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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フォーカスシステムズは期末一括で3%台の予想配当利回りなど割安感を見直し
- 2016/2/19 06:37
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フォーカスシステムズ<4662>(東2)は、システム構築・保守・運用・機器関連事業を展開している。16年3月期第3四半期累計は営業減益だったが、通期は営業増益予想だ。マイナンバー関連やサイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点となる。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが調整一巡感を強めている。期末一括で3%台の予想配当利回りや0.8倍近辺の低PBRなど、指標面の割安感を見直して反発展開だろう。
■システム構築・保守・運用を主力としてセキュリティ機器関連事業も展開
公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。
顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、および日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連などが続いている。主要顧客上位3社向け売上高の占める割合は14年3月期が47.4%、15年3月期が47.8%だった。
なお15年12月には、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が行っているトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」を通じて、スケト・ショートトラックの齋藤悠(さいとうゆう)選手の採用を内定したと発表した。アスリートの採用は初めてだが、スポーツに取り組む社員の応援を通じて組織の一体感の醸成、士気高揚を実現したいとしている。
■中期成長に向けて対応領域拡大を推進
中期成長に向けた重点戦略として、需要が潤沢なインフラビジネス分野における技術者の育成、ノウハウ蓄積にも繋がる運用系業務分野におけるシェア拡大、業務アプリケーション分野における専門技術への取り組み強化による対応領域拡大を推進している。また民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて、東海圏での業務拡大に取り組んでいる。
15年7月には東京国税局に対するICT関連の技術支援等コンサルティング業務の提供開始を発表した。デジタル・フォレンジック技術と豊富な不正調査の経験を活かしたコンサルティングサービスを提供する。
15年9月にはベトナムの日系ソフトウェア開発会社であるインディビジュアルシステムズ(IVS)社への出資を決定した。現地当局の許認可等の取得を前提に当社出資比率は10%の予定としている。
IVS社は02年の創業以来、ベトナムのエンジニア育成と日本向けオフショア開発で実績を伸ばし、現在では日系IT企業としてトップクラスの200名を超えるエンジニアを抱えている。当社は13年からオフショア事業での取引関係を続けてきたが、今回の出資によって協業関係を一段と強化する。
15年10月には富士ゼロックスのサービス提供会員制ポータルサイト「富士ゼロックスダイレクト」のプラットフォームを、企業内のIT環境を集約して各業務アプリケーションの全社横断的な運用を可能にするシステム共通基盤「intra-mart(イントラマート)」を用いて構築したと発表した。
また15年10月にはエプソン販売と連携して、同社が販売するスマートヘッドセットMOVERIO Pro「BT-2000」と連動できるBeaconの提供開始を発表した。
15年12月には、松久産業(福井県福井市)から、パケットログ収集・保管装置(監視・警告機能等搭載済み)「サイバーガーディアン・パケット(略称CGP)」(商標登録出願中)の供給を受け、機器販売および付帯する調査・解析サービス事業を構築すると発表した。収集・保管したログの調査・解析サービスは16年4月開始を予定している。
■第4四半期の構成比が高い収益構造
15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億83百万円、第2四半期(7月~9月)37億03百万円、第3四半期(10月~12月)35億90百万円、第4四半期(1月~3月)42億05百万円、営業利益は第1四半期99百万円、第2四半期1億96百万円、第3四半期2億40百万円、第4四半期4億05百万円だった。
第4四半期の構成比が高い収益構造だ。そして公共関連事業やセキュリティ機器関連事業が好調に推移して、営業損益は改善基調である。なお15年3月期の売上総利益率は14.0%で14年3月期比0.1ポイント上昇、販管費比率は7.7%で同0.1ポイント上昇、ROEは10.0%で同0.8ポイント上昇、自己資本比率は47.2%で同4.7ポイント上昇した。配当性向は29.3%だった。
■16年3月期第3四半期累計は先行投資負担で営業減益
2月5日発表の今期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)非連結業績は、売上高が前年同期比7.5%増の116億96百万円、営業利益が同6.9%減の4億99百万円、経常利益が同2.0%減の4億86百万円、純利益が同49.3%増の4億67百万円だった。
受注が堅調に推移して増収だったが、人材採用・育成などの先行投資負担、東証2部への市場変更関連費用の計上、社内システム導入関連費用の計上などが影響して営業減益、経常減益だった。売上総利益率は12.2%で同0.6ポイント低下、販管費比率は8.0%で同0.1ポイント上昇した。純利益については投資有価証券売却益2億08百万円計上が寄与して大幅増益だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億42百万円、第2四半期(7月~9月)39億52百万円、第3四半期(10月~12月)42億02百万円、営業利益は第1四半期26百万円、第2四半期1億75百万円、第3四半期2億98百万円だった。
■16年3月期通期は増収増益予想
今期(16年3月期)通期の非連結業績予想は前回予想(5月8日公表)を据え置いて、売上高が前期比1.4%増の153億円、営業利益が同1.0%増の9億50百万円、経常利益が同2.5%増の9億20百万円、純利益が同1.2%増の6億円としている。
配当予想については15年10月1日付の株式2分割(8月6日公表)に伴って修正し、年間12円50銭(期末一括)としている。株式2分割を考慮すると実質的に前回予想と同額で、予想配当性向は28.8%となる。また前期の年間25円(普通配当10円+特別配当15円)とも実質的に同額となる。
利益面では人材採用・育成など、今後の事業展開を睨んだ先行投資負担で微増益にとどまる見込みとしているが、公共関連事業は社会保険・医療保険関連分野やマイナンバー関連分野、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー攻撃対策や企業のマイナンバー対応関連を中心として、いずれも需要は高水準に推移する見通しだ。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.5%、営業利益が52.5%、経常利益が52.8%、純利益が77.8%である。営業利益と経常利益の進捗率が低水準だが、第4四半期の構成比が高い収益構造であり、通期ベースではマイナンバー関連やサイバーセキュリティ関連も寄与して好業績が期待される。
■株価は調整一巡感
株価の動き(15年10月1日付で株式2分割)を見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げ、2月12日には14年8月337円以来の安値水準となる340円まで調整した。その後は18日に407円まで戻す場面があり、切り返しの動きを強めている。
2月18日の終値398円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS43円33銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円50銭で算出)は3.1%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS488円86銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約65億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、安値圏から切り返して調整一巡感を強めている。マイナンバー関連やサイバーセキュリティ関連としても注目され、期末一括で3%台の予想配当利回りや0.8倍近辺の低PBRなど、指標面の割安感も見直して反発展開だろう。