【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イーグランドは着実に水準を切り上げて9月の戻り高値目指す、中古再生住宅の販売は堅調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古住宅再生事業のイーグランド<3294>(JQS)の株価は着実に水準を切り上げている。1月5日には825円まで上伸して12月3日の820円を上抜いた。中古再生住宅の販売は堅調であり、好業績見通しを評価して9月の戻り高値916円を目指す展開だろう。

 首都圏を地盤に、中古マンション・戸建住宅の再生事業を主力として、その他不動産事業(不動産賃貸、リフォーム工事請負など)も展開している。中古住宅再生事業は、競売や任売(任意取引)で仕入れた中古住宅を個々の状況に応じてリフォームし、中古再生住宅として販売する。

 長年の不動産競売取引で培った価格算定力を活かして、首都圏(1都3県)での不動産競売において業界一の落札実績を持ち、若年ファミリー層などをメインターゲットとして、ボリュームゾーン2000万円以下の低価格帯居住用物件の取り扱いを主力としている。リフォームコストを抑えることで良質で安価な中古住宅を提供するとともに、家具付き販売や最低10年アフターサービス保証などで他社物件との差別化を図っていることも特徴だ。

 リスク低減への取り組みとして仕入から販売までの期間を適切に管理するとともに、原則1戸単位でエリアを分散した仕入を実行している。14年3月期の物件平均保有期間は5.7ヵ月で13年3月期の6.3ヵ月から0.6ヵ月短縮している。また現在の仕入は約3分の2が競売仕入、約3分の1が任売仕入だが、今後は首都圏での任売仕入を強化する方針だ。

 中期成長に向けては仕入力強化と事業エリア拡大戦略を推進している。10年3月に札幌支店、11年11月に宇都宮支店、14年5月に関西支店を開設した。さらに新たな事業展開エリアとして名古屋、福岡、仙台への進出を視野に入れている。中期目標数値としては仕入件数を毎期2割増加させ、19年3月期をメドに売上高300億円を目指している。ストック型収益基盤構築に向けて不動産賃貸事業も強化する方針だ。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(5月12日公表)は売上高が前期比26.8%増の158億85百万円、営業利益が同3.0%増の12億32百万円、経常利益が同6.6%増の10億15百万円、そして純利益が同7.8%増の6億29百万円としている。配当予想は株式4分割(効力発生日14年10月1日)を考慮すると前期との比較で実質的に同額の年間10円(期末一括)としている。

 首都圏での販売強化、関西支店の開設・本格稼働による物件仕入・販売件数の増加、賃料収入の増加などで人件費や仲介手数料の増加を吸収して増収増益見込みだ。販売件数は同175件増加の823件、平均販売価格は前期と同水準の19百万円の計画としている。中古再生住宅の販売は堅調であり、消費増税の影響は比較的小さいようだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は首都圏中古マンション市場全体の成約件数が減少するなど、高利益率の市場環境から正常レベルに収束しているため売上総利益率が低下して減益だった。しかし売上面では、関西支店の稼働も寄与して物件販売数が同36件増加の358件と好調に推移し、期初計画の348件に対しても10件上回った。平均販売価格は20百万円で想定を上回る水準だった。また仕入件数は同103件増加の438件となり、販売用不動産の積み上げも順調に推移している。

 物件販売数の四半期推移を見ると、13年7月~9月期152件、10月~12月期163件、14年1月~3月期163件、4月~6月期157件、7月~9月期201件で消費増税後も概ね堅調に推移している。そして10月~12月期以降は関西支店の本格稼働が寄与するため、通期ベースで好業績が期待される。

 なお12月18日に固定資産の譲渡および繰延税金負債の取り崩しを発表している。資産の効率化を図るため固定資産(賃貸用不動産)の一部を譲渡して第3四半期(10月~12月)に特別利益91百万円を計上する。また当該固定資産に係る繰延税金負債の取り崩しによって法人税等調整額32百万円を計上する。

 株主優待制度(14年8月に新設を発表)については、毎年3月末および9月末時点で1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。14年9月末から実施した。

 株価の動き(14年10月1日付で株式4分割)を見ると、10月の安値圏700円近辺から反発後は着実に水準を切り上げている。1月5日には825円まで上伸して12月3日の820円を上抜いた。戻り歩調に変化はないようだ。

 1月6日の終値791円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS99円92銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式4分割を考慮したBPS622円82銭で算出)は1.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げ、13週移動平均線を突破した。戻り歩調に変化はなく、好業績見通しを評価して9月の戻り高値916円を目指す展開だろう。

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