【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アドヴァンは16年3月期2桁営業増益予想、株主還元も評価して00年の上場来高値視野

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アドヴァン<7463>(東1)はタイルやフローリングなどの建材を輸入販売している。競争力の高い商品の生産をOEM委託するファブレス機能が特徴で、16年3月期は2桁増収・営業増益予想だ。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、素早く切り返して1月6日の昨年来高値に接近している。好業績や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく上値を試す展開だろう。00年の上場来高値も視野に入りそうだ。

■建材の輸入販売を展開、生産を委託するファブレス機能が特徴

 タイル、大理石、御影石、レンガ、洗面台、フローリング、床材、ボロン、ウッドデッキ、さらに薪ストーブ・暖炉などの建材を輸入販売している。デザイン性・機能性・コストにこだわった競争力の高い商品を、世界中の建材工場の中からトップ工場を選定してOEM生産委託するファブレス機能を特徴としている。

 営業面では国内8ヶ所の営業拠点・ショールーム、物流面では国内3拠点の自社物流センターを置き、ゼネコン・工務店向け建材販売、およびホームセンター向けDIY商品卸売を展開している。

■第4四半期の構成比が高く住宅着工なども影響する収益構造

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)39億45百万円、第2四半期(7月~9月)42億38百万円、第3四半期(10月~12月)44億83百万円、第4四半期(1月~3月)47億84百万円で、営業利益は第1四半期10億02百万円、第2四半期11億25百万円、第3四半期12億98百万円、第4四半期12億66百万円だった。

 建築関連のため基本的には第4四半期の構成比が高く、新設住宅着工戸数や住宅・マンションのリフォーム需要の影響も受けやすい収益構造だが、四半期ベースで収益拡大基調のようだ。

 15年3月期の売上総利益率は49.2%で14年3月期比0.2ポイント低下、販管費比率は22.4%で同2.6ポイント低下、ROEは12.0%で同2.0ポイント上昇、自己資本比率は75.7%で同3.2ポイント上昇した。また配当性向は21.3%で、自社株買いを含めた総還元性向は30.3%だった。

■16年3月期第3四半期累計は2桁増収・営業増益

 今期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比13.0%増の143億07百万円で、営業利益が同31.9%増の45億18百万円、経常利益が同10.2%減の41億36百万円、純利益が同4.1%減の26億85百万円だった。

 新設住宅着工戸数が持ち直し、新規商品の開発・販売の推進、顧客基盤の拡大・拡充、さらに業務効率化などの施策が奏功して2桁増収・営業増益だった。売上総利益率は51.8%で同1.9ポイント上昇、販管費比率は20.3%で同2.5ポイント低下した。営業外ではデリバティブ評価損益が悪化(前期は評価益10億81百万円計上、今期は評価損5億40百万円計上)して経常利益と純利益は減益だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)45億73百万円、第2四半期(7月~9月)47億43百万円、第3四半期(10月~12月)49億91百万円で、営業利益は第1四半期13億46百万円、第2四半期15億75百万円、第3四半期15億97百万円だった。売上高、営業利益とも増加基調である。

■16年3月期通期も2桁増収・営業増益予想で再増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(1月4日に増額修正)は、売上高が前期比11.7%増の195億円、営業利益が同27.9%増の60億円、経常利益が同横ばいの56億60百万円、純利益が同3.9%増の35億円としている。

 建設需要の堅調推移、住宅着工の持ち直し、新規商品の開発・販売の推進、顧客基盤の拡大・拡充などで2桁増収見込みだ。利益面では増収効果や業務効率化などが寄与する。円安進行に伴う仕入価格の上昇や物流費の上昇などを吸収して営業利益は2桁増益予想だ。なお経常利益と純利益はデリバティブ評価益の洗替が影響して減益予想としていたが、経常利益は横ばい予想、純利益は増益予想となった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73.4%、営業利益が75.3%、経常利益が73.1%、純利益が76.7%である。第4四半期の構成比が高い収益構造を考慮すれば通期会社予想に再増額余地がありそうだ。

■自己株式取得や株主優待制度で株主還元積極姿勢

 なお今期(16年3月期)の配当予想は前回予想を据え置いて年間18円(期末一括)としている。15年10月1日付の株式2分割を考慮すると前期の年間36円(期末一括)と実質的に同額である。予想配当性向は20.4%となる。利益配分に関する基本方針は、業績や財務状況などを勘案しながら、自社株買いも含めて積極的に株主還元に努めるとしている。

 なお15年7月発表の自己株式取得(15年10月1日付株式2分割後の取得株式総数の上限12万4000株、取得価額総額の上限1億円、取得期間15年7月8日~16年7月7日)については、15年11月30日時点の累計で取得株式総数9万6600株、取得価額総額8341万5200円となっている。

 また15年11月には株主優待制度の導入を発表した。毎年3月31日現在1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード500円分、10単元(1000株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。16年3月期末の株主を対象として開始する。

■株価は上値を試す展開、00年の上場来高値も視野

 株価の動き(15年10月1日付で株式2分割)を見ると、1月6日の昨年来高値1237円から地合い悪化の影響で一旦反落したが、1月21日の1002円から切り返して2月1日には1164円まで上伸した。好業績を評価する流れに変化はないようだ。

 2月1日の終値1160円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS88円19銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS744円75銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約624億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返して13週移動平均線を回復した。15年1月を起点とする長期上昇トレンドを確認した形だ。好業績や積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく、1月6日の昨年来高値1237円を試す展開だろう。00年の上場来高値1275円も視野に入りそうだ。

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