引き続き「円高」の行方を見守る展開、決算発表一巡でテーマ株に物色の矛先が向かいそう=犬丸正寛の相場展望
- 2016/2/5 16:37
- 株式投資News
来週(8~12日)の相場は、アメリカの企業業績頭打ちが鮮明となるなかでドル安・円高の推移を見守る展開だろう。NYダウベースのPERは1月20日頃には14倍台前半だったが、足元では17倍台半ばへ上昇している。株価がほとんど同水準の中ででPERが上昇していることはEPSの低下、すなわち企業業績が悪化しているものとみられる。
経済再生で成功したオバマ政策の副作用で発生したドル高の影響が現れているのではないかとみられる。もちろん、中国の影響もあるだろう。このため、利上げを決定した米景気の頭打ち懸念に対してはドル安政策ということになるのだろう。今夕発表の1月分の雇用統計が好調なら、ドル安はひとまず止まる可能性はありそうだが、もしも芳しくない数字ならNYダウ安とドル安が進む可能性がありそうだ。
日本の企業業績にも先行き見通しが厳しくなっている。幸い、5日に決算を発表したトヨタ自動車(7203)は売上、営業利益について今期見通しを据え置き、純利益については増額してEPSを従来予想の713.7円を723.6円とした。加えて、自社株取得も発表した。
このトヨタの決算発表で短期的には業績の材料は相場に織込んだものとみられる。ただ、今度の第3四半期決算では、中国経済の減速、円高の影響が色濃く現れた。中国経済は減速局面から停滞局面入りの心配があり、今後も日本の企業業績にはマイナスが予想され、さらに、円高も続くようなら次期(2017年3月期)の減益可能性が浮上する心配がある。
ただ、今の時点で次期業績を材料視するのは早すぎるように思われる。むしろ、円高が進むようなら、マイナス金利政策に続いて日銀の第3次量的金融緩和が見込めることとなりそうだ。来週の日経平均は今週の下げを受け継いで去る1月21日の安値1万6017円に接近する場面は予想されそうだが、下回ることはなさそうだ。
物色銘柄は、アベノミクス第1章で活躍した輸出関連銘柄から、徐々にアベノミクス第2章の中心になるとみられるバイオ医薬、ロボット、農業、地方創生などに関連した銘柄に移っていくものとみられる。マイナス金利で預金金利の引き下げなどから個人マネーが株式市場へ動き始めているようである。来週の日経平均は1万6500~1万7500円ていどを想定。もちろん、量的緩和が出れば予想水準は上回るとみている。