【編集長の視点】鎌倉新書は急反落も下値には終活ポータルサイトの好展開を見直し下げ過ぎ直近IPO株買いが底流

編集長の視点

 鎌倉新書<6184>(東マ)は、125円安の1500円と急反落して始まっている。きょう9日の日経平均株価が、欧米株安や為替相場が1ドル=115円台と急速に円高になっていることを嫌って711円安と大幅反落してスタートしているのに反応し、今年1月21日につけた上場来安値1354円からの底上げを鮮明化している同社株にも目先の利益を確保する売り物が先行している。ただ同社は、今年3月中旬に前2016年1月期業績の発表を予定しており、同期の2期ぶりの過去最高純利益更新や、続く今2017年1月期業績の続伸観測を手掛かりに下値には下げ過ぎ直近IPO(新規株式公開)株買いが根強く続き、安値後は下げ渋る動きもみせている。今年2月14日には第9回の「いいお墓」セミナーを開催、跡継ぎのいらない「納骨堂・樹木葬」の紹介、お墓に関する悩み解決をサポートすることも業績期待を高めている。

■集計中の前1月業績は上ぶれを期待し今期業績は連続最高純益観測

 同社が目下集計中の前2016年1月期通期業績は、昨年12月4日のIPO時に売り上げ10億7600万円(前期比17.4%増)、営業利益1億7500万円(同14.2倍)、経常利益1億6800万円(同6.0倍)、純利益1億400万円(同9.8倍)とV字回復が予想され、純利益は、2期ぶりに過去最高を大幅に更新する。同社は、終活時の葬儀・仏壇・お墓選びや、その後の遺族の生活の再構築までを総合的にサポートするライフエンディングサービス事業を展開し、各種のポータルサイトを運営しており、2014年7月にヤフー<4689>(東1)の「Yhoo!JAPN」上に開設した終活総合ポータルサイト「Yhoo!エンディング」の先行負担が一巡することなどが、V字回復要因となる。

 しかも、IPO後の初決算として昨年12月10日に発表した前1月期第3四半期(3Q)業績では、1月通期予想業績に対する進捗率は、売り上げが78%と目安の75%を上回り、利益が94~90%と目安を大きく上回っており、上ぶれ着地も期待されている。続く今2017年1月期業績も続伸が有力で、東洋経済会社四季報最新号では、純利益を1億9000万円と連続して過去最高を更新すると観測している。今年2月14日に「いいお墓」セミナーを開催、お墓に関する相談を18万件受けてきたお墓総合情報サイト「いいお墓」のネットだけでなく、リアルでも情報提供を積極継続することも業績期待を高めている。

 そのポータルサイトは、全国の葬儀社、斎場、火葬場選びをサポートする「いい葬儀」、同じく霊園・墓地、お墓選びの「いいお墓」、お仏壇・仏具、仏壇店選びの「いい仏壇」、さらに相続税、遺言状などの情報を掲載する終活をサポートする「Yohoo!エンディング」を展開、年間閲覧者数は、「いい葬儀」では2014年度に330万人、年間総ページビュー(PV)数は、950万PVとなり、「いいお墓」の年間総PV数は、1200万PVに達した。

■底打ち示唆の「半値八掛け二割引き」水準目前から再発進し内需株人気もオン

 株価は、公開価格1000円に対して2806円で初値をつけ、2日連続のストップ高を交えて上場来高値4010円まで買い進まれたが、昨年年末のIPOラッシュや年明け後の全般相場急落の影響を受けて上場来安値1354円まで大きく調整した。同安値は、底打ちを示唆する最高値の「半値八掛け二割引き」水準の目前となっており、これを手掛かりに底上げに転じてきた。来期業績観測ベースでもPERは15倍台と割安であり、内需関連株人気も加わり押し目買いから一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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