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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバル短期モミ合いから上放れて強基調、今期業績増額の可能性を評価して9月高値試す
- 2015/1/5 07:38
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エンジニア派遣のソーバル<2186>(JQS)の株価は、12月30日に921円まで上伸して900円近辺での短期モミ合いから上放れの動きを強めている。自己株式取得と消却、第3四半期累計(3月~11月)の高進捗率を好感して強基調に転換する形だ。今期(15年2月期)業績増額の可能性が高く、2%台後半の配当利回りも評価して14年9月高値1049円を試す展開だろう。
ソフト開発技術者分野のエンジニアリング事業(ソフトウェア・ハードウェアのエンジニア派遣および受託開発)、その他事業(RFID製品・システムの開発・販売など)を展開している。
前期(14年2月期)の顧客別売上構成比はキヤノン<7751>グループ66.0%、ソニー<6758>グループ9.5%、富士通<6702>グループ8.6%、NTT<9432>グループ3.9%、その他12.0%で、優良な大口顧客を抱えていることが特徴だ。12年9月にオムロン<6645>向け主力のモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化するなど、M&Aも活用して顧客や分野の多様化を進めている。
12月26日に発表した今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.2%増の52億25百万円、営業利益が同3.6%増の4億44百万円、経常利益が同4.1%増の4億49百万円、そして純利益が同3.9%増の2億57百万円だった。
各種案件の受注が好調に推移した。事業別売上高はエンジニアリング事業が同5.5%増の51億10百万円、その他事業が同47.1%増の1億15百万円だった。利益面では増収効果に加えて、若手エンジニアへの教育も含めた技術力の底上げ、本社移転によるノウハウ共有の徹底などの効果も寄与した。
通期の連結業績見通しについては前回予想(4月10日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%増の67億円、営業利益が同4.2%増の5億40百万円、経常利益が同5.9%増の5億47百万円、純利益が同5.9%増の3億20百万円、配当予想が配当性向35%を目標として同5円増配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。
主力のエンジニアリング事業では、主要顧客の研究開発関連プロジェクトなどに対する技術者派遣需要が好調であり、新規顧客開拓も寄与して派遣稼働率が高水準に推移する。その他事業のRFIDでは電波法改正に伴うソフトバンク<9984>関連の機器置き換え需要も寄与する。本社移転費用計上を吸収して増収増益見通しだ。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が78.0%、営業利益が82.2%、経常利益が82.1%、純利益が80.3%と高水準であり、通期業績見通しは増額の可能性が高いだろう。
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対する派遣・請負ニーズが一段と高まっている。派遣・請負会社としての人材確保が課題となるが、派遣単価の上昇も期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
なお12月5日に東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって15万1900株の自己株式買付を行い、12月22日に自己株式15万2200株を消却した。
株価の動きを見ると、900円近辺での短期モミ合いから上放れの動きを強めている。12月30日には921円まで上伸した。自己株式取得と消却、さらに第3四半期累計の高進捗率を好感する動きのようだ。
12月30日の終値921円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円57銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS559円59銭で算出)は1.6倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなった。900円近辺での短期モミ合いから上放れて強基調に転換する形だ。今期業績見通し増額の可能性が高く、2%台後半の配当利回りも評価して14年9月高値1049円を試す展開だろう。