【編集長の視点】エスアールジータカミヤは「高瀬式14回転ハウス」を見直し新製品人気が増幅して下げ過ぎ訂正で4連騰

編集長の視点

 エスアールジータカミヤ<2445>(東1)は、14円高の356円まで上げて4日続伸している。今年2月12日につけた東証1部上場後安値306円からの底上げを鮮明化している。同社は現在、次世代足場「Iq(アイキュー)システム」や移動昇降式足場「リフトクライマー」などの新製品の販売を積極展開しているが、今年2月5日にアグリ事業分野に進出する新型ビニールハウス「高瀬式14回転ハウス」の共同開発・販売を発表しており、これを見直し新製品人気を高め下げ過ぎ訂正買いが増勢となっている。また今3月期業績も、有価証券売却益の計上で上ぶれの可能性があることも、フォローの材料視されている。

■従来型ハウスに比べ25%も収量が向上し台風の40メートルの強風にも耐風圧性

 「高瀬式14回転ハウス」は、金属加工技術で高実績のSRGタカミヤと、2005年設立のアグリベンチャー企業でベビーリーフ(野菜の幼葉)を大規模栽培している果実堂(熊本県上益城郡)が、相互の経営資源を融合させて共同開発・販売を進めるもので、独自の自動灌水・自動換気技術により業界初のベビーリーフの14回転(14毛作)を可能とする画期的な新型ビニールハウスである。

 すでに熊本県菊池郡菊陽町で本格稼働している14棟(6956平方メートル)の同ハウスでは、一般的なビニールハウスに比べて25%以上の収量向上効果があることを実証している。また独自の耐風圧設計となっていることから、昨年8月に熊本地方を襲った台風15号の風速40メートルの強風下で、近隣ハウスが倒壊するなか無傷で出荷を継続するなど高技術力を示した。共同開発・販売により今後3年間で100棟(5万平方メートル)の建設・建て替えを計画している。同社は、高作業性・安全性・経済性の「Iqシステム」や超高層マンション向けなどに「リフトクライマー」の拡販を進めているが、「高瀬式14回転ハウス」が、これに次ぐ新製品として同社業績を中期的に押し上げることになる。

 同社の今3月期業績は、売り上げ390億円(前期比13.8%増)、経常利益37億円(同11.3%増)、純利益23億3000万円(同12.5%増)と続伸が予想され、純利益は連続して過去最高を更新する。ただ、今年2月に発表した今3月期第3四半期(3Q)業績が、太陽光パネル架台の伸び悩みなどで減益転換・低進捗率にとどまったことなどから未達観測も出ている。しかし、ダイサン<4750>(東2)との業務提携の解消に伴う相互保有株の売却益4億8169万円を計上する予定であり、むしろ純利益の上ぶれ着地の期待も強まってくる。

■上値を抑えていた25日線抜けで弾みをつけてPER6倍台の超割安修正が有望

 株価は、昨年7月のフィリピンのDAI社株式取得でつけた戻り高値752円から500円台を出没する中段もみ合いを続け、年明け後は、世界同時株安の波及で下値を探り、今期3Qの低進捗率業績と果実堂との業務提携が綱引きして突っ込んだ東証1部上場来安値306円からの底上げを窺い、このところ上値を抑えていた25日移動平均線目前までリバウンドしてきた。PERは6倍台であり、25日移動平均線上抜けで弾みをつけ一段の戻りにチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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