【忠田公夫の経済&マーケット展望】NYダウの下げ終了と見るのは早計、米国景気の行方に最大の関心

忠田公夫の経済&マーケット展望

 1月12日付けの当欄で「当面の下値サポート・レベルとしてドル円116円15銭~50銭、日経平均1万6900~7200円、NYダウ1万5370~5700ドル処が挙げられる」と述べ、「重要なポイントは、反発力が鋭角的で大幅かつ持続力があるかどうかにかかっている」とした。

 同日、日経平均は1万7184円まで下落。翌日、すかさず1万7717円まで反発したものの、長続きせず、1月21日には1万6017円まで下落。重要なサポート・レベルをブレイクし、今後になお下値不安を残した。ドル円は1月20日に一時115円97銭まで突っ込み、下値サポート・レベル116円15銭をわずかに下回ったが、その後、日銀のマイナス金利導入が出たことで、今後の見所は115円50銭~90銭レベルを防衛できるかどうかにかかる。

 NYダウだけが1月20日に一時1万5450ドルまで突っ込んだものの、下値サポートの1万5370ドルを割り込まなかった。だが、ナスダック総合指数は先週末に4363ptで終わり、昨年8月安値を割り込んだだけに、米国株の動向から目を離すわけにはいかない。

 ここまでの経過を見る限り、今回の下げ相場が終了したと判断するのはやや早計だろう。世界景気は昨年10月以降、明らかに減速し、わが国だけでなく、米国や欧州、中国などの主要企業の収益に下振れの傾向が見られる。世界的な需要の弱さが国際商品価格の下落に直結する状況下で、米国が今年の前半に追加利上げを考慮するようなら、世界の金融市場をさらなる混乱に導きかねない、と思われる。

 1月の米雇用統計で、平均時給が25ドル39セントと前年同月比2.5%増かつ週平均の労働時間が昨年8月以降で最長となった事実などで、FRBが利上げに前向きになることはない、と見ているが、今週10日、11日のイエレンFRB議長の議会証言は極めて重要な意味をもつことになろう。(証券アナリスト)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る