- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKは着実に下値を切り上げ、15年12月期の増収増益期待で12月の戻り高値試す
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKは着実に下値を切り上げ、15年12月期の増収増益期待で12月の戻り高値試す
- 2015/1/7 07:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
半導体輸入商社のPALTEK<7587>(JQS)の株価は、12月に動意付いて640円まで急伸する場面があった。その後は500円~540円近辺で推移しているが、14年10月安値460円、11月安値481円、そして12月安値503円と着実に下値を切り上げている。今期(15年12月期)増収増益期待で12月の戻り高値640円を試す展開だろう。
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体および関連製品の販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発および製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、さらに新規事業としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システムなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
主要仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。また用途別には、産業機器向けを主力として通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開している。
12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けて、エクスプローラ(北海道函館市)を子会社化した。エクスプローラは自社製品としてレート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発・販売し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」が採択されている。「H.265/HEVC」は動画圧縮規格の一つである。
また14年6月には子会社テクノロジー・イノベーション(長野県塩尻市)を設立し、サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発に取り組んでいる。
なお14年11月にはエクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。
前期(14年12月期)の連結業績見通し(11月6日に利益を3回目の増額修正)は売上高が前期比33.4%増の235億円、営業利益が同0.9%増の7億80百万円、経常利益が同2.2%増の8億円、純利益が同5.9%増の4億70百万円としている。配当予想(2月12日公表)は前期と同額の年間8円(期末一括)としている。
半導体事業ではFPGAが通信用計測機器向け、汎用ICがオフィス機器向け、メモリが民生機器向けなどで増加し、デザインサービス事業では医療機器向け設計受託およびODMが堅調に推移して大幅増収のようだ。利益率の低い案件が増加したが、ドル高・円安の進行に伴い、仕入先に対して保有する仕入値引き(ドル建て)債権の評価額増加が原価押し下げ要因となり、開発費の増加や14年6月に設立したテクノロジー・イノベーションの事業運営費用などを吸収する。また営業外収益ではNEDOからの助成金も寄与した。
収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業は産業機器・医療・通信・エネルギーなど成長分野への注力による高収益化、デザインサービス事業は医療関連機器の受託設計・開発および自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業は病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する。今期(15年12月期)も半導体需要が堅調に推移し、プロダクトミックスの改善も寄与して売上総利益率改善が期待され、増収増益基調だろう。
株価の動きを見ると、12月10日に動意付いて640円まで急伸する場面があった。その後は500円~540円近辺で推移しているが、14年10月の安値460円、11月の安値481円、そして12月の安値503円と着実に下値を切り上げている。
1月6日の終値521円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS41円16銭で算出)は12~13倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.5%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS724円61銭で算出)は0.7倍近辺である。
週足チャートで見ると着実に下値を切り上げて、26週移動平均線と52週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して強基調に転換する動きのようだ。今期(15年12月期)増収増益期待で12月の戻り高値640円を試す展開だろう。