「マイナス金利」導入の三次元追加緩和では消費者金融株に異次元緩和相場の再現を期待して追随も一考=浅妻昭治

<マーケットセンサー>

 東京市場発の株高が、世界同時株高を演出し地球を一回りして帰ってきた。前週末1月29日の日経平均株価の476円高が、英仏独の欧州株の株価上昇を牽引し、さらに米国市場に連鎖、ニューヨーク・ダウ工業株平均は396ドル高と今年最大、昨年8月以来およそ5カ月ぶりの上げ幅となった。

 まことに結構なことである。昨年8月以来、日本株は、中国・上海株や米国のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物(WTI)価格に振り回されっ放しで、日経平均が、今年1月21日には1年3カ月ぶりの安値に突っ込みながら、カバーする手立ては皆無で切歯扼腕してきた。それがようやく日本株に独自材料が出現して、自律的に相場形成に向かうことができる望みが高まったからだ。独自材料とは、いうまでもなく1月29日に日銀の金融政策決定会合で決定された第3弾の金融緩和策、量的・質的な二次元の緩和策にもう一元加える三次元緩和策のマイナス金利の導入、いわゆる「黒田バズーカ3」である。

 ただこの「黒田バズーカ3」は、東京市場では決定発表後に若干の混乱があった。日経平均は、決定が伝わった直後に597円高と急伸したが、その高値から今度は前日比274円安と急落、日中の高安の値幅は871円と乱高下した。為替相場も同様で一時、1ドル=121円台半ばと円安になったのが、119円台まで揺り戻し、結局、120円台で引けた。この乱高下は、「黒田バズーカ3」決定がサプライズとなって売り方の買い戻しが一巡したところに、導入されたマイナス金利の分かり難さがネックとなって金融機関の業績への悪影響などが懸念され、メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東1)、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東1)が、揃って昨年来安値まで売り込まれたことなどが要因となったようだ。

 しかし、金融政策決定後の記者会見で、黒田東彦総裁が、「必要な場合には追加的な金融緩和措置を講じる」と発言して、マイナス金利のマイナス幅をさらに拡大させる余地があることを示唆し、これが地球を一周して各国市場、各国金融当局によって好意的に評価されたことから、メガバンクの業績への悪影響を差し引いても、「黒田バズーカ3」は、引き続き日本株独自の株高材料になるとみて間違いないようだ。現に1月29日の東京市場でも、「黒田バズーカ」関連の定番株の不動産株では、東急不動産ホールディングス<3289>(東1)を含めて4銘柄が、大引けにかけてストップ高と買い直された。

 とすると問題は、「黒田バズーカ3」が二回り目となる今週以降、どの銘柄にターゲットを絞れば投資効率がベストかということになる。「黒田バズーカ」は、今回で3回目となる。2013年4月の異次元緩和策、2014年10月の資産買い入れ枠の増額の追加緩和策、そして今回のマイナス金利初導入の三次元緩和策である。このうち「黒田バズーカ」関連の定番株の株価感応度が高かったのは、緩和措置のサプライズが強かった異次元緩和時である。今回の三次元緩和も、サプライズ好みの黒田総裁らしいと評価されており、前記のように不動産株の一角もストップ高しているだけに、定番株の消費者金融株は、前週末に急伸はしているものの、メガバンクとは対照的に逆に追随してみるのも妙味がありそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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