【株式評論家の視点】アークンは大手代理店経由の受注が回復に向う、株価3000円割れに底値感

株式評論家の視点

 アークン<3927>(東マ・100株)は、昨年12月18日に東京証券取引所マザーズ市場に上場。情報セキュリティソリューションとして、インターネットを悪用した外部からのマルウェア攻撃や企業の内部関係者による情報データベースへの不正アクセス、情報漏洩等を防止することを目的とした製品を、販売代理店を通じてユーザーに提供するとともに、それら製品の保守サービスを提供している。

 同社では、中小規模企業を主なターゲットとし総合的なセキュリティ対策製品の提供を行っているが、中小規模企業向けの販売が堅調に推移したため、2月15日大引け後に発表した今2016年3期第3四半期業績実績は、売上高が8億2100万円、営業利益が1億4200万円、経常利益が1億4200万円、純利益が7900万円に着地。

 本年1月12日に開示した「顧客情報(個人情報含む)に関する恐喝事件への対応について」の事件発生により、1月13日から一部大手販売店にて同社のアンチマルウェア製品及びPC業務管理製品の新規販売取扱が一時停止となっていたため、1月の月次売上高が大幅に減少する見込みとなったが、大手販売店にて1月中に同社社内セキュリティ管理体制についての社内調査が行われ、2月12日からアンチマルウェア及びPC業務管理製品の取り扱いが再開されることになった。

 現状においては、大手代理店経由の受注が回復傾向となっており、今後、売上高は平常時に回復すると見込んでいるが、現状では2月及び3月の業績予想を行う上で不確定要素が多いため第4四半期の業績予想を行う事が困難な状況。そのため、通期業績予想値については、未定としている。現在、第4四半期の業績予想を精査中で、具体的な1月~3月の業績状況及び通期予想の詳細については改めて明らかにする予定。

 株価は、昨年12月19日に公開価格1360円の約3.6倍となる4925円で初値をつけた後、同30日に上場来の高値1万0440円と買われた後、1月22日に上場来の安値2410円まで調整を挟んで同28日高値5100円と上昇。その後、モミ合っている。情報セキュリティ業界においては、インターネットを悪用した外部からの不正侵入、情報の窃取、改ざんなどだけではなく、企業内部ネットワーク経由における情報の漏洩・窃盗などの被害が増加し、かつ、その被害額が高額化しているほか、政府がマイナンバー制度の導入を決定したことにより個人情報漏洩リスクが高まることなどから、企業規模にかかわらずセキュリティ対策への投資は、拡大傾向となっており、来17年3月業績業績予想に対する期待感はある。

アンチマルウェア製品及びPC業務管理製品の新規販売取扱が、大手代理店経由の受注が回復傾向であるため、3000円割れが下値として意識された感はあり、仕切り直しの展開が予想される。ここからの押し目に注目したい。(株式評論家・信濃川)

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