万円、第2四半期(8月~10月)21億32百万円、営業利益は第1四半期67百万円、第2四半期1億09百万円だった。第2四半期の売上高は四半期ベースでの過去最高を更新した。
■16年4月期増収増益基調で増額含み
今期(16年4月期)通期の連結業績予想(6月9日公表)については、売上高が前期比16.7%増の84億88百万円、営業利益が同24.3%増の4億67百万円、経常利益が同17.0%増の4億58百万円、そして純利益が同21.2%増の3億01百万円としている。
品揃え強化、サイトの利便性向上、認知度・信用力向上などの効果で登録会員口座数およびアクティブユーザー数が増加基調である。15年6月導入のスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与して物販事業が好調に推移する。
下期(11月~4月)はカタログ通販誌「BG STYLE」発刊、中国広州における「HUB倉庫」の運用開始、オリジナルブランドの開発強化などに加えて、EC上での「マーケットプレイス型販売」事業や中国市場向け「越境ECサービス」も開始する。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.6%、営業利益が37.7%、経常利益が37.6%、純利益が35.9%である。低水準の形だが第4四半期(2月~4月)の構成比が高い収益構造であり、期初時点で下期偏重の計画だ。通期ベースで増収増益基調に変化はないだろう。
なお配当予想については、実施する予定だが金額は未定としている。15年4月期(15年5月1日付の株式5分割前)は14年4月期比6円増配の年間24円(期末一括)で配当性向は11.5%だった。16年4月期も増収増益基調であり、増配余地があるだろう。
■16年4月期末から株主優待制度を導入
1月16日に株主優待制度の導入を発表した。
対象株主については、初回は16年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して3ヶ月以上保有する株主を対象とする。その後は毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を継続して1年以上保有する株主を対象とする。
優待内容は、該当株主1名につき、希望小売価格にて3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。
■株価は調整一巡して出直り
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げた、1月21日には昨年来安値となる695円まで下押した。ただし1月25日には763円まで戻す場面があった。調整が一巡して切り返す動きだ。
1月25日の終値754円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円54銭で算出)は14~15倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS252円39銭で算出)は3.0倍近辺である。時価総額は約45億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んで調整局面だが、700円近辺で下値固め完了感を強めている。16年4月期増収増益基調であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。