クレスコの第3四半期は、2ケタ増収大幅増益で、計画を上回るペースで推移
- 2016/2/8 13:25
- 株式投資News
■通期予想に対する進捗率も高く、業績の上振れも期待できる
クレスコ<4674>(東1)の第3四半期は、2ケタ増収大幅増益で、計画を上回るペースで推移。通期予想に対する進捗率も高く、業績の上振れも期待できる。
第3四半期連結業績は、売上高210億90百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益19億51百万円(同29.0%増)、経常利益23億24百万円(同37.5%増)、純利益16億02百万円(同35.3%増)であった。
事業別の売上高は、ソフトウェア開発事業の金融・保険は前年同期比20.9%増、公共・サービス分野24.2%増、流通・その他2.5%増。
組込み型ソフトウェア開発事業の通信システム分野8.1%減、カーエレクトロニクス分野27.7%増、情報家電等・その他の分野14.4%増となっていて、好調といえる。ただ、国内のスマートフォンが苦戦していることから、通信システム分野だけが減収となった。
対処するべき課題としては、仕事量が増加していることから、競争力のある開発体制の整備が求められている。そのため、品川本社と九州の子会社では1フロアーの増床を行った。
人材の確保については、新卒採用は、51名の内定と計画通りとなっているが、中途採用は苦戦している。
これまでのところ、既存事業は好調である。しかし、IоT、AI、フィンテック、ロボティクス、自動運転等をキーワードとする新技術が広がっていることから、新技術への投資も必要である。当社では、今後の事業の種蒔きということで、研究開発を進めている。
■「FC東京」とクラブスポンサー契約を締結
トピックスとしては、1月25日発表の子会社「クレスコ・イー・ソリューション」と「エス・アイ・サービス」の経営統合がある。4月1日には「クレスコ・イー・ソリューション」を存続企業として、正式統合する。両子会社共に、SAPを取扱っていることから、統合により、シナジー効果が期待されている。
2月1日には、サッカーJ1リーグ所属の「FC東京」とクラブスポンサー契約を締結した。当社の知名度のアップにより、採用面、営業面で効果が期待される。また、CSR活動としても評価されるものと思われる。
■クラウドソリューションのCreageの引合い、受注が増加
第3四半期は、2ケタ増収大幅増益と好調である。しかし、当社を取り巻く経営環境は、新年早々、株式市場で株価の暴落が続くなど、昨年とは異なり、日本経済が変調をきたしていると思われる。ところが、当社が属するIT業界は、1年遅れて景気の影響が出るという遅効性があることで、2016年の年末までは、企業のIT投資は継続するものとみている。
また、情報サービス産業では、パブリッククラウドやモバイル端末の普及が進み、クラウドを検討する企業が増えている。アメリカでは、クラウド化が急速に進み、既存のビジネスが急激に落ち込んでいる現状を踏まえると、日本でもそのような現象が起こるのではないかと心配されている。当社の場合は、既にクラウドを販売しているため、クラウド化はビジネスチャンスと捉えている。例えば、当社のオリジナル製品として、AWSをベースとしたクラウドソリューションのCreage(クレアージュ)の引合い、受注が増加している。また、高速クラウドへの関心は高く、ワンランク上のオンラインストレージサービスのIntelligent Folder Express(インテリジェント フォルダ エクスプレス)の引合いも増加している。
■子会社は、概ね計画以上で、好調といえる
子会社に関しては、クレスコ・イー・ソリューションは、自社製品の引き合いが増加している。今年の4月1日付で「エス・アイ・サービス」との経営統合を予定している。
クレスコワイヤレスは、BLE関連は、量産案件の受注に期待している。RFID関連の開発は、新規案件不足により苦戦している。
アイオスは、金融機関からのシステム更改や電力自由化、制度改正を背景として受注が増加している。また、既存顧客からのリピート受注をベースに、継続的かつ安定した受注量を確保している。
クレスコ九州は、当社グループとの連携強化によりニアショア開発案件を安定的に確保し増収増益となっている。
クレスコ北陸は、一部の開発プロジェクトに不採算案件が発生したが、全体としては堅調、回転寿司店舗システムは、計画通りに推移している。また、ホスティングサービス「misterPARK」を大手外食企業から受注した。
科礼斯軟件(上海)は、中国の景気減速により、日系企業の仕事が減少している。
シースリーは、電力システムのプロジェクトがピークとなっている。発電制御、鉄道制御システムを受注、協力会社と連携し、開発体制を強化している。
クリエイティブジャパンは、ネットワーク更改案件の引き合いが堅調。部門間連携を強化し稼働率をアップしている。
以上のように、子会社は、概ね計画を上回り、好調といえる。
16年3月期連結業績予想は、売上高276億円(前期比10.1%増)、営業利益23億円(同14.3%増)、経常利益26億円(同16.0%増)、純利益17億80百万円(同26.6%増)と増収増益を見込む。
第3四半期発表時点では、通期業績予想は当初予想通りに据え置いているが、進捗率が売上高76.4%、営業利益84.8%、経常利益89.4%、純利益90.0%と高い進捗率であり、加えて、業績に影響を与えるような、プロジェクトの不採算案件もなく、受注高、受注残高も高い水準で推移していため、上振れも期待できる。
当社の代表取締役社長根元浩幸氏は、現在の事業環境について、「激動の時代に入っていると捉えている。しかし、当社にとって、本業は調子が良いので、3年から4年後を見据えて新規事業の研究、開発を積極的に行っている。」と将来に向けた種蒔きの時期と位置付けている。